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第1話

 事はそう簡単に進まなかった。僕の名前は先崎塁(せんざき るい)・二十五歳。とある輸入代行会社に勤めて三年目になる普通の会社員だ。家族は両親と年の離れた弟がひとりいる。 定年を迎えた両親は田舎暮らしに憧れてリタイアしたその足で田舎に越してしまい、今家にいるのは弟と自分だけだった。ローンも既に終わっている家は税金だけ払えば自分たちの自由に出来た。でも弟・凱(がい)はまだ高校生なので事実上は僕がこの家と弟の面倒を見ているようなものだった。 「兄貴、今日俺バイトだから夕飯いらない」 「分かった。僕もたぶん接待だから帰りは遅くなる」 「じゃあ先に帰ったほうがライのご飯な」 「ああ」 「先行くわ」 「分かった」  ふたりきりの家でも犬がいるといないでは賑やかさが違う。名前はライ。黒の雑種で目がクリクリした中型犬の雄は、そもそも両親が飼い始めたものだったが、ちゃっかりしっかり置いて行かれてしまった。 『たまには帰るんだからいいじゃない』  母親の言葉にうっかり騙された。  今まで散歩や食事の世話、トイレとかやってはきたけど、毎回毎回となると負担が大きい。でもライは家族だから放っておくわけにはいかないし、一人じゃないからどうにかなってると思ってる。この家で一緒に住んでいる弟とは八歳違い。ずいぶん年も違うと思うけど、そこは両親に聞いて欲しい。それよりも容姿が、全然僕と似ていない。僕は僕で順調に育ったと思っていたんだけど弟は僕よりも順調に育ったのか、やたらと背が高く体格もいい。それに顔の具合も精悍な顔つきをしているイケメンだった。そして僕はと言えば、身長も普通だし体格も普通。加えて顔が軟弱なせいかやたらと告白される。異性はあるにしても同性は「どうかな?」と思ったりしてたけど、返事はいつもお断りしてた。だけど自分の好きになる相手がいつもずいぶん年上なのに最近気が付いた。しかも自分が「どうなのかな?」と思ってた同性だ。そう。僕は老け専ゲイなのだと、つい最近自覚したばかりだった。 「よし。行くか」  全ての戸締まりを確認してから玄関を出る。 今日は取引先の社長と会って最終書類の確認をしてから自社に戻って上司に報告となっている。だから最初から取引先に行くのだが、ここの社長がまた渋イイ男で、ちょっとまだ若いなと思うのだが触手は動いてしまうほど気になる男だった。 〇 「今度ゴルフでもどう?」  書類にサインをもらい印を押しながらそんなことを言われる。あまりに唐突で、オイシイ誘いにどうしよかと戸惑ってしまった。 「ぁ、あのっ……今まだそちらには手を出していないので……」 「ああ。君まだゴルフとかやったことないんだ」 「恥ずかしながら」 「だったら僕に任せてくれればいいよ。本当に一から教えてあげるから」 「……本当ですか?」 「もちろん」 「……嬉しい」 「そう?」 「はいっ。ありがとうございますっ」 「うん。うんうん。まあ。……いいんだけどね」  持ち上げられて嬉しそうな顔をする社長に明らかに媚びた笑みを送り返す。  あー、この人のこんな顔が好きだ……。  僕は素直にそんなことを考えてしまっていた。末期だな……。  大きな取引ではないが、好みの社長との接待に心躍る。 僕は書類片手に社に戻ると次に彼に会える日を楽しみにして上司に契約の成立を報告した。 「河野商事との契約、無事取り付けました」 「ああ、ありがとう。これでお前も年間受注額トップ確実だな」 「いえ、そんな……」  今のところ棒グラフはトップを位置している。でもあくまでもこれは月間。年間までこれが維持出来るのかどうかは未知だ。今日はこれから明日からの予定を再構築して帰ることにする。午後は本当にオマケみたいな時間で、夕食は何にしようかな……と会社を出ると商店街に立ち寄る。 「おでんください」 「はい、毎度」 「弟と二人分、適当に見繕ってください」 「はいよっ。塁君は大根多めで、凱君はゴボウ巻き多めでいい?」 「はい」  ここはいつも買ってる店だから好みを知られているので余分な言葉はいらない。適当に見繕ってと言えばちょうどいい量を取りそろえてくれるから本当に重宝している。 「オマケしといたよ」 「ありがとう」  ニコッとほほえむとスマホで決済を済ます。そうしてから自宅へと道を急ぐけど、弟はまだバイトだろうから家には誰もいないと思う。  おでんを食べる前に風呂にお湯を張って部屋着に着替える。 洗濯するものを脱衣所の籠に放り込むと居間のテレビを付けながらおでんを暖めて冷蔵庫にビールを取りに行く。 「今日はのんびり出来るな……」  だけどあの河野社長とのゴルフの誘いについて、どこから攻めて行こうかと考える。 「まずはウェアとか揃えて……。って、こういうのからってのもアリかな」  ちょっと考えたが、一から甘えて見るのも手かもしれないと連絡を入れてみる。 『お誘いいただいたゴルフですが、右も左も分からない状態です。まずは練習場から始めようと思うのですが、平行してウェアなど購入を考えています。よろしければご一緒いただけると心強いのですが……ご検討いただけると嬉しいです』 「こんなもんかな……」  駄目元で個人宛にメールを送信してみる。するとすぐにOKの返事が来てギュッと拳を握りしめた。 「よしっと。これで一歩進んだ」  それじゃあ、と間髪入れずに日時を提案してそれもOKをもらう。 「よしっ。これで今度の休みは河野社長とデートだ」  今度の土曜日、ウェアを一緒に見に行ってもらって、練習場で手ほどきを受けて、それから食事でもして一日終わる。 「これは第一歩としては出来過ぎた予想図だけど、この通りになるとしたら次も早いぞ」  彼は見た目はちょっととぼけた親父のような、どこか大阪のおっちゃんのような感じだけれど、その実鋭い。だから今社長なんだろうけど、その直感が魅力だし、見た目と実力のギャップも面白いと思う。 「ああいう人は、どんなエッチをするのかな……」  相手が女性じゃなくても受け入れてもらえるかどうかってよりも、どう相手をその気にさせて受け入れさせるかが勝負だったりする。 「どうやってそこまで持って行こうかな……」  週末、楽しみ過ぎるっ……。  すべてを終えて後は寝るだけと言う段になってやっと弟が帰ってきた。 「おかえり」 「うん」 「おでん、あるよ」 「うん。風呂に入ってから食べる」 「そう。じゃ、僕は寝るから」 「ああ」 「……」  ほんと素っ気ない。凱はこっちもろくろく見ないで洗面所に消えていった。 「ふぅっ」  何か話すことがあるわけじゃないけど、やっぱり唯一の家族だからたわいない話でもたまにはしたいと思う。思うんだけど、思うのと実行するのはまた違うので現実には何にもなってない。僕は自室へと向かうとドアを締めて小さくクラシックをかけて部屋の電気を暗くした。  寝ようか、まだ寝ないか迷うところだ。  何の気なしにスマホを開くとダラダラとニュースのチェックをしてみる。 世間では教師が生徒ほどの年齢の子と関係を持って捕まったりしているけれど、僕が現役のころはそんなの半ば当たり前で、可愛い子は狙われるってのは常識だった。だから警戒しなくちゃいけない。でもその年齢じゃよく分かってないのも事実で、その毒牙にかかったのも僕なわけで。そのせいで同性への性行為にも目覚めてしまった。 ■  僕の初めての体験は学校の先生じゃなくて塾の先生だった。 学校が終わって家に帰って着替えてから行くだけの時間があった。塾の先生は学校の先生みたいじゃなくてもっとフレンドリーだった。そして優しかった。だけどその先生からリクエストがあった。それは制服で来て欲しいと言うこと。 『……いいですよ?』  分からないまま、着替えなくていいならまあいいかって感じで、ちょっとつまみ食いをしてからそのまま塾に出向く。他の子は私服なのに対して制服ってのは少し恥ずかしかったけど、部活帰りの子は制服のままだったから目立たなくて嫌でもなかった。 そしてまた先生からのリクエスト。 プリント制作手伝ってって。 そんなのチューターさんにしてもらえばいいのに……って思ったけど、嫌いな先生じゃなかったから引き受けた。  先生は三十前の爽やかイケメンで女子受けも良かった。 そんな先生が僕も好きだった。そして先生も僕が好きだった。裸に剥かれてしゃぶられてイかされて後ろが感じるまで嬲られた。 『ぁっ……ぁっ……ぁっ…………』 『どう? こういうの、したことある?』  聞かれて首を横に振ったのを覚えている。 爽やかイケメンが卑しく笑う。その顔を見て不覚にもゾクッと感じてしまい射精してしまったのが運の尽き。で、その後散々後ろを掘られた。下半身が腰砕けになるほど最初から掘られて善がり狂った。自分から出てるのが小便だか精液だか分かんなくなるほどしごかれて、それから毎回貪るように同じことを繰り返した。  跡は残さない。でも精液はぶち込む。  そんな関係は僕が高校を卒業するまで続いた。 それからも続くのかと思ってたんだけど、彼の好みは制服を着た現役だったらしくて制服を脱いだ僕には興味はなかったみたい。 僕もその頃には彼に指導されるのはちょっと違う気がしてたから好都合だったのかもしれない。  大学生になったらなったで、今度は助教授に目をつけられて大学の彼の部屋で行為に耽った。 でもそれをいつからか別室で教授にも見られてて、それを助教授の彼から知らされてからは妄想が膨らんで仕方なかった。 結局教授とは出来なかったけど、覗かれてると思いながらするエッチは凄く良かった。 ■  学生の頃からこんなんだったから自然と異性には興味がなくなっていたのかもしれない。無意識に同性ばかりを目で追っていた。初体験が初体験だったから、目がいくのは年上ばかり。そして教授のことがあったから、実際にしている人よりもそっちのほうに興味が行ってしまって、親ほど年の離れてる人やそれ以上でも気に入った相手なら股間が疼いてしまうようになっていた。 「あー、食いてぇ、河野社長……」  そう思うと手が股間に行ってしまいモノをしごき出す。でもそれだけじゃ満足出来ないからもう片方の手で後ろの穴を弄り出す。ただ弄るんじゃなくてもちろん滑りがいいように指にオリーブオイルを塗ってだよね。そうするとすんなりと指がソコに埋まっていく。 「んっ……。んんっ……んっ」  あの人のモノはどんなんだろう。堅さは? 匂いは? 味は?   色んなことを考えながら前と後ろを弄くる。 後ろが指だけじゃとても足りなくてモノを欲しがる。だから偽物の男根で嬲ってみるけど、本当はそれじゃ足りないことくらい分かってるのに今はそれしかないことが空しい。 「んっ……んっ……んんっ」  後少し、後少しでイケる。と思ったら、下から弟が上がって来た。 もちろんあいつの部屋も二階にあるのだから来たっておかしくはない。おかしくはないんだけど、出来れば僕の部屋はスルーして自分の部屋に直接行って欲しい。僕は布団の中で身動きせずに足音が通り過ぎるのを祈った。だけどそんな時に限って足音は部屋の前で止まってしまった。そしてノックもなくガチャッとドアが開く。 「……」 「兄貴、あれさ」 「……何」 「あっ……と…………」 「何」 「おでん冷蔵庫に……って、やってた?」 「……何を?」 「いや、いいけど」  見てないけど口調で分かる。絶対ニタッとされてからドアが閉まった。  完全にバレた。やってるのバレた。別にひとりエッチなんて誰でもするんだからいいんだけど、布団で何やってんだか正確には分からないからいいんだけど、それでもちょっと恥ずかしい。 「また萎えた。全部あいつのせいなんだからなっ」  ブツブツ言いながらも、もう途中で止めるのは嫌だったので、気を取り直してもう一回動画を観て自分をその気にさせようとする。 内容はおじさまに教育される少年。愛の手ほどきよろしく色んなことを教えてもらい、体に刻み込まれるお話だ。 「んっんっんっ……」  埋め込んだ男根のバイブ機能を最大限にして腰を振りながらモノをしごく。乳首を摘んでモノの先端に爪を立てると痛くて体がビクビクする。 「あああっ! ぁっ…!」  ドクドクッと手の中に射精してやっと安堵のため息が出た。  こんな風に、弟と同居だと色々な面で多少の不都合はあるけれど、同性だからさっきみたいなことはあっても非難はされない。ただ僕の場合相手が男がいいって面では非難されても仕方ないんだけど……。 「はぁぁ……」  射精してやっと落ち着いた。 「寝よ」 ●  今日は河野社長とゴルフウェアを見行って練習場で手取り足取り教えてもらう日だ。 僕は今日の日を指折り待っていた。うまく。うまく回れば彼を誘えるかもしれない。そんな淡い期待を胸に彼のマンションまで迎えに行った。 「おはようございます。先崎です」 「ああ。わざわざ家まで来てもらってすまないね」 「いえ。こちらこそ今日はお付き合いいただいて申し訳ないです」 「いやいや。ちょっと待っててくれ。今下に降りて行くから」 「はい。お待ちしてます」  車に戻ってしばらくするとゴルフウェアの彼が玄関から出てきた。いつもはスーツ姿しか見てないから違う格好だとまた萌える。 「まずどちらから」 「ああ。まずはモーニングから行きたいね」 「モーニング?」 「喫茶店だよ、喫茶店。この近くにうまい店があるんだ。まずはそこからお願いしたいな」 「分かりました」 「ぁ、朝取って来ちゃった?」 「大丈夫です。では向かいますね。まずはこっちに走っていいですか?」 「ああ」  河野社長の言う通り、オススメの喫茶店はモーニングがてんこ盛りで、朝から昼食まで取ってしまったかと思うくらい腹に入れた。 これ以上入らないってくらい入れたから眠気に襲われないようにしなくちゃいけなかったけど、それからウェアを買うためにショップに出向く。社長と僕の給料の差があるのは重々承知だけど極力彼の価値観に合わせようと腹を決めてショップに入る。 「これなんかどう」 「僕は分からないので、社長にすべてお任せします」 「あのさ、今日は休日だから社長はやめて欲しいな」 「ぁ、すみません。では河野……さん?」 「うん。秋生でもいいよ」 「ぇ、でもいきなりそれは……」 「ははは。じゃあ徐々にってことで」 「はい」 「君のことは塁君でいいかな」 「あ、光栄ですっ」  いきなりの名前呼びでちょっと舞い上がる。だけどそれは全面顔に出すといけないような気がして、ちょっとはにかむ。  彼は僕にも買えるくらいの価格帯でウェアをチョイスしてくれたので財布には優しくて助かった。それから当然だけど練習場に行って手取り足取り腰取り教えてもらった。 「ここはこうやって腰をグイッとね」 「ぁ、はい。こう……ですか?」 「いやいや。もうちょっとこう思い切ってグイッとね」  そっと腰に手をやって、こうやってもっと捻る、みたいな感じで触られるとフフっと微笑んでしまいそうになる。彼は僕の狙い通り僕の体にタッチして密着してくる。それだけで結構満足なんだけど、いつまでもそんなんじゃ物足りない。この先どうやって彼ともっと親しくなろうかと思っていると、意外にも彼のほうからホテルに誘ってくれた。と言うか、練習場で汗を流した後、少し早い夕食のような、少し遅い昼食のような感じでホテルのレストランに誘われた。 腹も減っていたから誘われるままついて行くと、「部屋を取ってあるから」と言われて一瞬何のことか分からなかったけど、つまり……つまりは相手もその気があるということで、こっちがあれこれ考えているよりも彼は僕がご所望なんだと知らされた。ある意味ラッキー。これからどうする? 夢みたいだ。 だから食事の味はよく覚えていない。そして部屋。ルームキー代わりのカード片手に二人してエレベーターに乗り込む。 「十階だから」 「……はい」  最上階のレストランで食事をして、それからすぐ下の階にエレベーターで移動する。彼はもうルームキーを忍ばせていたんだと思うとクラクラしてしまった。  エレベーターを降りて部屋までの赤い絨毯を踏みしめる。 僕は「これは本当なんだろうか……」とか、「こんなことあるはずない」とか、色々思った。だけどこれは現実だし、彼も僕のことを好いていてくれたんだと思うと舞い上がる気分だった。  部屋の前に来て鍵が開く。 彼はまず僕に入るように促してくれた。これは本当に本当なんだと感じるものがあった。 パタンとドアが閉まる。それと同時に後ろから抱きつかれてビクッと体が震えた。 「最初に会った時から、そうじゃないかと思っていたんだ」 「ぇ……」 「君の体、君の腰、君の尻、すべて僕の好みだよ」 「ぁ……」 「今夜……泊まっていける?」 「は……はぃ……」 「そう。良かった」  言いながらも彼の手はもう僕の体を弄っていた。なんていやらしい手なんだと思った。僕はそんな手が大好物でもあるんだけど。後ろから被い被さりながら上着の中に手が入ってくる。もう片方の手は僕の尻から股間へと移動してきて服の上からモノを触ってくる。 「ぁ……」 「この体……、癒してくれる人はいるの?」 「いえ、僕はっ……」 「そういうの、持たないタイプ?」 「そ……んなことはないんですけど……」 「じゃあ、選り好みしてるんだ」 「そんなことないですっ。僕は……年上の人が好きなので……」 「ああ。だったら僕なんて持って来いなのかな?」 「ぁ、はい……」  実は。 「そう。それを聞いて安心したよ」 「……」 「年上のどんなところが好きなの?」 「……僕の……知らないことも知ってるし……、経験も豊富だろうし……ぁ……ぁぁっ…………」 「うん。まあ、ちょっとは経験してるからね」 「んっ……んっん……」 「このままシコると服、汚れちゃうね」 「は、はぃ……」 「脱ぐ?」 「ぬ、脱ぎますっ」 「じゃ、ベッドに行こうか」 「はい…………」  そして僕は明かりのついたままの部屋で言われるまま服を脱ぐことになった。 「まずは上着だよね」 「……」 「皺になるから椅子にかけて」 「……はい」  言われるままに上着を椅子にかけると次の言葉を待った。 「じゃあ次は下。下着ごと全部脱いで」 「……」 「早く」 「は、はいっ……」  下着とズボンと靴下。それを一気に脱ぐと下半身がスースーする。 下は丸出しなんだけどワイシャツで何とか隠れている状態。だけど裾を引っ張ると恥ずかしくて隠しているみたいなので、あえてそうしなかった。すると彼は腰かけていたベッドから立ち上がると僕の近くまできて跪いた。そしてのれんを潜るように僕のシャツを捲ってきた。 「!」 「んー。こっちの経験はどうなのかな……。使い込んでるようには見えないけど……?」 「僕は……その、されるのが好きなので……。そっちはあんまり有意義に使ったことはないです」 「女に入れたこともない?」 「……頑張ろうとしたことはあります。でも……結局駄目だったので…………」 「じゃあ、しゃぶっちゃおうかな」 「あっ」  言うが早いか、彼はまだ勃ち上がってもいない僕のモノに手を伸ばすとペロリと舐めてから一気に口に含んだ。 「んんんっ……んっ……んっ……ん」  彼は立ったままの僕の袋を揉みながらモノをしゃぶって勃起させた。ある程度堅くなるとそれをポロリと吐き出してシャツのボタンをひとつづつ外して僕を丸裸にさせた。 「傷一つない、綺麗な体だね」 「……ありがとう……ございます」 「いつも、どうしてるの?」 「いつも?」 「そう。どうやって自分で慰めてるの?」 「それは……その……道具を使ってとか……」 「どんな?」 「シリコンで出来たディルドを……」 「尻穴に?」 「……はい…………」 「さて、じゃあどんな尻穴をしているのか見せてもらうから、ベッドで四つん這いになって」 「は、はぃ……」  彼に背中を向けて素直にベッドで四つん這いになると、彼は僕の尻を覗き込むように顔を近づけて尻の肉を手で広げた。 「ぁっ……!」 「力を抜いて」 「は、はい……」  僕は言われるまでもなく尻の力を抜いていた。  ああ、今から彼にソコを弄られるんだ……。  そう思うだけで腰が揺れてしまいそうだった。それを我慢して穴を外気に晒す。 「引き締まってるね」 「ぁっ! ……」  ソコに顔を近づけて言われると息がかかって小さく叫んでしまっていた。 「いいなぁ。今喜ばせてあげるからね」  彼がもどかしい感じで服を脱いでいく。僕はただただ四つん這いで彼が来るのを待っていたけれど、事はそううまくはいかなかった。  生唾を飲み込むような一時、荒々しく部屋のドアがノックされたからだ。 「ぇ……」  ドンドンドンドンドンッ! ドドンドンドンドンッ! ドドンドンドンドンッ! 「なっ……なに?」 「……」 「秋生っ! いるの分かってるんだからねっ! 早く開けて!」 「秋生 ?」 「あいつ……」  めざとい。そんな感じで彼が口走る。 「秋生ッ! 早く開けないとフロント行くからね⁉」 「どういうことですか?」  あれ、誰ですか? 的な感じで彼を振り返ると、彼はそそくさと洋服を着だしていてビックリしてしまった。 「服着て」 「え?」 「いいからさっさと服着て」 「ぁ、はい……」  ナンダコレ。  訳が分からなかった。だけどこれはただならぬ雰囲気。なんかヤバい。それだけは分かったので急いで服を着る。それさえももどかしいように外からは急く声が聞こえてきた。 「秋生っ!」 「わ、分かった。分かったから、少し静かに」 「……」 「いい?」 「ぁ、はい」  彼がそそくさとドアに向かって走って行く。そして鍵を開けると勢いよくドアが開いて男が中に入ってきた。  ズカズカドカドカと足音がするんじゃないかと思うほどの勢いで入ってきたのは、驚くほど若いコだった。まだ少年と言ってもいいくらい若い。きっといつもは学生服を着てるんだろうなと言うのが分かるくらい若かった。 「あんた、こいつともう会わないで。こいつはね、ブラックバスなの。何にでも食らいつくタチの悪い外来種。あんたじゃ手に負えないから付き合わないで。分かった?」 「あ……なたは……?」 「ああ。僕はこいつの子供って言うか、養子って言うか、いわゆる内妻ってヤツ?」 「ぇ…………?」 「ああっと……。あんたは初めてかもしれないけど、こんなのしょっちゅうだから。僕は気にしてないから、あんたもここで起きたこと、しようとしていたこと? は、さっさと忘れて。こいつとは私生活で関わらないこと推奨するよ」 「ぁ、はい……」 「じゃ、もう帰って。僕は今からこいつにお仕置きしなくちゃならないから」 「……」 「秋生、土下座。彼に謝って」 「は、はいっ」  彼が少年の言う通り絨毯の上に座り込んで頭を擦り付けた。 「どうもすみません。誘ったりして申し訳なかったです」 「ぁ、いえ……」 「と言うことで、ここで起きたことはなかったことでお願いします。以後彼には不埒なことをしないように教え込んでおきますから」 「ぁ、はい……」  それからすぐに「どうぞお帰りください」と部屋から放り出されてしまった。  廊下に出されてしまった僕はと言えば、ただただ唖然とするしかなかった。 しばらくその部屋の前で動けずにいると中からビンタされる音が聞こえてきて、これ以上ここにいちゃいけないな……とその場を後にした。 「はぁ…………。何この展開……」  今日は特別な日になるはずだったのに……。ホントがっかりだよ…………。 「僕って浮気相手として選出されただけ、なんだよな……?」  そう思うと最後まで行かなくて良かったと思う。僕自身も他人のものを取るなんて、出来ればしたくないし、されたくない。 「でもあの人、あんなに年の離れた子がいいんだ……。それにあの子強かったな」 ●  そんなこんなで僕はすべての買い物を彼の車に残したまま家に帰った。まったくもったく脱力気味気味だよ。 「あれ、おかえり。今日は遅くなるかも、とか言ってなかったっけ?」 「うん。……ちょっと予定が変わった」 「じゃあ晩飯食う?」 「もうちょっとしてから」 「分かった。今日は俺がカレー作るから」 「分かった」  帰ってくるとちょうど夕食の時間だったけど、凱も帰ってきたばかりみたいだった。 僕は変な時間に食事を取ったせいか、今はまだ何も食べたくなくて先に風呂に入ってしまおうとパジャマ代わりのスエットと下着の支度をして階段を降りた。 凱はキッチンに立って夕食を作り出していた。 「風呂ってお湯入ってる?」 「まだ。さっき洗ったからボタン押して」 「ああ」  まだ入れはしないんだと思うとちょっとだけ気が滅入る。 僕は風呂のお湯を入れるボタンをポチッと押すとリビングのソファに座った。お湯が入るまでには十分くらいはかかる。  テレビでもつけて待つしかないか。  いつも何を観ているわけでもないのでニュースがやっている時間だったからニュースを観た。そして天気。  しかし明日からどんな顔で彼と会おう。あんな恥ずかしい格好までしたって言うのに……。  表面上はお互い涼しい顔をしているだろうけど、心の内はどっちも焦ってるに決まっている。 そんなことを考えていると「手伝ってよ」と声をかけられる。 「まだ風呂の水入らないんなら人参の皮でも剥いてよ」 「いいけど」  僕が当番の時には手伝わないのに、自分が料理を作るときには僕に手伝わせる。 おねだり上手な弟だと思うよ。でも僕は兄ちゃんだから弟にはちょっと甘くて、言われれば手伝ってやる。ナリはあっちの方が圧倒的にデカいけど、弟は弟。困っている時には助けてやりたくなるってもんだ、と言いなりになる。結局風呂の湯がいっぱいになるまで人参とジャガイモの皮を剥くことになった。それを凱が切って鍋に放り込んでいく。 「今は何をやってるんだ?」 「バイト?」 「ああ」 「今は居酒屋の下拵えとウエイター」 「下拵えだったら料理の幅も広がったんじゃないか?」 「まあ、そうだけど」 「だったらさ」 「はいはい。今度家でも作るから。てかさ、今度新商品コンテストあるんだよね。だからどんなのがおいしいか考えないといけないわけ。まずは家で作ってみるから味見してよ」 「僕でいいなら何でも 何度でも食べるよ?」 「サンキュ」 「うん」 「兄ちゃんこそ、今日はほんとはもう少し帰り遅いはずだろ?」 「相手の都合で切り上げになった。だから仕方ない帰って来たってわけ」 「そんなことあるの?」 「たまにはね。今日も接待って言えば接待だったし」 「そっか」 「うん」 「俺も何年か後にはそんな風に働かなきゃならなくなるのか……」 「いや、絶対じゃないし。職種によっても違うだろうし。第一お前が何になりたいのかが分からないし……」 「俺も別に何になりたいとか決まってないからな」 「決まったら教えてくれると嬉しいな」 「分かってる」  やっている間に風呂が入ったと音声が流れて手を止める。 「入れば?」 「うん。じゃ、後頼むな」 「ああ」  出来上がるまでにはまだ時間がかかりそうだ。 ○  裸になって浴室に入ると、まずはシャワーで体を洗う。 「あーあ。損しちゃったな……。あんなことなら色々買わなきゃ良かった」  それもこれも先行投資的な考えがあったのも否めないわけで。  もう今後ゴルフはやらないだろうな……なんて思いながらも痛い出費だったな……と痛感する。  あの会社の担当は外してもらったほうが賢明かな……。  色々考えながら湯船に浸かって暖まる。 「最後まで行ってたらまた違ったのかな……」  思いはしたけど、何度考えても終わったものは終わったのだ。新しいターゲットを探そう。  すぐには気持ちの整理は出来ないけれど、それでも整理はつけないと。僕はまた懲りずに今夜は道具に慰めてもらおうと思った。今度は邪魔されないぞ。 ●  河野商事の仕事を交代してもらうと、また新たな会社に出向く。だけどそこは女性が活躍している職場で、めぼしいターゲットはいなさそうだった。  綾野縫製。聞くからに女性が多いだろうな……と思いはしたけど、やっぱりね……と言う展開だった。 いくら僕でも片足棺桶に突っ込んでる老人に手出しはしちゃあいけないと思う。そうなると当てはまるのは妻帯者の工場長くらいしかいないわけで……。どうしたものかと思ってみるけど、何かここに望みはないな……と諦めの方が勝つ。なので気長にここから派生した場所での獲物を狙うってのはどうだろうと楽しい営業ライフを心がける。  ここでのウチの取引は布だったりする。さすがに糸は国内のほうが信頼されているので、ここは布だけでも……と売り込みさせてもらった。シルクじゃないけど、シルクロードってワードは今でも根強い。そこを海外の会社も分かってるからちゃっかり社名に入れてきている。 「ここはストックも多いし、我が社も仕入れには万全を期しています。なので品が足りなくて工場がストップとかにはならないと保証出来ます」 「へぇ…………。ちょっとこの布、触ってもいいですか?」 「ぁ、はい。どうぞ」  取引に興味を示してきたのは、今日初めて見るこの会社の若社長だった。名前は綾野陸郎(あやの-りくろう)。まだ見習いの状態らしいけど、ここは将来を見越してみるのも悪くないと思わせるほどのオイシさだった。つまり食べがいがあるって言うのかな。まだ案外若いんだけど食べてみたいと思わせるだけの何かが彼にはあった。普段若さに惑わされる僕じゃないのに、彼には妙に関心があった。なんでかな……。たぶん掃き溜めに鶴、みたいな感じだったんだと思う。モノに なりそうなのが彼しかいなかったからそれを食おうとか、そんな感じだ。それなりに逞しいし、声も僕好み。笑うと出来る目尻や頬の皺の出来具合がイケてると思った。 「これ、ウチで使うとしたら何を作るのがオススメですか?」 「そうですね……。それを今日工場長さんとお話出来たら……と思ってたんですが、私なら革の代わりに使用出来るのではと思っています」と僕は即興で答えた。 「革の代わり?」 「はい。これなら布ですから、たとえば襟とかポケットとかに革っぽくポイントとして使っても支障ないです。洗っても色落ちもしませんし、丈夫ですよ?」 「ポイントとしてね……」 「はい。色は無難な色から奇抜な色までご用意出来ます」  いかがですか? と相手を伺う。この人では判断出来ないだろうと思いはしたけど、重要なポイントとなる人物ではあるので大丈夫だと思った。彼は彼で、彼の立場ではすぐに「いいね、それ。進めて」と言えるはずもない。 「工場長、呼びましょうか」となって即座に工場長が来て「いいと思う」と口にした。 「今来ている案件でちょうどそんな生地を探してたんですよ」 「本当ですか!?」 「ええ。まさにポイントで入り用でして、ちょうど何社か問い合わせしようとしていたところなんです」 「だったらこれも考慮していただけますか?」 「もちろんです」  快い返事をもらえてちょっと有頂天になってしまった。彼にも利はあるし、これはいい兆しだ。 明日にも色々なサンプルを持ってまた伺うことを約束して事務所を出る。ガッツポーズを抑えて車まで歩いていると、さっきの若社長・陸郎が追いかけてきた。 「ちょっと……! 待って! すみませんっ!」 「? ……はい」  何か忘れ物でもしたかな……と振り向くと、思いの外勢いよく彼が突っ走ってきていた。ギョッとしたけど、それを顔には出さずに対応する。 「あのっ! 今からお時間ありませんか?」 「え?」 「ぁ、あのー。もうちょっとあなたと話したくて……ですね……」 「?」  つまりこれは?  相手のモジモジ具合を見ると、用事は仕事ではなく僕自身にあると言う感じだった。 気に入られたのかな? 後々のこともあるし、ここは彼のことを知っておくためにも付き合ったほうが良さそうだ。 「仕事は? 大丈夫なんですか?」 「ああ。君がOKなら今から外出届け出して来る」 「僕は…………」  ちょっと溜めてみるとソワソワしているのがよく分かる。そんなに苛めてもしょうがないから快くOKを出した。 「いいですよ。後は社に帰るだけですから」 「ホントに!?」 「ええ」 「じゃあ、ちょっと待ってて」  嬉しそうに戻って行く彼を見送ってから自分の車に乗り込む。しばらくするとカバン片手に走って来る彼が見えた。 「乗っていい?」 「どうぞ」  車を出すと、この人がどこに行きたいのかが分からずにチラチラ横目で見てみる。 「どこか……落ち着いて話せる場所はないですか?」 「……喫茶店とかですか?」 「ああ。いいトコ知ってますか?」 「いえ。この辺は僕のエリアではないので……」 「じゃあ適当に入っちゃいますよ?」 「ええ。お願いします」 ○  気が付いたら僕は車内モノをしゃぶられていた。 「あっ……ぅ……ぅぅ……んっ」  何でこんなことになっちゃったのかはあんまり分かっていない。 喫茶店に入って彼がまだ社に入ったばかり、しかも右も左も分からないのに「若社長」と呼ばれることに違和感を覚えているのを知った。周りに気が抜ける友達が誰もいない。窮屈で仕方ない。それに僕が好みだと付け加えてきた。それで決まりだと思った。  あんまりおっさんじゃないけど僕よりは年上だから許す。  筋肉付いてますってのも触り心地がいいから許す。  最初から股に手を伸ばしてきたのには驚いたけど、服の上からモノを揉まれてキスされるのは好きだ。 キスした口でモノをしゃぶられてると思うだけで堅さを増す。  公園の一番目立たない駐車場の一角に車を止めて昼間からこんなことをしている。 誰かに見られやしないかとハラハラする思いと気持ち良さに目眩を感じる。僕はされるがままにしゃぶられてイかされて惚けていた。それからお礼にと言わんばかりに彼のモノもおしゃぶりして精液をいただく。そして車外に引きずり出されて青姦よろしくベルトを外されて下着ごとズボンを下ろされて後ろから生身のモノを挿入された。 「うううっ……!」 「ごめんっ」 「やっ……」 「ごめん。凄くいいっ!」 「あっ……! ああっ! ぁっ!」  前戯も無しにいきなりの挿入に僕はただただ力を抜くしかなかった。 極力力を抜いてダメージを抑える。それしか手がなかったと言ってもいい。根本まで入れられて後ろから抱き締められると耳元に荒い息がかかる。 「俺……あんた好きだっ! もっと抱きたいっ!」 「ゃ……痛っ……」 「腰つきがやらしいんだよっ! 今までにだって余裕で何度も襲われてるだろ?」 「ぐっ……ぅ…………」  入れられながらそんなことを言われても返す言葉なんてなくて。 僕は後ろから生身のモノを出し入れされて萎えていたモノをしごかれ勃起した。そしてお互いに二度目の射精をするまで離してもらえなくて泣きそうになっていたのも事実だ。 「ああっ。いいよ、いいっ!」 「あっ! ぁぁっ! あっ!」  彼は僕の中に、僕は土の上に射精してやっと落ち着く。それから胸の突起を摘まれて弄ばれたり、袋を揉まれたりして余韻を楽しまれた。僕も僕でそんな雰囲気に酔わされてしまったらしく、されるがままになっていた。 「ふっ……ぁ……ぁ」  気が付くと遠くから物欲しそうな浮浪者が僕たちを見てシコってて尻の穴が引き締まる。 「何? もっとしたいの?」 「違っ…………! ぅぅ……ぅ……ぅ……」  勘違いされてもう一回中で射精されるまで事は終わらなかった。 汚くなってしまった服を目の端に捕らえながら、今日は直帰にしなくちゃな……と頭の中で考えていた。 ○ 「ごめん……」 「……」 「こんなつもりはなかったんだけど、君を見てるとムラムラしちゃって…………」 「やってから言われてもね」 「服……洗いに行こうか」 「いいです。もうこれで家に帰りますから。もし誰かにこの格好見られたら「土手で滑った」って言います」 「ごめん……」  すっかりしょげてしまっている彼は助手席で項垂れていた。僕は僕で汚れてしまった体や服を塗れたタオルで拭っていた。 「いきなりってのは、いただけませんよね」 「うん……」 「でも僕もあなたのしゃぶりましたしね。お互い味見は終わったと言うことで終わりましょう」 「ぇ……始まりじゃなくて?」 「ええ。僕はこんなに乱暴な行為、好きじゃありませんから」 「それは謝る! あまりに久しぶりだったから……。それに君、俺の好みだし……!」 「あなたは……自分の好みだから抱くというのを正論だとでも思ってるんですか?」 「そ…………れはっ…………」 「そんな言葉には騙されませんよ。僕はこれで満足しましたからもう十分です。お腹いっぱいです」 「そんな……。そんなこと言わないでっ」 「最寄りの駅で下ろすので帰ってください。これからは工場長と話をしていきます」  有無を言わさず車を発進させると無言を貫く。それから先、彼は申し訳なさそうな言葉を吐き続けたけど、僕は聞く耳を持たなかった。 ●  乱暴な行為の後で、『具合が悪くなったから医者に行ってそのまま帰る』と社に連絡すると帰宅した。 車はちょうど父親が車を置いていた場所に置けたから汚い格好を晒すのは最短の距離で済むなと安堵しながら玄関へと急ぐ。 「ぇ…………。空いてる…………」  ここで誤算が生じた。 玄関の鍵がかかってなかったんだ…………。と言うことは、すでに凱は帰っていると言うことで…………。 この時間なら絶対に誰もいないと思ったのに…………。 「二階にいてくれるといいんだけど…………」  そんなことを考えながらそっとドアを開けて一番奥にある浴室へ行こうと足を進める。だけど奴は浴室手前にあるキッチンにいた。 「ぁ…………」 「兄貴、今から例の…………。って、どうしたんだよ、その恰好」 試読終わり

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