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第1話
冒険者たちが酒を煽ったり議論を交わしたり喧嘩をしたり仲間探しをしているギルドにて。
また一人、声をかけてきたが、報酬の額を伝えると、肩をすくめてため息。
「いくらあんたでも、そんな法外な金貨を要求したら、だれも雇ってくれないよ」
苦笑してから去っていった背中を睨みつつ「そうだよなあ・・・」とひそかにため息。
俺は名の知れた剣士のダン、かつては王に忠誠を誓う騎士団長だった。
先頭をきって大剣で敵をなぎはらい、且つ兵の指揮を執って、考えぬいた戦略でもって鮮やかに勝利へと導くという有能ぶりで、どれだけ王に寵愛されたことか。
ただ、愛されすぎて「わたしの息子よ」とまでいわしめたことが仇に。
王の息子、王子は根性の腐った糞餓鬼で、病的に嫉妬深く、おかげで目の敵にされた俺は国から追放される羽目に。
「騎士団長に襲われたのです!」と破れた服をかき抱きながら、玉座の前で泣かれた日には、王も父として放っておけなかったのだろう。
聡明で冷徹なお方だから、息子の嘘に気づきつつも、公衆の面前での訴えだったから、面目を保つことを選んだのかもしれない。
まあ、といっても王子の糞餓鬼ぶりは周知のことだったから、国から追放されても「災難だったな」とほとんど同情的に見られたし、なんなら戦で打ち破った国からスカウトもされたし。
スカウトの条件はよかったなれど「もう人間関係のごたごたで悩みたくない」と思い、フリーの冒険者に。
元騎士団長という輝かしい肩書きを掲げ、戦略家でもある剣豪として腕をふるい、その仕事ぶりはたいへん好評。
とくに「ダンは決して仲間を死なせないし、重症も負わせない」と評判になり、次々と依頼が舞いこみ、食っていくのには困らず。
なかには「我らの崇高な目的があっての旅に、半生を捧げてくれないか」と誘うのもいたが、丁重にお断り。
糞餓鬼王子の一件で「長く共にすごし、関係を深めてはろくなことがない」と懲りていたからで、リピーターはあまり受けつけなかったし、ひんぱんに長期の休みをとり、仕事に打ちこもうともしなかった。
おかげで騎士団長だったころと比べて収入は減り、生活ぶりも質素になったが、そのほうが貴族に混じって暮らすより肌にあっているようで、まったく問題はなし。
仕事をしてあるていど金が貯まったら休んで、昼まっから酒をあおり、夜には女遊びに興じ、ぐうたらと過ごして、財布がかるくなれば、心機一転して仕事を・・・と俺なりに充実した日々を送っていたのだが。
自由で気ままに世俗で生活を送れるようになって、ほとんど不満がないとはいえ、ひとつだけ難点が。
ギャンブルを覚えて、それに狂ってしまったことだ。
騎士団長時代は立場上、なにかと弁えて己を律していたし、できるだけ王から離れたくなかったに城外に足をむける機会はすくなかった。
部下の不届き者が賭け事をしていれば、叱りつけいてたものだが、城を追いだされてから、ならず者とつきあうようになって手をだしたら歯止めがきかない有りさま。
はじめのほうは借金を負ったところで、割りのいい仕事を引き受け、すぐに返済していたものの、だんだんと賭け事に没頭するほうに時間を割くようになり、とうとう首が回らなくなったのが現状だ。
一週間以内に利息分をおさめないと「その体で払ってもらう」とのこと。
大勢の魔物をひとふりで吹っとばす剣士なら、荒くれものの借金とりもなんのその。
なんなら輩たちを一掃することも難しくないとはえ、元騎士団長として、名だたる剣士として、暴力に訴えて借金を踏み倒そうとするのは許されない、と思っている。
期限までに払えなければ、大人しく御用になるつもりなれど、一週間、指を咥えてそのときを待っていたくはない。
で、ギルドに仕事を求めにきたわけで、ただ現実はきびしく、利息分ほどの前金を気前よく寄こしてくれる依頼人は一向に現れず。
「まあ、現れたら奇跡だよな・・・」と何回目か分からないため息ついたとき、テーブルが揺れて重々しい金属音が。
テーブルの上には布が張った麻袋があり、音からして金貨がぎっしりつまっているのだろう。
そうと分かったとたん、麻袋にとびつきそうになったが、ぐっとこらえて見あげる。
視線の先には男が二人、灰色のコートをまとい、そのフードを目深にかぶっているも、その顔つきは、そんじゃそこらない麗しいもので、長い金髪も輝かしい。
フードをかぶっても隠しきれない、とびぬけての美しさを目にして警戒したところで「それは前金だ」と前方の男が発言。
願ったり叶ったりなれど「・・・犯罪的な怪しい仕事はお断りだ」と顔を険しくすれば「少々、子守りをしてほしいだけだ」と思いがけない返事。
果たして視界にとらえたのは、ふてぶてしい悪餓鬼のように笑うエルフでなく「ああぁ♡や、やめぬかっ♡なんて、なんてぇ、汚らわしいぃ・・・♡」と悲痛な表情をして泣きじゃくる、ほぼ裸のリラ。
変化がとけて、エルフ特有の並々ならぬ美貌をさらしながら、対照的に汚くて臭くて醜いゴブリン複数に辱しめられている。
地面に座り、ゴブリンの上体に背をもたれて俺に向かって足をぱっかーん。
背後から胸を揉まれ、乳首を爪で引っかかれるたびに「やっ♡やめぬかぁ♡こんなぁ、神が、許さぬっ・・♡あぁ♡んあぁっ♡」と艶かしく腰をくねらせ、股に顔を埋めるゴブリンにぢゅぷうぅ♡ぢゅぷううぅ♡と吸われるたびに「んんんぅ♡く、臭い、口でぇ、我が身を、汚すなあぁ♡ひいぃん♡やぁ、ま、魔物、なんかにいぃ♡」とあられもなく鳴いてイっているよう。
前後にいるゴブリン以外は、体中を隅々まで触り撫でまわし舐めあげて引っかいて噛みついて、それにも「あ、足ぃ、指っ、しゃぶるなぁ♡ふうぅん♡へそに、汚らわしっ、指を、いれるんじゃぁ・・・♡んんっ♡くううぅ♡んふううぅ♡」と敏感に悩ましく反応。
あきらかに快楽に溺れているとはいえ、体と心は通じていないようで「ち、父上えぇ・・・!ど、どおしよぉ、わたし、わたしぃ、こんな、汚されてっ・・!ああっ・・顔向け、できなあぁ・・!」と悲しげに悔しげに嘆かわしげに泣く表情は、ひどく痛ましい。
ただでさえ強姦はむごたらしいが、美しいものが醜いものに蹂躙されるさまは、より凄絶で猥雑だ。
精巧な人形のように均整がとれた顔、陶器のように艶やかで白い肌、ビロードのように光沢がある金髪、彫像のように完璧な肉体美、体から立ちのぼるのは花のような甘い香りで、滴る汗は澄みきった聖水のよう。
そんな、つい拝みたくなるほど清らかで美しい聖なる存在が、生理的嫌悪を抱かせてやまない醜悪で獰猛で卑俗な獣じみたのに辱しめられるのは、神が冒涜されているかのようで、とてもとても見るに耐えない、そのはずが・・・。
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