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第1話

「赤ずきん」 ――狩人  よく晴れた日の朝。  狩人であるサバナは、日課である筋力トレーニングのためにいつもの道を走っていた。  この森には時折オオカミが出る。  そのため、ランニング後の射撃練習も欠かさない。  何発かの弾を的の真ん中に的中させると、遠くの方で獣の遠吠えが聞こえた。 (嫌な予感がするな…)  サバナは汗を拭うと猟銃を背負い、森の小道を進んだ。 ――叔父さん  森の奥に佇むログハウスの中で、ティナはベッドに横たわっていた。  この間二七歳を迎えたが、病弱で肌が白く、長いブラウンの髪を後ろで一本に結っている姿は儚げな少年にも見える。  ティナはベッドサイドテーブルに置かれた水を飲むと、少し咳き込んで、また眠りについた。  今日は、可愛い甥っ子がお見舞いにくる日だ。 ――赤ずきん  大好きな叔父さんが長いこと風邪を拗らせていると聞いて、ニーはしゅんと眉を下げた。遊びに行きたいが、余計な菌を持ち込んではいけない。  そんな折、ニーの母親が気を利かせて、葡萄酒と手作りのパンが入ったバスケットを渡した。「これをティナ叔父さんのところへ届けて欲しいの。いい?」  ニーは小さく頷き、バスケットを受け取った。  母親にしつこく「オオカミには気を付けろ」だとか「寄り道はしてはいけないよ」と言われたが、ニーだってもう十二歳だ。一人で森を抜けることぐらい、造作もない。  ニーは叔父からもらった手作りの赤ずきんを被り、バスケットをしっかり持って家を出た。  村を出て、森の小道を歩いていると、一人の青年と出くわした。  黒と白の混じった短髪の青年は、ニーを見るとにっこり微笑んだ。 「こんにちは」  引っ込み思案で気の弱いニーは、一瞬間を置いて「……こんにちは」と返した。 「どこかへお出かけ?」  グレーの瞳に覗き込まれ、ニーは頷いた。「叔父さんのところへ…」 「ああ、ティナさんの家か。俺もそっちに用があるんだ、よかったら一緒に行かないか?」  オオカミが出たら危ないし、と言われ、ニーはまた頷く。  二人で森を歩いていると、青年が突然立ち止まった。鬱蒼とした森の開けた場所に、綺麗なスカイブルーの湖と花々が咲いているのが見えた。 「きれい…」ニーが思わず呟く。叔父さんに見せてあげたら、きっと喜ぶだろう。 「ぼく、ここでお花を積んでから行く。お兄さんは?」 「んー。それなら、俺は先に行ってるよ。君はゆっくりお花を積むといい」  不思議な青年とはここで別れることにして、ニーは小鳥たちに(いざな)われるまま、花畑の方へ進んだ。 ――オオカミ (ちょろいもんだな)  オオカミの末裔であるランは、赤ずきんを被った少年が森の脇道に入っていくのをしっかり確認してから、自分は予定通り先に進んだ。  この先には、美人が一人で暮らしている。  赤ずきんの少年もなかなかにだったが、美人を先にいただくとしよう。  森を抜けたところに建っているログハウスにたどり着くと、ドアベルを鳴らした。すぐに弱々しい声で返事が返ってくる。 「叔父さん、ぼくだよ」  このオオカミの特技は、聞いた者の声をすぐに真似できることだった。  完璧な声真似に、叔父さん――ティナは「鍵なら開いてるから、入っておいで」とまんまと騙されてしまった。  ランは不適な笑みを浮かべ、扉を開ける。  ランをニーだと思い、お茶を淹れようとキッチンにたったティナは、そこにいたのがランだと気づいて驚いた。 「な、なに…?」可哀想なティナは、すっかり怯えてしまった。  背丈はティナとそう変わらないランだが、そのグレーの瞳は捕食者の目になっている。  恐怖で一歩も動けずにいるティナに近づき、ランは一本に結ってあるティナの毛束を手に取って唇に押し当てた。 「ああ……やっと…」  ランは、この日が来るのをずっと待っていたのだ。  いつも窓の外から眺めていただけのこの美人を、今から自分のモノにできるのかと想像しただけで興奮できる。  ランはティナを自分の方へ引き寄せると、顎をすくって薄桃色の可憐な唇にかぶりついた。 「んっ!?」  それだけではとどまらず、ランの不埒な右手はティナのガウンをするりと脱がせ、あらわになった乳首をそっと撫でる。ティナの薄い腹がヒク…と軽く引き攣り、魔の手から逃れるように身を捩った。が、病弱なティナの力では敵うことなく、ランのもう片方の手で腰をホールドされてしまう。  唇がふやけてしまうのではないかと思うほどの長いキスが終わると、銀糸が二人を繋いでぷつりと切れた。 「おいおい…。まだキスだけだぜ?」  乳首をキュッと抓られ、ティナが甘い声をあげた。  ランとのキスで思考が蕩けてしまったティナは、自分がランに横抱きに担がれていることにも気づかず、ベッドに運ばれてしまう。  思いのほか優しく寝かされると、ガウンが脱げて一糸纏わぬ姿となったティナはトロンとした目でランを見つめた。 「そんな欲しがるなよ」喉の奥で笑い、ランは再びキスを仕掛ける。  少し開いたティナの口内に分厚い舌を滑り込ませ、綺麗に並んだ歯列をなぞり、奥に引っ込んでいた舌を絡めとる。舌先を触れ合わせると、ランはティナの舌を吸った。 「んぅっ…! むっ……あっ!」  思い出したように乳首を抓られ、ティナの腰がピクンと(しな)った。  ランは頬にキスをし、首筋、鎖骨、胸、腹…とキスの雨を降らせ、最後に金色の陰毛が茂る下腹部に唇を当てた。そして瞳を潤ませるティナを見つめながら…。 「ひっ!? やっ、そこ……だめっ」  既にゆるく勃ち上がり始めているペニスを咥えた。  わざとジュルジュルと下品な音を立てながら、さりげなくティナの両足を開かせる。  裏筋をねっとり舐め上げ、竿を扱きながら舌先で鈴口を刺激する。  それだけで、ティナのペニスからはとろとろと粘着質な蜜が溢れてくる。舌を亀頭から離すと、蜜がツゥ…と糸を引いた。  息も絶え絶えのティナは、両手でシーツを引っ掻きながらいやいやをするように頭を振った。  ランは一度口淫を止め、ぐっと両膝をティナの胸に近づける。そのせいでよく見えるようになった綺麗なピンク色のアナルに、自分の唾液を垂らした。外気に触れて冷えた唾液がアナルに触れると、そこがキュッと窄まる。 「お願い…もう、……もう、やめてっ」  懇願するティナに、ランは「やだ」と一言で一蹴した。  潤滑剤がないので、唾液を送りながら舌でアナルを解していく。だんだん緩くなってくると、今度は小指、中指の順番で一本ずつ咥え込ませ、仕上げに人差し指と中指の二本を同時に挿入した。二本の指でぐっとアナルを広げると、うねるナカがよく見える。  もういいだろうと、ランはベルトを外し、ジーパンの前を寛げさせてパンツから猛ったペニスを取り出した。  それを見たティナは、「ヒッ」と小さく悲鳴をあげた。  そんなもの、挿入(はい)るわけがない。 逃げようとしたが、退路はベッドヘッドで塞がれ、ランに足を引っ張られて叶わなかった。 ランはヒタリと亀頭をアナルに当てがうと、ぐっと押し入れた。 襞が裂けるような痛みに、ティナが悲鳴をあげる。 しかし、ランは無理やり奥に推し進めようとはせず、ティナが順応するのをじっと待った。  やがてティナの呼吸が整い始めると、慎重に奥へ進めていく。  あまりの質量に涙を流し始めたティナだったが、ランのカリ部分がコリッとした箇所を掠めた途端、今度は甘い声で鳴き始める。  執拗にそこを責めると、ティナのペニスから透明な液が断続的に放たれる。 「ティナ……可愛い」 「んっ、ふっ……あっ、あんっ! それ、やぁっっ」  限界が近いのか、ナカのうねりが激しくなる。  ランは、ティナのペニスに手を添えると、追い詰めるように上下に扱いた。  「あっ、あっ、あぁっ!!」  ティナの細い体が弓形にしなると、精液が勢いよく飛び出た。ランもペニスを抜き、ティナの薄い腹の上に出す。 二人分の精液が、ティナの臍に溜まった。   その時、タイミングを見計らったようにドアベルが鳴った。 ――赤ずきん  ニーが何度かドアベルを鳴らすと、やっと中から「どうぞ」と叔父の声がした。  家に入ると、左手にキッチンがあり、右手奥に寝具があるのだが…。 「え……」  どさり。  せっかく持って来た花もバスケットも落とし、ニーは恐怖の顔を浮かべた。  ベッドには、叔父…ティナが一糸纏わぬ姿で寝ていた。そしてその横には、さっきニーと知り合った青年がいる。 「やあ。また会ったね、赤ずきんちゃん?」  その甘くいやらしい声に、ゾッとする。  ティナとこの青年の間には、ナニカあったのだ。まだ幼いニーには理解できないナニカが。  逃げようとしたが、足が子鹿のように震えて動かない。  ログハウスを出れば、すぐにこの森の獣を狩っている狩人の家がある。ニーはそのことを思い出した。 「赤ずきんちゃん。ティナを置いて行っても、平気なのかな?」  悪魔のように笑う青年。  ニーは当然大好きな叔父を見捨てられるわけもなく、青年に手招きされるまま、ベッドに近づいた。  青年は来ていたシャツを脱ぎ、鍛え上げられた体を晒し出した。 「さあ、第二ラウンドだ」  第二ラウンド。  その意味がわからず、怯えたままのニーのふっくらした頬に手を添え、青年は微笑んだ。ニーの髪を手で梳きながら、青年はスンと鼻を鳴らす。 「ああ……やっぱり、ティナと同じ匂いだ」  青年はランと名乗り、ニーをベッドの上に乗せた。華奢なニーは、対面でランの太ももに腰を落とし、目線が同じくらいになったところで唇を重ねられた。  目眩がするほどのキスに、ニーはパニックになる。  両親やティナとは挨拶がわりにキスをすることはあったが、こんなに下半身がむず痒くなるような濃厚なキスは初めてだった。  混乱したまま押し倒されると、流れるような動作で服を脱がされる。 「な、なに…するの?」 「大丈夫、怖いことじゃないさ。ティナ…君の叔父さんも、気持ちよさそうに寝てるだろう?」  確かに、横で眠っているティナの顔は苦しそうではない。むしろ、ランの言うとおり、気持ちよさそうだ。  少し緊張が解けてきたニーを見て、ランは、まだ毛の生えていないニーの脇を舐めた。  くすぐったさに、ニーは笑いながら体をびくつかせる。 「ラン、くすぐったいよ」そう言いつつ、ニーは下半身がむずむずするのを感じた。  下腹部がキュウっと切なくなり、だんだん体が火照ってくる。 「赤ずきんちゃん…。射精したことは?」  ランの問いに、ニーは顔を逸らすことで答えた。  実は、つい先日精通を迎えたばかりで、最近では毎夜のように両親の目を盗んでひとり遊びに耽っている。  ランにそれがバレたことが恥ずかしくて、ニーは顔が真っ赤になる。 「いつもはどうやってるの?」  ニーは首を横に振って拒絶する。  すると、ランがごく自然に己のペニスを取り出し、ゆるく上下に扱き始めた。  初めて見る、父親以外の大人のペニスに、ニーは釘付けになった。 (お父さんとは全然違う…。大きさも、太さも、色も…)  興味津々なニー。  ランはニーの体を起こし、向かい合って座った。 「触ってみる?」  気づくと、ニーはランの逞しいペニスに触れていた。 「すごい……」  自分とは比べ物にならないほどの大きさに、思わず感嘆の声が漏れる。  ランの手慰みがだんだん激しくなり、鈴口から蜜が溢れてくるのを見ていると、ニーの幼いペニスも反応し始めた。 「ほら、赤ずきんちゃんも」  言われ、我慢できなくなったニーは小さな手を筒状にして手淫を真似た。  しばらくそうしていると、ランの大きなペニスがニーのペニスに触れた。あまりの熱さに、ニーのペニスが興奮する。お互いのペニスを同時に扱かれると、ニーの中で何かが迫り上がってくるのを感じた。  初めは射精感かと思ったが、いつもと様子が違う。  もっと熱く、勢いのあるナニカ……。  その快感を追い求めて、ニーの腰が揺れる。  グレーの鋭い瞳に「イキそうか」と問われているようで、ニーは「なんか…出そうっ」と答えた。  それを聞いたランがニーの亀頭を手のひらで擦った瞬間、ぷしゃっと勢いよく潮が噴き出た。  ニーは精液ではないそれに驚いたが、潮の勢いは止まらない。  ぷしゃっ、ぷしゃっと()に放たれる。  ランは、快感で放心状態のニーに四つん這いになるよう指示し、ベッドヘッドに両手を突かせた。まだふわふわする頭で何も考えられないでいる内に、太ももに熱くぬるついた何かが擦り付けられた。 「太ももを締めて……そう、いい子だ」  キュッと太ももを絞めると、股の間をランのペニスが行き来する。  この行為がどんな意味を持つのかわからないニーは、ただひたすら太ももに力を入れた。玉や、ペニスの裏筋に当たるたびにじんわりとした快感が押し寄せ、気づくと手淫をしていた。  潮を吹いたばかりで敏感なペニスは、あっという間に硬さを取り戻して絶頂を迎えようとしている。  ランのペニスの動きが激しくなり、耳元で熱い吐息をかけられると、背中がゾクっと震え、今度は白い精液を放っていた。 ――狩人  村で有名な、赤ずきんちゃんと呼ばれる可憐な美少年の叔父が住むログハウスから悲鳴が聞こえ、急いで様子を見に行くと、とんでもない光景が広がっていた。  窓から見えるベッドに、件の赤ずきんちゃんとその叔父が全裸で倒れているではないか。  おまけに、満足そうな顔をしたオオカミ……ランが身支度を整えてログハウスを出て行こうとしている。  オオカミを狩る狩人であるサバナは、ヘーゼルブラウンの瞳を怒りで滾らせた。  サバナはログハウスの扉を勢いよく開け、ランに銃口を向けた。 「おいおい…。そんな物騒なモン、しまってくれよ」  おどけた様子で両手を上げるランに、サバナは撃ち殺すだけでは足りないと銃を置いた。  まさか自分の言う通りにされると思わなかったランは、驚いて目を丸くする。  そして、サバナの怒りに燃えた目を見て、初めて恐怖を覚えた。 「お、おい…。アンタ、何する、」  言い終える前に、サバナがランを押し倒した。  体の弱いティナと、いたいけな少年ニーと同じ目に遭わせてやると決意したのだ。  サバナはランのシャツを乱暴に剥ぎ取ると、意外にも初心な色をした乳首に吸い付いた。舌先でチロチロと刺激したり、歯で軽く噛んだりすると、激しかった抵抗がだんだん弱まってくる。  さっきまでの威勢はどこへ行ったのか、グレーの瞳は涙で潤んでいた。 (きっと、あの二人も怖かったに違いない…)  森の中で美しいオオカミと評されるランの乱れた姿を見ても、サバナは興奮するどころかどんどん怒りが湧いてくる。  ベルトを引きちぎるように抜き取り、ジーパンも無理やり脱がせ、下着を破ってペニスを露出させる。しかし、すでにゆるく頭を擡げ始めたそれには一切触れず、一度も使われていないような綺麗な襞に人差し指を突っ込んだ。すると、ナカがぬるついていることに気がつき、サバナは驚いた顔でランを見た。「お前、両性具有だったのか」  この森のオオカミの中に、子を孕めるオスの個体がいると聞いたことがあったが、それがまさかこの男だったとは。  サバナは、知らずのうちに舌なめずりをしていた。  自らも服を脱いで、怒りで猛ったペニスをランのアナルに擦り付ける。  襞に感じる熱に、ランの顔がどんどん青ざめていく。 「だ、だめ…、やめろ! それだけ、はっ」  ズン、と奥まで突くと、ランの喉が「ヒュッ」と鳴った。はくはくと口を開閉させているが、呼吸はできていない。目も上を向いていて、体は痙攣している。 「飛んじまったか。…おい、起きろ」   ランの頬を軽く叩いて正気に戻す。途端に「やめろ」とか「いやだ」とか叫ぶラン。  サバナは舌打ちをし、ランの奥、開いてはいけない入り口の戸を叩いた。 「だ、め……ほんとにっ、ごめんなさい、ごめんなさいぃっ」  グポッ。  サバナは挿入(はい)ったことを確信すると、容赦無く腰を振った。  ランの身体が強張り始め、ナカがサバナのペニスから精子を搾り取るような動きに変わると、そのまま最奥に精を放った。  熱い精液を受け止めたランは、そのまま意識を失った。 ―― 一ヶ月後  ランは、森の湖に喉を潤しに来ていた。  手で水を救って飲もうと前屈みなると、バランスを崩し、さらに足を滑らせてしまった。 (落ちるっ)  そう思った瞬間、背後から抱き止められ、その人物にため息をつかれた。 「お前は…。もうちょっと気をつけてくれ」  そう言ってコップを差し出されたのを、ランはひったくるように奪う。 「……大事な身体なんだからよ」  男に、膨らみ始めた腹を撫でられ、無性に腹が立つ。 (お前のせいだろうが!)  そう罵ってやりたかったが、村でも森でも屈強で恐がられているこの狩人が、慈しむような優しい笑みを湛えているのをみると、(まあ、これも悪くないな)と思うのだった。    

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