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「こんな奴にもらった命なんかいらない……」 俺は赤く染まった刃先を、自分の首に向けた。 生きてやる義理なんかない。 生きていて欲しいとかいうこいつの願いを叶える事になる そんなことはしたくない。 許せない。 生きている限り、こいつに支配される人生なんか。 迷いなんてなかった。 憎しみで渦巻いた身体を、刃物は切り裂いて 俺はブラックアウトした。 ざまあみろ、という気分だった。 俺がいる限り、あいつが付き纏うから 俺ごと全部終わらせてやる。 復讐みたいな、気持ちだった。 これで俺はやっと、 大嫌いな世界から解放されたのだ。

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