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123 現実にやっと抗う ※ モブユン

               あの夜は、いわばあの“一夜の夢”の続きか――。  お互いの想いを確かめ合い、そしてお互いに自らのつがいであると認めあった、本当に素晴らしい夜であった。      しかし、ユンファ様にとってあの夜は、きっとまた“一夜の夢”となってしまったのだろう。――あの夜以降は再び、彼はもうまた俺の目をほとんど見てはくれず、俺と言葉を交わすことさえ、ほとんどしなくなってしまわれた。    ただ、そうはいえども――それは何も、ユンファ様があの夜を“一夜の夢”と勝手に割り切ってしまわれた、ということではない。  それにも理由はある。…それも、俺が致し方ないと納得せざるを得ない理由が…――もしあの夜の翌朝に、ジャスル様が訪れなければあるいは、…と、俺は思うのだ。     「…んう、…うっ…うぁ、♡ あっ…ジャスル、様、…」    寝台の上で四つん這いにされ、ばちゅばちゅと酷いほど激しく、後ろからジャスル様に犯されていたユンファ様は、寝台に片頬を着け、そこの布を握り締めて泣いていた。――そして、それを横から見ていた俺の目を、悲しい色になったその潤んだ目で見て、儚げな表情をしている彼は、その震えている赤い唇を小さく「自分を守って」と、声もなく動かしたのだ。      あの夜が明けた翌朝――何か虫の知らせでもあったのか、突然朝に現れたジャスル様に、俺は驚いた。    部屋の扉の鍵をかけていたために、ドンドンドンドン、と激しく扉を叩く音、俺が慌てて出迎えると――その時点でもうすでにジャスル様はムスッとしており、「ユンファは」と。…なぜその人が不機嫌になっていたのかはわからないが、大方側室と喧嘩でもしたか、あるいは商売で何か損でもしたのか。    しかし当然のことながら、そのときはまだ寝台ですやすやと眠っていたユンファ様――「ユンファ様は、まだ眠られておりますが」…俺のその言葉を無視し、ズカズカと部屋の中へ入ったジャスル様は、寝台で眠っているユンファ様の掛け布団をバッとはぎ。   「…なぁにを呑気に寝ておるんだユンファ! 旦那様が来たらさっさと起きんか!」    と、怒鳴りつけながら寝台に上がり、ほとんど暴行――目を白黒させているユンファ様の髪を掴み、起き上がらせ、ジャスル様は彼の顔を自分の股間に埋めさせると、にわかに「早く魔羅をしゃぶれ」と命じた。…しかし。    俺はもう――何も恐れず。   「…ジャスル様。僭越ながらこのような行為、あまりにも惨たらしいことかと。――寝起きのユンファ様に、これではほとんど暴行でございます。」    寝台の側に立ち、俺はジャスル様へとそう低い声を、諫言の言葉にした。――だが、もちろんジャスル様はそれくらいでは動じず。   「……何? お前、ソンジュ…いつからそのような生意気を、ワシに言える立場になった…?」    ギロリ…おもむろに鋭いジャスル様の眼差しが、寝台近くに立つ俺へと向けられる。――しかしだからといって、そもそも力のある俺は、身が竦むようですらない。…もうこのときには人の姿に戻ってはいたが、確実にジャスル様よりは力にせよ身体能力にせよ、俺は優っている。  最悪の場合は、どのようにだって立ち回れる。――俺は、ユンファ様とのあの夜にいくらか、自らの狼としての誇りを取り戻せたようなのだ。   「…主人の間違いを正さずして、何が従者でございましょう。」   「…間違い…? ふん、ワシはこれっぽっちも間違っておらんわい。…このユンファは、いじめて憂さを晴らすくらいしか役に立たんのだからな。――ほらユンファ、早くしゃぶらんか。」   「…、…は、はい……」    言いながら前をくつろげるジャスル様、なぜかボロリと彼の目の前に取り出されたジャスル様のモノは、完全にではないにしろ、勃っていた。――寝ぼけてもいるか、ぼんやりとした様子のユンファ様はまた虚ろな目をして、…ソレをパクリと咥えた。   「……ん……っんぐ、!? …ごふ、…っ、…〜〜っ!」    すると、しゃぶれと言っておきながら、無理やりユンファ様の口の中にモノを突っ込み、勝手に喉の奥まで差し込んで腰を振るジャスル様は「ワシはむしゃくしゃしておるんじゃ、あぁ全く、お前をいじめんと気も晴れんわ」――そう勝手な行為をさんざん。   「…おやめくださいジャスル様、苦しんでらっしゃるではないですか、…」   「…はぁ、はぁ…おぉよく締まる喉まんこじゃ、お前はこれっくらいしか取り柄がないからのぉユンファ……」   「…ん゛…っんぐ、…ぐっ、……っ!」    赤面してボロボロと涙をこぼすユンファ様は、苦しげに顔を歪めているが――ジャスル様に頭を掴まれ、好き勝手ズボズボと腰を振られて、その人の腰骨あたりを掴み、脚をのた打たせている。   「…おやめください。おやめくださいジャスル様、…」   「…あぁうるさいのぉ。」   「おやめくださいっ! そんなことをしたら死んでしまいます、…」    咄嗟俺がジャスル様の、その太い二の腕を掴むと――その人はニヤリとして、…よりグッと、ユンファ様の喉の奥の奥までモノを差し込んだ。   「……〜〜〜〜ッ!!」   「…ジャスル様!」   「……んん…? なんじゃあソンジュよ…?」    にんまりと悪く笑い、俺へと振り返るその人の醜い顔――あまりにも憎たらしい、その肉付きの良い顔は、俺のことを見て舌なめずりをした。   「…お前……いよいよこのユンファに、惚れたか」   「……っ」    そうだ、と――言いたかった。  …言いたかったが、――今もジャスル様のモノに気道を塞がれ、息が止まっているユンファ様を思えば、――殺されてしまう、言えばもっと彼が酷い目に合うかもしれぬと思うと、――俺は、…言えず。   「…まさか、そんな恐れ多きことありえませぬ、そうではなく、惚れたのではなく…っそんなことをしたら、死んでしまうと……」   「…ふん、まあよいわ…、…」    ズルリ、モノをユンファ様の喉から引きずり出したジャスル様――口からダラダラと粘液を垂らし、うなだれてゲホゲホと咳き込むユンファ様の髪を掴んだその人は、ユンファ様を引きずり倒し、自らが完全に勃起したからと。   「……ゲホ、……っん、…あぁぁ……」    ユンファ様に愛撫をするでもなく、彼を暴行するように四つん這いにさせ――ジャスル様は、彼の着物を脱がせるでもなく、また下着を穿いていない彼の尻だけを出して、ずっぷりと挿入した。        

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