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151 曼珠沙華

                         俺たちはその後、何度も何度もつがい合った。  …何度も求め合い、体を絡ませ合い、俺の体に巻き付く蔦のようなユンファ様のそのしなやかな四肢――注ぐ、注ぐ、注ぐのは、俺の魂、その心。    絶えずはぁはぁと部屋に響いていた、湿り、上擦ったお互いの吐息――ぁ、ぁ、ぁ、と響いていたユンファ様の、蕩けた甘い、甲高い声。    何度も果てた。  …俺も果てたが――ユンファ様も、その体を弓なりに反らしてぶるぶると震え、ピンッと白足袋のつま先まで伸ばして、何度も何度も――彼は果てた。    気が付けば俺たちは、全裸でまぐわっていた。  …もう何も我らの身を飾るものはなく――お互いの全身に噴き出す汗を混ぜ合うように、肌を擦り合わせた。  ぬちゅぬちゅと濡れた音は、蕩けた肉と、硬くなった肉が立てているのか――あるいは俺たちの汗が、その音を立てていたのか。   「……はぁ…、はぁ……」    横向きに、寝台にくったりと寝そべっているユンファ様の裸体は桜色に染まり――つぅ…と、その首筋に、肩に、背中に、平たい腹に、太ももに流れてゆく、生々しい汗。  その人のふっくらとした尻の割れ目から、とろりと白濁がもれ出て伝い、寝台にまで滴り落ちる。    ユンファ様の骨張った背中に張り付いた黒髪、ユンファ様の黒髪を束ねていた髪飾り、寝台の白い布に散り散りになって散った、曼珠沙華の赤い花びら――これはさながら、花火のようだ。        そのように思った矢先――。        ドォォン…ばらばらばら――。       「…………」    花火のけたたましい爆発音と、夜空に打ち上がっては儚く散る音。――もう、夜になっていたのか。    ドォォン…ばらばらばら――お誂え向きなことだ。    あの戦の祝杯に、外で花火が上がっている。  本来であれば主役なのやもしれぬ俺は、ジャスル様の仕向けてきたこの甘い罠を考慮して、欠席した――この国の宮殿で執り行われているという、祝宴。  このジャスル邸の近くにそびえ立つ宮殿で、祝宴が行われている。――であるからこそ、ジャスル邸からも見えるような大きな花火が夜空に上がっているのだ。   「………、…」   「……ん…、…はぁ……」    ユンファ様はおもむろに、気だるそうにゆっくりと体を起こし――幸福そうに蕩けた顔を伏せつつも、するりとその平たい下腹部を撫でて。   「……ソンジュの、子が…ここにいる……」   「…………」   「……ソンジュ…、僕、…っグ、…――ッ!」    その瞬間――ユンファ様はゲホ、と咳込み、口を抑えた。      ボタボタボタ…――赤い曼珠沙華の花びらが、寝台に散る。           

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