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第3話
二日目。
真二郎はしつこいくらい「頼む」と念を押して学校に行った。
そして……
「どういうこと?」
と、こぼしたのは璃斗だ。真二郎が子犬を抱っこして帰ってきたのだ。
そう、二匹目の子犬である。
「神社でちょろちょろしてたので拾ってきた。こっちは黒丸にする」
「くろまる?」
「額の丸いのが、茶丸よりちょっと黒いだろ? だから、黒丸」
それはそうかな、でも黒というほどの色合いではないんじゃないかな……などと思う璃斗だが、あえて言わなかった。
「にいちゃん、スマホ貸してよ」
「え? あ、うん」
真二郎は璃斗のスマートフォンを使って黒丸を撮影し、パソコンに取り込んでチラシとポスターを作った。驚くほど手際がいい。出来上がったポスターやチラシは、人目を引きながらも子犬の特徴がうまく表現されていて、なかなかの出来だ。
「コンビニ行ってくる! 茶丸と黒丸見てて」
「うん」
真二郎が飛び出していく。
それから帰ってきたのは三時間ほどが過ぎてからだった。
まずは警察に行って二匹目を届け、次にコンビニに行ってコピーし、近所にチラシを配って回ってきたそうだ。
この機動力に驚かされる璃斗ではあった。
「真二郎、お風呂に入っておいでよ」
「もうちょっと遊んでる」
「あがってから遊べばいいじゃないか。やんなきゃいけないことはさっさと終わらせるほうが、あとが楽だから」
「風呂なんて入らなくたっていいんだから、茶丸たちと遊んでる!」
「汚いだろ」
「ヤだ!」
万が一、飼い主が見つかってしまったら……そう思っているのかもしれない。これは言っても聞かないだろう。それにせっかくの雪解けムードだ。
(今回はいいきっかけだ。この機会をうまく使って関係を構築するんだ。仕方ない)
璃斗は店に戻ることにした。掃除と後片付けが残っている。
(ん?)
視線を感じて振り返ると、ガラス戸に隠れながら真二郎がこちらを見ている。足元には二匹に子犬。璃斗が振り返ったので、慌てて頭をひっこめた。
素直になればいいのに、そう思うが、これは時間が解決する問題だと考え直した。
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