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第1話
【体力を回復するために男とエッチすべしという阿呆設定のせいで武闘家は今日も男漁りに忙しい】
たしかにエロゲーの開発者の一人として物申した。
「魔法使いが精液で魔力を回復するなんて設定ありがちじゃない?」と。
だからといって、エロゲーの世界に転生した俺が武闘家になり、体力回復するには男のをしゃぶるか、中だしされるか選択肢がないという立場になろうとは。
神のいたずらの如く悪質な設定変更に翻弄されつつ、フェラさせてくれる男を探しての忙しい日々。
村や町で補給しては、旅にでて体力がつきかけたころ村や町について補給の繰り返し。
時間経過でも回復するが遅いし微々たるもので、アイテムや魔法では不可能。
冒険者としてはかなり不便だし、そもそも男のをしゃぶるのだって気が乗らない。
数をこなしても慣れず、おおいに萎えて「へたくそ」と相手にけちをつけられ乱暴にされる。
日常生活を送るくらいなら補給をしなくても済むというに、いやいや男の股間に顔を埋めてでも、どうして冒険をしたいのか。
パーティーの双子の女キャラがかつての愛しい人だから。
仲間は男三人と女二人。
武闘家の俺と剣士と賢者、黒魔導師と白魔導師。
イラストレーターの俺がキャラデザをし、それぞれにモデルがいる。
女魔導師二人は大学のころ片想いをしていた双子で、剣士と賢者はその恋人、そして武闘家は惨い失恋をした俺。
とあってゲームのテストプレイをしたときは、双子が相手を選択できたに、武闘家とエッチさせまくり「ざまあみろ!」と仮の復讐をしたもので。
そうモデルになった男二人は友人であり、俺の恋心を知っていながら、まんまと双子のハートをかっさらった外道の裏切り者だ。
【絶望的に女にモテない柔道部エースはBLゲームのイケメンたちを惑わしてやまない】
「なんでモテないんだろ俺」
居間でBLゲームをする姉にぼやくと、画面から目を離さずに「あーねー」と返事。
「強豪校の柔道部のレギュラーだし、顏もわるくないのにね」
そう、レギュラーの部員はほとんど女子にちやほやされるのが、俺だけはからきし。
理由は分からず、そりゃあ、逆に訳もなく、とくに努力もせず男たちに好意を寄せられるゲームの主人公が羨ましくて。
このごろは姉のプレイを見て、ため息ばかり吐いていたのが、当事者になったら話は別。
姉愛好のBLゲームに転生したらしく、俺は主人公に。
はじめは、イケメンらにもてはやされて浮かれていたものを、なにせ十八禁だから。
そのうちがんがんに性的アプローチをしてきて、大勢の発情イケメンを引きつれ逃げていたところ。
廊下の角を曲がったら、用具室の扉が開き「こっちだ!」と引っぱりこまれた。
【借金を背負う俺は二人の勇者に拾われて二本の伝説の剣で弄ばれる】
俺は 名だたる凄腕の剣士ながらギャンブル狂。
多額の借金をして、常にトラブルに見舞われるから、そりゃあパーティーに加入させてもらえず。
収入がないくせにギャンブルをやめれないから泥沼に。
とうとう首が回らなくなり「こうなったら体で払ってもらうしかないな」と宣告されたそのとき。
待ったをかけて借金の肩代わりをしてくれたのが二人の勇者だ。
そう、この世には魔王を打倒すべく勇者は二人いる。
聞いた話、伝説の剣も二本あり、別々の場所にあったそれを同時に引きぬき、お互いの存在を知ってからは協力して旅をしているとか。
一人は色白の爽やかな優男、一人は色黒の野性味のある強面。
あだ名は白勇者、黒勇者で、オセロのように対照的な性格をしながらも二人とも男前だからモテるという。
噂通り「これからの厳しい戦いにはきみの剣の腕が必要だ」と紳士的に手を差しのべた白勇者に対し「一生の恩だと思えよ。奴隷のようにこき使ってやる」と傲然と鼻で笑う黒勇者。
息のあったいいコンビで、意外と接しやすかったし、ほかの仲間も歓迎してくれ、パーティーでの居心地はわるくなかったのだが。
広大な森をひたすら歩く道中、ギャンブルをしたくてもできず。
日中は戦闘をしたり忙しくて、あまり意識しないのが、夜は体をかきむしりたくなるほど耐えられなくて。
気を紛らわすために森の開けた場所で剣の鍛練を。
熱い筋肉を震わせて闇を切るように剣を振るっていたら「精がでますね」「遊んでぶちのめしてやるよ」と二人の勇者が登場。
戦闘で二人が伝説の剣をふるうと衝撃波が放たれる。
剣に宿る神の力によるもので、ほとんど衝撃波で倒すから、直接的な攻撃はしない。
つまり剣と剣を交える経験がすくなく、熟練の剣士の俺に敵うはずがないわけ。
「二人でこい」と挑発したところで、易々とあしらってみせる。
【息子のようなお前が描いたエロ漫画で俺が抱かれているんだが】
息子を生んですぐに離婚し、実家に出戻った姉。
そのあとは仕事一筋になり、息子の英治を放置。
十四才にして俺が甥っ子の面倒を見ることに。
親が頼りにならず、しかたなくのことだが、世話をして成長を見守るうちに情が湧いて。
今は俺が三十才、英治は十六才。
複雑な家庭環境で過ごしながらも健やかに育って、俺を慕ってやまない英治は愛くるしい。
未婚なれど、彼を息子ように思い、慈しむのに幸せを噛みしめていたのだが。
日曜日、英治は部活、俺は暇をもてあまし、天気がよかったからベッドのスーツを洗おうと。
各部屋を回ってスーツを回収し、最後に英治の部屋へ。
布団をまくったところ、薄っぺらい本が。
筋肉質な男が顔を赤らめる絵が描かれて「それでも俺は・・・」と題名、そして英治の名前が記されている。
「漫画っぽいな?
それにしても絵がうまいなーさすが、俺の息子!」
感心してページをめくったなら硬直。
いや、だって一ページ目から男同士の性交が生生しく描かれていたから。
【とっておきの誘惑の魔法を勇者にかけたはずが魔王の巨乳が揉みつくされてしまう】
城にて勇者一行を迎えての最終決戦。
魔王たるわたしを打倒すべく、過酷な試練を乗り越えてきただけあり、なかなかに勇者一行は手強く、お互いそれなりのダメージを。
このままではわが身が危ういが、とっておきの秘策が。
最高レベルに磨きあげた誘惑の魔法。
誘惑の魔法をかけると、敵はわたしに惚れこみ「彼は俺のものだ!」「いいや!俺のものだ!」と仲間同士争う。
全員を倒した一人が「さあ!邪魔者はいなくなった!」と胸に跳びこもうとしたところで、わたしがとどめをさして全滅させるという算段。
勇者にはこれまで散々、苦汁を味わされて屈辱を飲まされてきたから、仲間同士で殺しあい果てるという惨い最期を迎えさせたいところ。
畳みかける勇者一行の攻撃が途切れた今が好機。
上着を脱いだなら、この日のために筋トレして育てあげた巨乳を突きだしてセクシーポーズ。
同時に魔法の呪文を唱えるも、女の白魔導士がすかさず杖を突きだし、魔法で対抗。
魔法の威力が拮抗し、せめぎあうのを、さらに色気増し増しのポーズをとって押しだそうと。
徐徐にその波動が勇者に迫っていたのが、にわかに爆発したような衝撃。
吹きとばされて仰向けに倒れ、衝撃波がなくなったところで呻いて起きあがろうとし異変を察知。
「くう・・・な、なんだ、ああ・・・!」とすこし身じろぎするだけで体にすさまじい熱と快感が湧きあがる。
【BLゲームの推しが難攻不落なのでとりあえず俺なしでは生きられない体にしてやります】
大学にはいって初めての彼女をゲット。
そりゃあ舞いあがって、とことん溺愛して大切にしようとしたもので。
さて近づいてきた、交際半年にしての一大イベント、彼女の誕生日。
サプライズで彼女が感謝感激するようなプレゼントを用意すべく、俺はBLゲームに没頭。
彼女の推しである難攻不落のキャラ、直人とのハッピーエンドを見せてあげるためだ。
直人は色黒ガチムチキャラで、柔道部の頼もしいエースながら超ネガティブな根暗というややこしい性格。
試合に臨めば鬼のような気迫を見せて、相手を容赦なくはっ倒すが、ふだんは巨体を縮めてうつむきがち、いつも憂鬱そうな顔をし、発言は被害妄想的。
試合の前日となれば「負けたら部員や監督に人間失格の烙印が押される!」と嘆く始末。
それを慰めたり励ましたりすると「優しいふりをしてプレッシャーをかけるなんてきみは鬼畜だ!」「ライバル校のスパイで俺を潰すつもりだろ!」とやけに疑い深くなって好感度は下がる一方。
じゃあ、あえて「めそめそして鬱陶しい!それでも男か!」と叱咤すれば、絞め技で意識を落とされて、目が覚めたときには直人が行方不明になっているという・・・。
ああしてもこうしても駄目、押しても引いても無駄とあって、たしかに難攻不落。
攻略サイトを見たところで、ほぼ全キャラを落とした猛者にして「直人はお手上げ」と愚痴をこぼしているし、まだ直人とハッピーエンドを迎えた人はいないらしい。
【泣き虫の魔王は今夜も触手に慰められたい】
人からしたら魔物はすべて醜くみえるだろうが、俺たちのなかでも優劣がある。
人型、人間に近いほうが美しく、遠ざかる形容のものは醜い。
顔と胴体部分が埋もれた触手の毛むくじゃらのような俺は醜さでは断トツ。
おかげで人間にだけでなく魔物にも迫害され、仲間とはぐれた俺は心身ずたぼろになって行き倒れに。
息も絶え絶えだった俺を助けてくれたのは魔王さま。
噂に聞いていたとはいえ、いざ目にした魔王さまの美麗ぶりよ。
肌が青く、頭に角、尻に蜥蜴のような尻尾が生えているが、人間に近しい筋肉質な美丈夫。
底知れぬ冷酷さが、その美しさを際立たせ、なんともいえないカリスマ性を醸しているに、崇めるように従う魔物は多い。
そんなやんごとなきお方がどうして魔物一ぶさいくといって過言でない俺を拾ったのか。
なんて埒なく考えるのは、魔王さまの私室でのこと。
腹心も入室禁止の私室に、唯一、俺は居座ることを許され、半ばペット扱いだから、なにをするでもなく、ご主人さまの帰りを待ちわびる。
ドア越しに部下と話しあうのが聞こえて「もういい!失せろ!」とドアを叩きつけて魔王さまが入室。
【ホラーゲームの処刑シーンは残虐すぎるが罪深い俺は自慢の筋肉に縄を食いこませて煩悶する】
「畳四畳半で筋トレをして理想の細マッチョになった筋肉紳士」というチャンネルを開設。
実際、狭い部屋で鍛錬をして、ほどよく筋肉質な体型になっていく過程を見せながら、トレーニング方法、食事のとり方などを教えると人気を博し、今やチャンネル登録者二十万人。
筋肉関連の動画だけで十分に稼げたものの、このごろあるリクエストが殺到。
「ほとおにさま」というホラーゲームを実況プレイしていほしいと。
近、いろいろな有名配信者がプレイ動画をあげているらしい。
舞台は古びた日本家屋の廃墟。
たびたび増改築がされて広大な迷宮になっており、そのなかで「ほとおに」という幽霊のような化け物のようなものが徘徊。
廃墟に一歩踏みいれると外にでられなくなり、脱出するには、どこかにある秘密の通路を見つけるしかない。
出口を探してている途中、ほとおにに見つかり、追いつかれたら一発でゲームオーバー。
と、まあ、こういう設定はホラーゲームにして目新しくないのだが、おもしろいのはプレイヤーが背負っている罪によって変化が生じること。
かるい罪なら見つかりにくく、捕まったとしても、すぐに殺される。
重い罪なら見つかりやすく、捕まると「はやく死なせてくれ!」と懇願したくなるほどに拷問まがいに虐げられ、じわじわ殺される。
日本家屋が建つのは、江戸時代、罪人を牢にいれたり、処刑をしたり、さらし首にしていた忌まわしい土地。
とあって、かつてこの地で行われていた、むごたらしい虐待が、罪に見合った罰として強いられる。
理不尽なしうちのようで「ほとおには、現実で隠蔽されたり見過ごされた罪を暴き、裁いているのだ」との見方も。
世を公平に裁こうとする「仏」のようでもあり、容赦なく冷酷に断罪をする「鬼」のようでもあるから「ほとおに」では?との考察もあったり。
【俺の召喚獣は触手に辱められ悶えて喘ぐばかりで使いものにならない】
俺らは世界を旅してまわる冒険団。
行く先々で困っている人人を俺らの特殊能力を使って助けているのだが、今回は難しい案件。
海に巨大な蛸っぽい魔物が出現し、漁師の船や貿易船を襲って沈めているという。
「このままじゃあ村の経済が破綻する!」と泣きつかれるも、あいにく仲間は俺を除いて船酔いがひどい。
船での移動はなんとか耐えられるものの、戦闘は無理。
召喚士の俺は召喚獣がいないとほぼ戦闘力ゼロだし、今、契約しているやつらは海での戦闘に不向きだし。
ということで海の戦闘に強そうな召喚獣を新たに呼びだした。
果たして、スポットライトのような光を浴びながら海からでてきたのは「我はポセイドン!」と高らかに名乗る男。
「神の名を受け継ぐ我にかかれば、どんな卑劣でおぞましい魔物もひとひねりよ!」
上半身は筋肉質な男前で、下半身は蛸のような触手が無数に。
人型でおしゃべりなのが珍しいのはいいとして、やたらと快活で大口を叩くのに一抹の安。
まあ、一応、使える技を見せてもらい「これなら、いけるだろ」と判断し、村の人に船をだしてもらって魔物の出現ポイントに。
【忘年会で全身タイツを破られてターザンたちに愛されたのが忘れられない】
会社の飲み会でだしものをして場を盛り上げるのが俺は好きだし得意。
今年の忘年会は、全身タイツをはいて、人気アイドルのダンスを無表情で機敏に踊るという芸を。
いつものように会社の人たちは大笑いしたとはいえ「ヒューヒュー」と煽るような声があったのが意外。
「べつにストリップショーをしたわけじゃないのにな」と思いつつ、ステージから下がり、廊下を歩いたところ。
先にだしものを終わったターザン二人が、廊下の隅で談笑。
俺に気づいたなら、目を細めてにやにや。
酔っているのか「お前、着痩せするタイプなんだ」「けっこう、むちむちしてんじゃん」と二人で体を撫でまわす。
ステージで煽られて、すこし変な気分になっていたに尻を揉まれて「ん、ふう・・・」と熱い吐息をして震えてしまい。
とたんに手を止めた二人。
かと思いきや、そばの扉を開けて俺を引っぱりこんだ。
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