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第1話

Only you under the noon 俺はアイドルユニットLuna prism のセンター  天宮玲。銀髪の髪にアメジストの瞳。笑顔を絶やさない王子様のようなアイドルと言われファンからはプリンス玲と呼ばれている。  今日は初めて武道館でワンマンライブを行い  そして見事成功に終わった  楽屋でユニットの仲間たちが盛り上がっている中  玲は1人楽屋を抜け出した 「初の武道館ライブプレッシャーやばかった…」  ぽろっと口に出したとたん涙が溢れてしまった  そう、いつも笑顔の天宮玲は、その表向きのキャラとは  違い、プレッシャーに弱かったのだ 「玲…?」  振り返るとそこにはLuna prismのマネージャーの鷹見隼人がいた。背が高く前髪をあげきっちりと  着こなしたスーツ、メガネをかけている。 「…泣いてるなんて珍しいな。どうしたんだ…」 「少し、疲れちゃったみたい…」  玲は涙をふきながら背を向けた  するとマネージャーの鷹見は玲の肩に手を置いた 「そんな顔俺以外に見せるな、良いから、甘えて」 「鷹見さん…なんでそんなに優しいの、ずるいよ…」  鷹見はマネージャーとして以上に  玲を守りたいという気持ちが強くなった  楽屋の外で泣いて鷹見に見つかってからというもの  なんだか鷹見が自分にだけ  甘いように玲は感じた 「玲、大丈夫か」  なんか声のトーン俺にだけ柔らかくない?  あと、ほかのメンバーには容赦ない  スケジュール組むのに  玲は笑顔が大事だからな、とか言って  玲をちゃんと休ませてくれるし  鷹見が買ってくるスイーツはすべて  玲の好きなフルーツゼリーや、スイートポテト 「これ、俺の好きなスイーツ…」  と玲が呟くと 「たまたまだ」  と鷹見は言った。  楽屋に入るなり、ユニット仲間のるいなが  「たかみん、絶対玲ちゃんのこと好きだよ」  こそこそ話しをしてきた。 「まさか、鷹見さん、優しいから…」  と俺はにこっと笑ったが内心ドキっとしていた  (鷹見さんが、俺を好き…?いや、まさか…) 「さっ、それよりもこれからまたステージだ  俺たちが楽しんでないと、お客さんにも届かない、ね、最高のステージにしよう 」  ステージが終わり舞台裏に戻ると鷹見がいた。  真剣な目でじっと玲を見つめるたかみ  玲はドキドキした  つかつかと玲の方に鷹見が歩いて行くと 「笑っているけど、目が疲れてる…無理しないで良い…」  そう言われて玲は涙がこみあげてきたがぐっと耐えた  鷹見は、他の人には気づかないのに、玲の些細な表情の変化にはすぐ気づいて、そっとフォローする  そんな鷹見に、玲は徐々に惹かれていったのだ  今日も鷹見マネージャーに家まで送ってもらった玲  ほかのメンバーは別の車に乗り、玲は鷹見の車に乗る。  2人きりの時間、いつもドキドキする 「…鷹見さんて、優しいよね」 「いきなりどうした?俺は優しくない。ただ玲のことは  放っておけないだけだ…」 「ねぇ、それってどういう意味…?」 「俺…鷹見さんのこと…好き…かも…」  玲の鼓動は早くなり顔は赤く染まっていた  ミラー越しに見えた鷹見さんは驚いた顔をした後  真剣な顔になった  鷹見は近くのパーキングエリアに入り車を止めた   「…俺がどれだけその言葉を聞きたかったか…君は知らないだろう…」   「だけど、俺は君のマネージャーだ。今ここで君を抱きしめたら、戻れなくなる」   鷹見は玲の頬に触れて、そっと離れる 「本気なら……もう少し、待っててくれ」  玲は目に涙を浮かべながら 「待ってる間に好きがもっと大きくなったら  責任とってよね」  と笑った  Luna prism ライブツアー最終日の公演のアンコール。 玲がメンバー全員を代表して、マイクを持って感謝の言葉を話す。 客席は涙と歓声に包まれている。 そこに、鷹見が舞台袖で見守っている。 玲はふと、視線を鷹見に向け――理性の糸が切れる。 「今日、こんなにたくさんの人が、僕たちの光を信じてくれて…ほんとに幸せです」 「…ありがとう。みんなのおかげで、ここまで来られました」 「でも…」 「本当は、ずっと怖かった。 ステージに立つたびに、『ちゃんと王子様でいられてるかな』って、いつも不安で…」 会場ざわつき、メンバーが驚いて玲を見る 「そんな僕を、毎日見てくれてた人がいます」 「どんなときも、笑顔の裏の俺を、見てくれて、支えてくれた人がいます」  (玲が舞台袖に視線を送る。鷹見と目が合う) 「……鷹見さん、俺……あなたがいなきゃ、ここまで来られなかった」 「俺――あなたが好きです」 「マネージャーとか、アイドルとか関係ない。 俺の全部を、あなたに知ってほしい」  玲は初めてファンの前で涙をこぼした。  メンバーたちは驚き、観客たちら一瞬戸惑うも、玲の涙に心打たれる… 鷹見はステージに出ようとしない。玲が一歩、舞台袖の方へ歩き近づく。   鷹見はため息をつき「……バカが。ステージで告白なんて、前代未聞だぞ」と言うと 玲「それでも言いたかった。  あなたに届いてほしかったんだ」 鷹見「……まったく、ほんとにお前は俺を振り回す」 鷹見はマイクを取ると観客に向かって話し始める 「天宮玲を、ずっと守るって決めました」 「俺の立場も、ルールも関係ない。玲が本気なら――俺も覚悟を決めます」 静寂とざわめきのあと―― 会場のどこかで、ひとりが拍手をした。 それに続くように、パラパラと拍手の音が広がっていく。 やがてそれは、大きな、祝福のような拍手の波となって会場を包み込んだ。                    

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