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名前

「……すみません、カイラさん。こんな事になってしまって……」  今、カイラとハルキオンは同じベッドの上で向かい合うように腰掛けている。 「僕こそすみませんでした。ハルキオンさんを巻き込んでしまって」 「あのあの、その……私、こんな経験がないものですからそのぉ……こんな時、どんな風にすればいいか____」 「いいからさっさと始めろー」  ハルキオンの長ったらしい話し方に苛立ちを覚えたミキは2人を急かす。 「分かったよ! ……じゃあ、ハルキオンさん」  精液を受け止める為の柔らかい紙を片手に、カイラはハルキオンに向き直る。 「はい……よろしく、お願いします」  申し訳なさそうな顔と口調とは裏腹に、ハルキオンの陰茎は怒張し続けている。  ゆっくりとハルキオンの屹立に触れる。 「ん……」  それだけで気持ち良いようで、ハルキオンは声を上げた。 (凄い、熱い……)  数年振りに勃起したとは思えぬほどの硬さであり、いかにカイラにかけられた呪いが強力かが窺える。  ゆっくりと。ゆっくりと。  一番最初にヴェルトがしてくれた時のような、優しい手つきで慰めてゆく。 「もったいねーよなぁ? よく使い込めば良いチンポになりそうなのに……宝の持ち腐れとはこの事だな」 「あ……ゔ、っ」  久方ぶりに味わう感覚に身を震わせる。 「カイラ、さ、ん……っ」  ベッドのシーツを両手でキュッと握り、ハルキオンは快楽に耐えようとする。  彼の屹立がドクン、ドクンと脈を打ち、亀頭が更に膨らんだ。 「はぁ……カイラさん……っ こんなに、きもち、よかったん、でっ……したっけ?」  熱を持った蜜が手に絡むのを感じながら、カイラはハルキオンを更に可愛がる。 「はは、っ……これは、おしくなる、なぁ……」 「惜しくなる?」 「むかし、ごうもんで……なんにんか、の、いんッ……けい、をっ……きり、おとしたッ、ことが、ありまして」 (……今とんでもない事言ったなこの人)  カイラは自身の陰茎が貞操帯の中で縮み上がるのを感じながら、ハルキオンの限界が近い事を察して擦るスピードを上げてゆく。 「こんなっ……きもちい、こと、できなくなる、のは……おしい、なぁ」 「あー、めっちゃ良い顔してるよハルキオン。地獄のチン無し共に見せてやりてーわ……もうイきそうか? 早えーよこの早漏が。人殺し童貞チンポから人殺しヘナチョコ童貞チンポに格下げだぞ」  ガヤを入れるミキの姿など視界に入らないらしく、ハルキオンは熱の籠った瞳でカイラの姿を捉えた。 「カイラ、さんっ……おねがいが、あるん、ですが……いい、ですか?」 「なんでしょうか?」 「じつは……ハルキオンというのは……しけい、しっこうにんとしての……ッ、なまえでして……ほんとうの、なまえでは、ないんです」  熱を帯びた体を震わせながら、ハルキオンは続ける。 「わたしの、ほんとうのなまえはっ……ルネスタ……って、いいます」  ハルキオン……いや、ルネスタは更に強くシーツを掴んだ。 「よんで、くれません、か……わたしのっ、ほんとうの、なまえ……あなたにだけは、よんでほしい」  ルネスタの願いを聞かないという選択肢は……ある訳が無かった。 「ルネスタさん」 「…………ッ‼︎」  先代である母が死刑囚の家族の逆恨みに遭い暗殺されたその日から……ルネスタの本名を知る者は己以外いなくなった。 「ルネスタさん」  この少年が今、己の名を呼んでくれている。  とても優しい声だった。  聞いているだけで、全身がオーガズムに達するような。 「カイラさん……」 「ルネスタさん……もう、気持ち良くなっていいですからね」  何かが迫り上がってくるような感覚。  表情を蕩けさせ、あの快楽を味わう準備を終わらせる。 「はい、っ、カイラ、さ、あ……っ!」  幸せの中、ルネスタは数年振りの射精に至る。  体をビクビクと震わせながら、射精に身を任せる。  久方ぶりだというのにも関わらず、ルネスタの肉棒は順調に白濁を吐き出してゆく。  大量の精を受け止めきれず、紙からボトボトと(こぼ)れてシーツを汚す。  長い射精が終わった時。ルネスタは疲労感に襲われてベッドに倒れ込んだ。  彼の陰茎は満足気に萎え、甘い痙攣を繰り返す。 「はぁ……は……っ」  荒い息を吐きながら、ルネスタは射精の感覚を頭の中で反芻させる。 「すげーな、1回の射精だけでこれほどの精気をもらったのは久しぶりだよ」  ミキは満足げにハルキオンを見下ろす。 「見ろよコイツの蕩け切った顔……しばらくは毎日のよーにシコり続けるだろうな。さて、カイラ。お前に捕まる前にとっとと帰るかな」 「っ、待て! 『バインド』!」  杖を手放しているカイラは手のひらをミキに向けて詠唱したが、上手くコントロールができない。  その間にミキは姿を無数のコウモリに変えてどこかへ消え去ってしまった。

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