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第11話 なんちゃって勇者

 ヘルクラインの攻撃を阻止しようと、ガイルが剣で応戦している。  光に目を焼かれては再生し、攻撃を繰り返している。 「おのれ、魔王。攻撃を受けても再生させることで何度でも戦わせる兵隊を作っているのか。何とむごい仕打ちを」  魔王がガイルに付けた魔印は淫紋なので、エロいこと大好きな戦士になっただけなのだが。むしろ治癒魔法は魔族のデカちんぽを突っ込まれても腸が破れないようにガイル自身が使っているだけだと思う。 (攻撃しているの自分なのに、魔王が悪いことしてるみたいな言い方、ゾクゾクするなぁ。ああいう勘違い正義の味方、奴隷で欲しいな) 「兄上! 俺たちはもはや半魔だ。人ではない。魔王様を討とうというなら、俺も引かない! 今の俺にとってランドール様のちんぽが総てだ!」  言い回しはとても格好良いのに、残念だなと魔王は思った。 「そうか……。ならば、私も迷うまい。お前たちは二人とも、人間の敵、魔族と同じだ! 討ち取り、母国にその首を持ち返ろうぞ!」  ヘルクラインの目から涙が流れた。  魔王はびっくりした。 (ガイルの、あのセリフで泣けるの? 違うな、自分の台詞に酔って泣いたのか。自己完結型か)  大切な弟たちを魔族に凌辱され、救えずに殺さねばならない自分の立場に泣いたのだ。なんという劇場型の性格だろう。  益々、欲しくなる。  魔王は面白い遊びを思い付いた。 「シャムル、もっと面白い方法がある。耳を貸せ」  シャムルに耳打ちする。  口元に薄い氷のような微笑が乗った。 「総ては魔王様の御心のままに。私の命は魔王様のモノです」  シャムルが魔王に小さく礼をする。 「殺しちゃダメだよ。アレも玩具にするから」 「御意に」  短く返事を返すと、シャムルがヘルクラインに向かって走り込んだ。  手に氷結魔法を展開すると、小さな氷を何個も投げつける。 「シャムル、お前まで本気で私に牙をむくのか」  じりっと、ヘルクラインが後ろに下がった。  その顔に初めて焦燥が浮く。 「当然です。我等はもう半魔だと、ガイル兄様が言ったでしょう。私とて、魔王様のデカちんぽが総てです」  氷を剣の形にして、ヘルクラインに向き合う。 「さて、兄上。私は兄上に剣技で勝ったことがありませんが。本気でし合ったことも一度もありません。貴方を一番にして差し上げるための演技でしたが、今は本気を出させていただきます」  シャムルの微笑を前に、ヘルクラインが本気の焦りを見せていた。 「演技、だと? これまで一度も勝てなかった事実を詰まらぬ狂言で誤魔化すか。魔族に堕ちると、心まで堕ちるのだな」  剣先を向けて、シャムルが前に出る。  ヘルクラインが半歩下がる。明らかに気圧されていた。 「狂言とお思いなら、それで結構。足は正直に技量の差を感じ取っているようですが?」  見下したシャムルの笑みを、ヘルクラインが歯噛みして見据える。  強く奥歯を噛み締めて、ヘルクラインが決意して突っ込んだ。 「私は魔族などに負けない!」  真っ直ぐに伸びた剣先を捉えて、シャムルが胸を突き出した。 「は?」  ヘルクラインが驚いた時には、シャムルの左胸に深々と剣が刺さっていた。  串刺しになった体が後ろに倒れて剣が抜ける。  真っ赤な血が流れ落ちるシャムルの体を魔王が支えた。 「実の弟を殺す気概、嫌いではないぞ、光の剣士」  うすら笑いを浮かべて、魔王はヘルクラインを見下ろした。 「ちがう……、シャムルが自分から私の剣に突っ込んで……。私が、殺したのでは……。お前が! 魔王が私にシャムルを殺させたのだ!」  顔を引き攣らせて怒鳴るヘルクラインを、魔王は鼻で笑った。 「イイや、お前が殺した。お前の剣がシャムルの心臓を突き刺したのだ。弟たちに引導を渡すのだろう? 首を掻っ切ってやったらどうだ?」  真っ青になったヘルクラインが剣を落としてその場に膝を付いた。 「本当に、殺す気など……、連れ帰って浄化すれば、元のシャムルとガイルに戻ると、思って……、二人の気持ちを、戻すために啖呵を切った、だけで……」  ぶつぶつと何か言っているが、魔王は興味がなかった。  ランドールに合図して、触手でヘルクラインの手足を拘束する。  ヘルクラインは抵抗しなかった。 「もしかして、実践初なのかな。慣れていな過ぎじゃない?」    隣のガイルに問う。 「兄上は光の加護を持つ魔法剣士として、象徴のような立場だったので、浄化は得意ですが。魔物と戦う時はパーティの仲間に守られていたので、自分ではブチスライム一匹殺したことはないのです」  ガイルが呆れたような気の毒なような目でヘルクラインを眺めている。 「三人の兄弟の中で、最もバランスが良く優秀なのは、シャムルですから」  ガイルの言葉は決定打だなと思った。 「張りぼての勇者様だねぇ。可哀想すぎてゾクゾクする。魔印付けたらどうなるか、楽しみだね」  ヘルクラインに絡まる触手が、既に服の中に入り込んで乳首を執拗に刺激している。  勃起したペニスに巻き付きながら、後ろの穴に入り込んで前立腺を刺激し始めた。 「ぉっ、ぉほっ……、後ろ、やぁ……ちんぽ、してぇ……」  口の中に突っ込んだ触手から淫水を流し込んでやると、嬉しそうに飲み始めた。 「兄上は国の女に加護を与えると称して手を出し、散々遊んでいたので。尻穴の気持ち善さも覚えればすぐに堕ちると思います」  ガイルが悪気無く事実を暴露した。 「高潔な聖人ぶったクズっていいよねぇ。お尻の穴、いっぱい開発して突っ込まれるの大好きな奴隷にしよう」  触手に犯されるだけで体をビクつかせるヘルクラインにワクワクが止まらない魔王様でした。

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