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第1話

【はりきって浴衣を着ていったら酔った幼なじみがバックからがんがん突いて花火が見れません】 夏に父の実家に帰郷したら、祖父がサプライズを。 若いころ着ていた浴衣を俺用に仕立て直してくれたのだ。 去年の夏、浴衣を見せてくれたとき「この柄、かっこいー!」と俺が羨ましがったかららしい。 腕に袖をとおして、あらためて祖母に仕立ててもらってから、浮き浮きでその日の祭りにレッツラゴー。 そりゃあ祖父のおさがりをもらえてうれしかったし、幼なじみが見たらどんな顔をするだろうと胸が弾んで。 幼なじみマオチンは同い年で、帰郷するたび遊んでいるし、以外でもよテレビ電話で話したり、彼のほうがちょくちょく俺の家に遊びにきたり、交流が盛ん。 自然で育ったわんぱくな野生児、今は高校生で柔道部に所属しているとあり、都会育ちの軟弱な俺からしたら、筋肉で張りつめ焼けた肌が目に眩しい頼れる兄貴分。 古風なものが好きとなれば、ぜったいに誉めてくれると思ったのが。 待ち合わせ場所にて、忍び足で近より「マオチン!」と背中に声をかけたら、振りかえって目を丸々。 「あ、ああ、浴衣を着てきたのか」と応じて、すぐに前に向きなおり、ほかの友人と談笑。 「あ、友だちと話で盛り上がっている最中だったのかな」と思いきや、そのあとも呼びかければ向きあってくれるが、一言二言でそっけなく、ろくに目をあわせず顔をそらす。 ほかの友人とは、さほど親しくないから気まずかったし「え?俺、自覚なしに、なにか怒らせるようなことした!?」と内心、焦ったし、といって、まわりに人がいては理由を聞けないしで悶々。 いやいや、昨日、テレビ電話をしたときは「花火がいちばんきれいに見える場所、案内してやるよ!」と花火好きな俺のために、にこやかに胸を叩いていたはず。 そのあとは祭りで会うまで連絡せず、顔もあわせていなく、俺が下手を打ったからご機嫌斜めとは考えられない。 「いつも通りに接しているつもりだし、とくに変化したことなんて・・・」と首を捻り、はっとする。 変化といえば、浴衣。 友人の集まりで着ているのは俺だけとあり「もしかして浴衣にトラウマが!?」と閃くも、クラスメイトらしい女子がお披露目をしても、べつに拒否反応はなし。 「似合うでしょお」と笑いつつ、やや頬を染めるのに「おーおーそうだなあ」と微笑ましげに眺めている。 「俺のことは、そんな目で見てくれないのに」と胸の痛みに耐えられず。 【借金を背負う俺は二人の勇者に拾われて二本の伝説の剣で弄ばれる】 俺は 名だたる凄腕の剣士ながらギャンブル狂。 多額の借金をして、常にトラブルに見舞われるから、そりゃあパーティーに加入させてもらえず。 収入がないくせにギャンブルをやめれないから泥沼に。 とうとう首が回らなくなり「こうなったら体で払ってもらうしかないな」と宣告されたそのとき。 待ったをかけて借金の肩代わりをしてくれたのが二人の勇者だ。 そう、この世には魔王を打倒すべく勇者は二人いる。 聞いた話、伝説の剣も二本あり、別々の場所にあったそれを同時に引きぬき、お互いの存在を知ってからは協力して旅をしているとか。 一人は色白の爽やかな優男、一人は色黒の野性味のある強面。 あだ名は白勇者、黒勇者で、オセロのように対照的な性格をしながらも二人とも男前だからモテるという。 噂通り「これからの厳しい戦いにはきみの剣の腕が必要だ」と紳士的に手を差しのべた白勇者に対し「一生の恩だと思えよ。奴隷のようにこき使ってやる」と傲然と鼻で笑う黒勇者。 息のあったいいコンビで、意外と接しやすかったし、ほかの仲間も歓迎してくれ、パーティーでの居心地はわるくなかったのだが。 広大な森をひたすら歩く道中、ギャンブルをしたくてもできず。 日中は戦闘をしたり忙しくて、あまり意識しないのが、夜は体をかきむしりたくなるほど耐えられなくて。 気を紛らわすために森の開けた場所で剣の鍛練を。 熱い筋肉を震わせて闇を切るように剣を振るっていたら「精がでますね」「遊んでぶちのめしてやるよ」と二人の勇者が登場。 戦闘で二人が伝説の剣をふるうと衝撃波が放たれる。 剣に宿る神の力によるもので、ほとんど衝撃波で倒すから、直接的な攻撃はしない。 つまり剣と剣を交える経験がすくなく、熟練の剣士の俺に敵うはずがないわけ。 「二人でこい」と挑発したところで、易々とあしらってみせる。 借金を肩代わりしてもらったに、ふだんは頭があがらないから、ここぞとばかりに嘲弄。 が、すこし油断したようで、むきになった黒勇者が足で砂をかけて目眩まし。 【悪役令息の強火担が天敵の俺をむしゃぶりつくように抱いてどうする】 俺はサラリーマンでありつつ、趣味でイラストレーターを。 たまに依頼されて動画や本のイラストを制作。 今回の依頼は乙女ゲームの同人誌の表紙と小説の挿絵。 内容は外道な悪役令息が清純なヒロインを・・・という十八禁もの。 といって依頼ではエッチな雰囲気を醸しつつ、直接的な描写はなしで、とのこと。 その意向に沿ってのイラストを提出したところ大変、満足していただけ同人誌が発行。 イベントでは完売したとの朗報を聞いて、俺も満足したのだが。 半月後、依頼主からメッセージが。 先の同人誌販売は大成功だったものを、じつはトラブルが発生して長引いているらしい。 悪役令息の強火担が「彼はこんな卑しく性根が腐っていない!」としつこくクレームしているという。 イベントで直接、依頼主に抗議したし、以降もネットで「この同人誌はヘイトに満ちている!」と風評被害を。 まわりが「悪質なクレーマー」と見なし、無視したからよかったものを、おかげで余計むきになった彼は俺にまで敵意を。 「本家のイラストより、ずっと下手だし醜くて見るに耐えない!」と罵詈雑言を吐きだし、俺の過去作にもけちをつけているとか。 必要最低限にしかネットを使わず、SNSなど利用しない俺は知らなかったが。 「そう、レトリーバーさん(俺のハンドルネーム)がネットにあまり顔をださないから、相手は『もう直接、会って叱るしかない!』って思っているようなの。 で、サークルの人たちから、あなたについて聞きまわっているらしい。 たぶん、こんどのイベントに参加するのが、ばれたと思うから気をつけて」 俺は趣味の延長の仕事をしただけで、悪役令息にとくに思いいれはない。 そんな俺に文句をいうのは、お門ちがいだが、依頼主の話を聞く限り、まともに話が通じなさそう。 といって狂ったクレーマーに怯んでイベント参加を断念するのも癪。 「真のおたくの品位とはなんたるか、逆に説教してやるよ!」と息巻いてイベントへゴー。 【映画のラブシーンを親友と見て発情したら取り返しがつかなくなった話】 映画が大好物で暇さえあれば作品を漁って鑑賞する俺。 その熱中ぶりにまわりは呆れるばかりで、語りあえる仲間がいなかったのが、大学で俺に劣らない映画漬けの親友をゲット。 「太良」といい、アメリカの有名な監督が名前の由来というから生粋。 メジャーからマイナー、B級などジャンルも問わずに、片っ端から鑑賞するスタイルは俺と同じで、どれだけ熱く語りあかす日々を過ごしたことか。 その日も「これ超マイナーだけど、ジャケットに惹かれて!」と太良が突きだしたDVDを堪能することに。 太良のジャケ買いにはあまり外れがなく、なかなか真に迫る切ないラブストーリー。 決して結ばれることがない二人が泣きながらお互いの体を触りあい、深い口づけを。 それまで詩的だった描写が、ラブシーンに突入して肌の火照りや吐息の湿り気、汗のべたつきが伝わるほど生生しいものに。 カメラマンの腕がいいからか、本家のビデオよりエロいし、長い。 床に三角座りをして膝に顎を乗せていた俺は、ひそかに呼吸を乱して腰をもぞもぞ。 ソファに座る太良を、濡れた瞳でちらりと見るも、足を組んで澄ました顔。 「くそ、あいつも勃起してたら笑えたのに」とかすかに舌打ちをしつつ、おもむろに立ちあがり「ちょっとトイレ」とそそくさと前を通ろうとしたら。 その手首をつかんでソファに倒し、覆いかぶさってくる太良。 さっきは平然として見えたのが、顔を赤く、鼻息荒く、目をぎらぎら。 「まさか」と下半身を見れば、もっこり。 しかも俺よりビックサイズ。 【泣き虫の魔王は今夜も触手に慰められたい】 人からしたら魔物はすべて醜くみえるだろうが、俺たちのなかでも優劣がある。 人型、人間に近いほうが美しく、遠ざかる形容のものは醜い。 顔と胴体部分が埋もれた触手の毛むくじゃらのような俺は醜さでは断トツ。 おかげで人間にだけでなく魔物にも迫害され、仲間とはぐれた俺は心身ずたぼろになって行き倒れに。 息も絶え絶えだった俺を助けてくれたのは魔王さま。 噂に聞いていたとはいえ、いざ目にした魔王さまの美麗ぶりよ。 肌が青く、頭に角、尻に蜥蜴のような尻尾が生えているが、人間に近しい筋肉質な美丈夫。 底知れぬ冷酷さが、その美しさを際立たせ、なんともいえないカリスマ性を醸しているに、崇めるように従う魔物は多い。 そんなやんごとなきお方がどうして魔物一ぶさいくといって過言でない俺を拾ったのか。 なんて埒なく考えるのは、魔王さまの私室でのこと。 腹心も入室禁止の私室に、唯一、俺は居座ることを許され、半ばペット扱いだから、なにをするでもなく、ご主人さまの帰りを待ちわびる。 ドア越しに部下と話しあうのが聞こえて「もういい!失せろ!」とドアを叩きつけて魔王さまが入室。 中庭で日向ぼっこをする俺を目にしたとたん「くうう!聞いてくれよ!モジャ!」といかめしい顔が情けない泣きっ面に。 「さっきさあ、勇者に『この洞窟で貴様の来訪を心待ちにしておるぞ!』って思いっきり誘ったわけ! なのに『お前の魂胆はお見通しだ!だれがよろこんで行くものか!』って殺気だって睨みつけられちゃったよお!」 【乙女心を舐めていた俺は悪役令息になって変態仮面親父の貴族に体を売られました】 「乙女ゲームでも、もうすこし緊迫感があったほうがいいんじゃないか?」 新作のゲーム制作にあたりプロデューサーの俺は進言。 このごろ乙女ゲーに新鮮味がなく、売り上げも伸び悩んでいるから。 俺の案をとりいれて、画期的なシステムを導入。 攻略キャラの好感度のほかに悪役令息の嫌悪度なるものを。 悪役令息のいやがらせや妨害に、適切な対応をしないと嫌悪度のゲージがあがり、ヒロインでなく攻略したいキャラに憂さ晴らしがされる。 最悪、濡れ衣を着せられ処刑されたり、精神攻撃をされて自殺に追いやられたり。 となれば、狙っている相手の好感度を気にするより「推しが殺される!」と乙女たちは気が気ではなくなるわけ。 そのスリリングさを存分に味わってもらおうと開発をすすめて、ついに発売。 発売してすぐ「推しのこんな悲惨な最期を見せるなんて鬼畜!」「乙女心を踏みにじって高笑いするような悪質なゲーム!」と評判はさんざんで大炎上。 なれど、売り上げは右肩上がり。 会社にはカッターの刃いりの脅迫状が送られて「これが乙女のすることかよ」と鼻で笑い、ゴミ箱に捨てていたのだが。 乙女心の怨念を甘くは見ていけなかったのだろう。 会社帰り、ホームに立っていたら背中を押されて線路へまっ逆さま。 ちょうど電車がきて、体が粉砕するかと思いきや、なにも起こらず。 「いや、なんか肌寒いな」と目を開けると、そこは駅でなく薄暗い部屋。 くしゃみをしたのは紐パン一丁だから。 「な」んじゃこら、と叫ぶまえに目にしたのは美麗な女性。 なんと俺がプロデューサーとして手がけた乙女ゲーのヒロイン。 が、いつも薄紅の全体的に白っぽいひらひらのドレスを着ているのが、今は喪服のような黒々とした地味なもの。 星を散らしたような瞳も、光が差さず底なし沼のようだし。 「いい眺めね?ギル?」 扇子で口元を覆い悪役令嬢のように笑う彼女が見つめる俺は悪役令息なのか。 そう驚いたのを彼女は勘ちがいしたようで「こうされる身に覚えがないと?」と頬をひきつらせる。 【BLゲームの推しが難攻不落なのでとりあえず俺なしでは生きられない体にしてやります】 大学にはいって初めての彼女をゲット。 そりゃあ舞いあがって、とことん溺愛して大切にしようとしたもので。 さて近づいてきた、交際半年にしての一大イベント、彼女の誕生日。 サプライズで彼女が感謝感激するようなプレゼントを用意すべく、俺はBLゲームに没頭。 彼女の推しである難攻不落のキャラ、直人とのハッピーエンドを見せてあげるためだ。 直人は色黒ガチムチキャラで、柔道部の頼もしいエースながら超ネガティブな根暗というややこしい性格。 試合に臨めば鬼のような気迫を見せて、相手を容赦なくはっ倒すが、ふだんは巨体を縮めてうつむきがち、いつも憂鬱そうな顔をし、発言は被害妄想的。 試合の前日となれば「負けたら部員や監督に人間失格の烙印が押される!」と嘆く始末。 それを慰めたり励ましたりすると「優しいふりをしてプレッシャーをかけるなんてきみは鬼畜だ!」「ライバル校のスパイで俺を潰すつもりだろ!」とやけに疑い深くなって好感度は下がる一方。 じゃあ、あえて「めそめそして鬱陶しい!それでも男か!」と叱咤すれば、絞め技で意識を落とされて、目が覚めたときには直人が行方不明になっているという・・・。 ああしてもこうしても駄目、押しても引いても無駄とあって、たしかに難攻不落。 攻略サイトを見たところで、ほぼ全キャラを落とした猛者にして「直人はお手上げ」と愚痴をこぼしているし、まだ直人とハッピーエンドを迎えた人はいないらしい。 ゲーム制作会社に「そもそも攻略できないつくりになっているんじゃ!?」と抗議したら「相手は繊細な心の持ち主。細心の注意を払って微妙な加減で判断や選択すれば、攻略は可能」と返事がきたとの噂。 おおざっぱな性格の俺には、心の機微を読みとり気づかうなんて芸当はできず、彼女の誕生日が迫る中、意識を落とされ逃げられるばかり。 はじめはBLゲーム、しかも十八禁のをプレイするのに抵抗があったが、あまりに直人との仲が進展しないものだから「もしエッチイベントになったら、ぐちょぐちょに犯してやる!」とやきもき。 いよいよ誕生日まで一日を切り、徹夜つづきの俺は疲労が限界まで溜って、プレイ中に寝落ち。 目が覚めたら、ゲームの世界、その男子校にいたもので。 プレイに根をつめすぎて、夢を見ているのか。 俺はモブキャラなれど「これはチャンスだ!」と奮起。 キャラの一人として、直人を口説き落とせば、現実でも攻略したことになり、彼女にハッピーエンドを見せられるのでは!? 【とっておきの誘惑の魔法を勇者にかけたはずが魔王の巨乳が揉みつくされてしまう】 城にて勇者一行を迎えての最終決戦。 魔王たるわたしを打倒すべく、過酷な試練を乗り越えてきただけあり、なかなかに勇者一行は手強く、お互いそれなりのダメージを。 このままではわが身が危ういが、とっておきの秘策が。 最高レベルに磨きあげた誘惑の魔法。 誘惑の魔法をかけると、敵はわたしに惚れこみ「彼は俺のものだ!」「いいや!俺のものだ!」と仲間同士争う。 全員を倒した一人が「さあ!邪魔者はいなくなった!」と胸に跳びこもうとしたところで、わたしがとどめをさして全滅させるという算段。 勇者にはこれまで散々、苦汁を味わされて屈辱を飲まされてきたから、仲間同士で殺しあい果てるという惨い最期を迎えさせたいところ。 畳みかける勇者一行の攻撃が途切れた今が好機。 上着を脱いだなら、この日のために筋トレして育てあげた巨乳を突きだしてセクシーポーズ。 同時に魔法の呪文を唱えるも、女の白魔導士がすかさず杖を突きだし、魔法で対抗。 魔法の威力が拮抗し、せめぎあうのを、さらに色気増し増しのポーズをとって押しだそうと。 徐徐にその波動が勇者に迫っていたのが、にわかに爆発したような衝撃。 吹きとばされて仰向けに倒れ、衝撃波がなくなったところで呻いて起きあがろうとし異変を察知。 「くう・・・な、なんだ、ああ・・・!」とすこし身じろぎするだけで体にすさまじい熱と快感が湧きあがる。 おそらく誘惑の魔法と、白魔導士の相殺しようとした魔法が混ざり、変に体に作用したのだろう。 ということは勇者たちも、わたしと同じように。 【自業自得で死んだ悪役令息はそれでも俺と王子に婚前交渉をさせたい】 俺には、どうも恋愛感情がないらしい。 おかげで自分がだれかに胸をときめかせることはないが、人の恋愛模様を見守るのは大好きで、きゅんきゅんする。 とあって幼いころから身近な人の恋愛を眺めてうっとりしたり、少女漫画や映画、小説などの創作物から、ときめきを補給したり。 大人になった今は乙女ゲームに夢中。 主人公のヒロインを操作し、理想の恋愛を成し遂げて最後まで見届けようと躍起になってプレイを。 推しの王子ともうすこしでゴールを迎えそうなところで交通事故で死亡。 「あと一押しだったのに!」と後悔しきれなかったせいか、乙女ゲームの世界に転生。 王子の友人の一人、モブの侯爵令息という絶好の立場に。 さいわい、プレイ途中のが引き継がれた状況に置かれ、王子がヒロインにプロポーズする一歩手前。 もちろん王子の友人として、さりげなくフォローをしたり背中を押したのだが、ここにきて邪魔者が登場。 ヒロインを四六時中、監視して、どこまでもつきまとう病的なストーカーたる悪役令息。 ゲームではメインキャラに守ってもらい、寄せつけなかったものの、転生した世界では執念深いストーカーぶりを阻むことができず。 ある日のパーティーでのこと、和やかに歓談するヒロインと王子に、悪役令息がワインを差しだした。 「今まで彼女を困らせた詫びだ。心から祝福して、これからきみたちを心穏やかに見守りたい」とのこと。 改心したふりをして、陥れようとしているのはばればれなれど、二人はとんだお人好しだから。 俺がその場にいれば断固阻止しただろうが、悪役令息の計略によって離れた場所にいて、駆けつけたころには三人がワイングラスを傾けていた。 【ホラーゲームの処刑シーンは残虐すぎるが、転生した俺は卑猥すぎるSMプレイを強要される】 「畳四畳半で筋トレをして理想の細マッチョになった筋肉紳士」というチャンネルを開設。 実際、狭い部屋で鍛錬をして、ほどよく筋肉質な体型になっていく過程を見せながら、トレーニング方法、食事のとり方などを教えると人気を博し、今やチャンネル登録者二十万人。 筋肉関連の動画だけで十分に稼げたものの、このごろあるリクエストが殺到。 「ほとおにさま」というホラーゲームを実況プレイしていほしいと。 近、いろいろな有名配信者がプレイ動画をあげているらしい。 舞台は古びた日本家屋の廃墟。 たびたび増改築がされて広大な迷宮になっており、そのなかで「ほとおに」という幽霊のような化け物のようなものが徘徊。 廃墟に一歩踏みいれると外にでられなくなり、脱出するには、どこかにある秘密の通路を見つけるしかない。 出口を探してている途中、ほとおにに見つかり、追いつかれたら一発でゲームオーバー。 と、まあ、こういう設定はホラーゲームにして目新しくないのだが、おもしろいのはプレイヤーが背負っている罪によって変化が生じること。 かるい罪なら見つかりにくく、捕まったとしても、すぐに殺される。 重い罪なら見つかりやすく、捕まると「はやく死なせてくれ!」と懇願したくなるほどに拷問まがいに虐げられ、じわじわ殺される。 日本家屋が建つのは、江戸時代、罪人を牢にいれたり、処刑をしたり、さらし首にしていた忌まわしい土地。 とあって、かつてこの地で行われていた、むごたらしい虐待が、罪に見合った罰として強いられる。 理不尽なしうちのようで「ほとおには、現実で隠蔽されたり見過ごされた罪を暴き、裁いているのだ」との見方も。 世を公平に裁こうとする「仏」のようでもあり、容赦なく冷酷に断罪をする「鬼」のようでもあるから「ほとおに」では?との考察もあったり。 ところで不思議なのは、プレイヤーの罪の重さをどうやって測るか?の点。 なんと心拍数を計測するように指に器具を挟むのだ。 よくホラーゲーム実況をするときに用いられ、画面に心拍数を表示したりするのだが、もちろん、その数値イコール罪の重さでない。 考えられるとしたら、ゲームの設定を知った上でプレイすると、疚しいところがあるやつは心拍数があがるとか? 各サイトで電子書籍を販売中。 詳細を知れるブログのリンクは説明の下のほうにあります。

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