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櫻太を好きな気持ちを持って、死んで行けるなら
それはとても幸せかもしれないと思えている。
「…櫻太……大好き、だよ」
本当は一緒に生きていきたかったし
結婚して共に老いていきたかったけど。
思考するのもしんどい脳でも、
櫻太の事が好きで
櫻太は見る影もなくボロボロになった俺を見捨てずにいてくれて
それだけでもう、充分だった。
もう、何も要らないくらい。
「…バカ!嘘じゃない!俺は絶対お前を死なせない!」
櫻太はそう言って、俺を抱きしめてくれた。
俺は幸せだった。
生まれ変わったら、もう一度櫻太に会って
また大好きって伝えたい。
そんな風に思った。
この人に会えて良かったって。
それだけで、俺の人生は素晴らしいものだった。
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