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涙…

 あーだるい、身体も頭もなにもかも重い。 5月だってのに真夏日…正直仕事もどうだっていいなんで、というと俺の仕事はコンビニの夜勤が主だ。正社員になれたのはいいものの、仕事も慣れてきた頃から一般より生活リズムも違うし、GWなんか関係ないはで、やっぱり向いてないのかなとも。  夜はヤンキー系もくるしそれは、イライラすることもある客の偉そうな態度にへーこらへーこら。  たまに美人も来るけど、上司も店長も嫌ではないが、優柔不断なとこがあり大抵下っ端の俺がパートの休み代わりを押し付けてくるのにも慣れた。 夜勤から日中続きも頻繁にはないが、たまにくるとさすがに体に耐える。  笑顔振る舞ってるが陰キャだし、パートの姉ちゃんおばちゃん苦手だし正直合わせるのが辛いとゆうか人間関係はそこまで悪くないと思うんだが… とにかく体がダルい。  [お疲れ様でしたー] [お疲れ] イジメとか別にないけど、朝方混む時間前にパート入れ替わる時間帯退勤。 [よ] 店から出たら、見かけあるスポーツカーが止まっていた。 [よ、じゃねぇよ。今から寝るんだよ俺は] [まぁまぁ、ちょっとだけアパート行っていいか?] [……ちょっとなら]  幼馴染みの辰(じん)が、煙草をふかしながら立っていた。 別々にアパートに到着し先に鍵を開ける。 [腹減ったろ朝飯昼めし作ってやるよ] [いいよ別に、ラーメン食うし] [朝からラーメンは体に悪くなるぞー生活リズム大事にしなさい] [余計な世話だっつの…風呂入ってくるから好きにしろ] [はいよー] 辰とは、幼稚園の時からの幼馴染。 背丈は、190センチくらいか?かなりデカく、世話人かな一言ゆうと。ちょっとウザったいくらいが世話好きとか気遣いとか、連絡もちょこちょこ要らない情報も送ってくるし。 友達いない俺にとっては、親友だと勝手に思い込んでいる。辰はどうかは…聞いたことない。 20年以上付き合いか、辰の仕事なんだっけ。 車の保険会社だったけか…  風呂から上がり、ドライヤー乾かしながらいい匂いが部屋に広がっている。 [玉ねぎ使った] [使ってなかったし逆に助かる] 鍋か、体がダルい。一人用のソファに寝転ぶ。 眠気もないし風邪でもない花粉やハウスダストはあるが、そこまでないし今は。 とにかく体と気持ちが重く沈んで、ちょっとウザったいくらい辰の背中を見つめる。 スムーズにシンクの中を片付ける辰の姿をみたら、ため息がでた。 全然気持ち的に違うんだろうな…  なにもかもどうどもいい。 [テレビくらい付けようぜ夏] […あ、ああ…]  テーブルに敷物と鍋がやってきた。 ゴクリとツバを飲んでしまった美味そう…熱々グツグツと煮たった、野菜たっぷり鍋が目の前に。 手慣れた手つきでご飯とお茶箸を配る辰を、待つことしかできない俺がなんだか情けなくなってきた。 気持ちがキュッと、苦しくなった。  [待たせ] 椅子に座る辰を待つことしかできなかった、 手を合わせる。 [頂きます] [頂きます、まともに食べてないだろ冷蔵庫見た感じ]. [作るのめんどくさい] [それがダメなんだって] [美味い] 箸が止まらない、熱々出来たての人が作ったご飯いつぶりかぶりついたのだろうか。 [慌てなくても…] 辰が、俺を見て笑ってる。  [美味い] [良かった] [腹減ってたんだな俺…] [ちゃんと食べろよ弁当ばかりじゃなくて] [分かってるけど、体がダルいつうか…やる気が出なくてな] [わかるよ、気持ち俺でもあるけど。ライン返って来なかったときあったろ、ちょっと心配した] [ちょっとかよ] 俺はそのちょっとに嬉しかった。 あっという間に完食したら体がポカポカしてきて、眠気が増してきた。 [夜勤明けやろ、寝てていいよ。あとやるから、明日休み?] [休み] [気晴らしにどっか行かね?]  辰の誘いにはうん、と即答した。 眠たいです… ソファに寝転ぶと、片付けするキッチンにたつ辰姿が目に入る。  ポロポロ… あれ、なんで俺泣いてんだ。 駄目だ、見られたらまた心配かけちまう。 勝手に思い込んで、来てくれた辰の背中がなんだか遠く感じた瞬間涙が止まらない。 必死に擦り拭う、鼻水も出てきた。 ポンポンと、頭を擦ってくれた辰が目の前にいた。 黙ってキッチンに戻っていった。   (んだよ…) ドクンドクン…胸がキュッと苦しいです。 彼女にやれよバカと、顔が熱くなった。  俺は男だ、優しくする相手間違ってるよ… 涙が止まらない。 [くそ…] また迎えに来るから支度しとけよと、 片付け終えた辰が俺に近づいてくる。 [んだよ…なんか付いてるか] [我慢すんなよ、一人で。昔からそうだろ分かりやすい] [か、関係ないだろ] [ダチの心配してなにが悪い!] ドクン…っ [ごめん大きい声出した、作り置き食べろな。 また明日10時来る] [……ありがとう…] [ゆっくり休めよ] 帰り支度する辰の、裾を掴んでしまった。 [あ、いや、なんてもない…っ] [また連絡して、いつでも来るから] [じゃ、じゃあ…今日泊まってけよ] なにを口走ってんだ俺は、寂しいんか?一人が。 [服無いしなー…借りていいなら] [サイズ合うかな…ちょっと待ってて] ソファから立とうとした瞬間、 グラッとふらついた。 テーブルに両手付くと、辰が近づいてきて身体を支えてくれる。 [無理すんな…] [彼女に優しくしろよ] [彼女出来たらな、今はお前が心配なんだ] [余計な世話好きめ] [勝手に世話やいて悪いな…素直になれよ] [素直って……] 辰は俺の唇を親指でなぞった。  ドクン…ドクン 近づいてきてゆっくり、ソファに仰向けになり目の前には辰もソファに跨がる形にのしかかってくる… ギシリと、体重が軋む。 ドクンドクン  心臓がうるさい… [んん…] [かわいい声出すな、我慢出来なくなる…] 辰が、手を握ってきた。 [男だぞ!俺は] [俺がこうしたいだけなら、止めるし帰る] [ず、ずりぃよ…]  ポロポロ涙が溢れてきた、天井と辰の真面目だけど眉が少し困ってる顔が焼き付く。 [不眠症…] [精神科行くか?連れてくぞ] [眠たいのに眠れないんだよ、昼寝しようとも眠れないし、イライラしてなにしたって楽しく無いし時間がなかなか過ぎないから余計に腹がたったりしちり…、とにかくやる気が出なくて苦しいです。眠れない夜が] [仕事中大丈夫なんか?そんなんで] 腕で涙をかくす…ポロポロ涙止まらない。 泣いてしまった、優しくされたから歯止めが効かなくなった。 苦しい、辰の顔が見れない。 顔を見せられない、情けなくて爆発して不満ストレス現状を全部話した。  ウンウンと聞いてくれる、頭をさすってくれる辰が、恋しくなってしまう。 親友以上になったら、関係が崩れるんじゃないか 情けなく男前でピーピー泣いてしまった  [落ちついたか] 寝室のベッドで、辰の腕の中にいた。 腕枕だ、なにやってんだよ俺は。 [彼女にやれよ…腕枕なんて] [居たらお前のとこに行かないよ] [そりゃそうだな……ごめん乱した] [人間だ、我慢するほうが難しい] 優しい声出した辰の横顔をようやく見ることが出来た。 [ありがとう、落ちついたもう大丈夫] [大丈夫じゃないだろ、このまま服借りて寝ようここで] [眠れなかったら起こすかもよ俺が…] [ほんと真面目に仕事変えるか、精神科行くか?] [明日のドライブ次第連れてってくれるんだろ?] [どこ行きたい?] [海、みたい] [いいね…] 涙が止まって、カップルごっこしてる俺が恥ずかしいです。躊躇なくできる辰にも頭が上がりません。なんて言ったらいいんだろか、助けてくれた? なのか…  よくわからないが、ドキドキは止まらなかった。

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