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4日目〜夢魔の手のひらの上で〜
『やめろ、やめろ! 本気でヤるつもりか!?』
「嫌か?」
ヴェルトは激しく首を縦に振る。
「そうか。『ウォーター』」
水を出すだけの魔法を応用し、ガゼリオは粘度のある水を出す。これを潤滑油代わりにするつもりだ。
「ヴェルト、教えてやろう。気持ち力入れた方が入りやすい」
遂にガゼリオは指をヴェルトの後孔へ這わせてゆく。
蕾の周辺をクルクルとなぞり、挿入の準備を行う。
『……最ッ低な気分だよ』
その感覚に嫌悪感を覚えたヴェルトは、天井を仰ぎながら呟く。
『なんで僕がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ』
「そういやお前、相変わらず茶髪に緑の目の奴が好きなのな」
どうせ何を言っても聞こえないので、ヴェルトは黙ったままだ。
「まだあの女の事が忘れられないのか。もう10年は経つんだぜ」
なぁ。とガゼリオは呼びかける。
「俺にしなよヴェルト。あんな女の事なんか忘れてさ」
ヴェルトは何も答えない。
「一時的に離れていた時期があったとはいえ、俺ら幼馴染だろ? 俺ならお前の最低な性格も全部分かってやれる」
『ごめんだ____うっ!?」
ガゼリオの指が遂にヴェルトの中へ捩じ込まれる。
「おい暴れんな! 逃さねえよ。俺が優秀な魔導士なの知ってんだろ?」
後悔してんだ。とヴェルトの中をほぐしながらガゼリオは続ける。
「俺も冒険者になりゃ良かった。そうしたらさ、お前とずっと一緒にいられるだろ? そうしたらカイラと出会う事も、夢魔に弄ばれる事も無かったんだ」
熱の籠った目でヴェルトの顔を見つめる。
「ヴェルト……愛してる。カイラよりも俺の方がお前の事を想ってる。……あ、みっけ」
ガゼリオは紅潮した顔に笑みを浮かべた。
『何!? 何を!?』
口をパクパクさせ必死にもがくヴェルトの手を握ってやる。
「大丈夫だって心配性だな……今日1日じゃ厳しいかもしれねえが、ゆっくりと気持ち良く____」
とガゼリオが、ヴェルトが最も気持ち良くなるであろう部分を撫でた時。
今まで感じた事の無い快感を覚えたヴェルトは、仰け反りながら口をパクパクさせたのだ。
「は……?」
その感じ方に違和感を覚えたガゼリオは、ゆっくりとヴェルトの膨らみをクルクルとなぞるように撫でる。
ビリビリと電撃が走るような感覚に、ヴェルトは身を捩らせ息を荒くする。
「前々からお前の事、変態だとは思ってたけどよ? まさか開発済みとは……」
『ち、違う、これ、は……!』
現実逃避の為にヴェルトは窓の外を見た。
軒下に1匹のコウモリがいて、じっと2人を見つめている。
(夢魔……確か、奴らは姿形を変えられるはず。もしかして、お前……!)
ヴェルトはコウモリを……いや、夢魔ミキを睨みつけた。
『離せ! ガゼリオ! 離せ!!』
「それじゃ話が早えじゃねえか」
2本目の指を捩じ込まれたヴェルトは、サイレントの魔法をかけてくれた事を感謝するほどの情けない声を上げた。
『……ッ、夢魔が、いるんだ。きっと僕は奴に魔法を……かけ、られている』
「すげえな……中、ギュウギュウ締めつけてくる」
ゆっくりと丁寧に指を抜き差しする度に、ヴェルトが甘い吐息を漏らす。
『奴を、殺さなきゃ……! 殺したらっ、全部、終わるんだ! この、最低な、呪いがっ!』
「こっち向けよ」
とガゼリオがヴェルトの顎に手を当て無理やり自分の方へ顔を向けさせた。
「…………ッ!」
「だんだん良い顔になってきたな?」
ヴェルトの表情はとろけていた。
普段浮かべる事のない……まるで雌のような表情。
「お前にとっては絶望的な事を教えてやろうか。男の下の口ってのはな、締めようとしなければ緩いままなんだよ」
どういう事か分かるか? とガゼリオは問いかける。
「それなのに、お前は俺の指を締め付けてくる……恐らくお前が無意識的に締めてるんだ。こんなに嫌がってるのにな? ……体は正直なんだなぁ!?」
強めに愛撫されたヴェルトは顔を歪めた。
「この様子じゃ、もう大丈夫そうだな?」
とガゼリオの目がギラギラ光る。
ヴェルトは首をブンブンと横に振るが、ガゼリオは気にも留めず服を脱ぎ始めた。
「はは……あはは、呪いのせいもあってハイになってる」
長年教鞭をとり続けるだけだった体は、ヴェルトに比べるとかなり控えめだ。
「ごめんな。もう止められねえ」
だが、彼の欲望ははち切れんばかりに怒張している。
ガゼリオは自身の邪なる欲望を、ヒク、ヒクと痙攣するヴェルトに当てがった。
「大丈夫だって……さっきの様子を見るにお前、きっともう戻って来れなくなるぞ」
ガゼリオはヴェルトの髪を解き、ゆっくりとヴェルトと繋がってゆく。
初めてだというのにも関わらず、ヴェルトの体は痛みすら感じずガゼリオを受け入れ始めている。
『なん、で……ッ!?』
これも夢魔の魔法のせいだ。
ガゼリオとヴェルトはミキという夢魔の手のひらで踊っているに過ぎない。
そんな事など知らないガゼリオは、ヴェルトへ更に屹立を飲み込ませる。
「……半分入った。もう半分頑張れ」
荒い息を吐きながら、抵抗する事もできずにヴェルトは顔を更に歪ませる。
「カイラとはもうセックスしたのか? ……当ててやろうか。まだしていない。少なくとも挿入するような行為には及んでいない。そうだろ?」
ガゼリオは嬉しそうに微笑んで。
「……俺がお前の初めての男なんだ。分かるだろうヴェルト? 初めての男になれるのは嬉しいよなぁ? 一生ソイツの頭と体に自分という存在を刻み込めるんだぜ。お前の忘れっぽい頭と体にも彫り刻んでやる」
とヴェルトに囁いた。
「よし」とガゼリオが声を上げる。
「全部入ったぞ……すげえな、熱い……随分と自分でほぐしてたみたいだな、変態」
『だから違う……やめろガゼリオ。抜いてくれ』
動くぞ。と宣言したガゼリオは、腰をゆっくりと動かしヴェルトの体内を掻き回し始める。
その度に開発などした事が無いはずの前立腺が甘い感覚を脳に伝える。
「おっ、気持ちいいか? もっと気持ち良くしてやるからな……カイラを手籠にするより、俺に組み敷かれた方が気持ち良いだろ?」
『そんな訳____』
「カイラ……アイツには確かに才能がある。だが、圧倒的に経験と注意力が足りない。それなのにお前はアイツを選んだ」
ガゼリオの息遣いが荒くなる。
「茶髪に緑の目。無意識のうちにお前はアイツとあの女を重ね合わせてんだよ」
ヴェルトは甘美な感覚に支配され、体を震わせた。
萎えたままのヴェルトの陰茎が、ガゼリオに突かれる度に揺れる。
優しかったガゼリオの腰使いが段々と力任せになってゆく。
「クソッ、お前はいつまで経ってもあの女の幻影を追い続けてる……! 取るに足らないあの女を! クソッ!」
ドン! と更に強く貫かれて苦痛に悶えるヴェルトに気付き、ガゼリオは我に帰る。
「悪い、流石にやり過ぎた。頭に血が登り過ぎたよ」
と優しいキスをヴェルトに落とす。
(もう……いや、だ)
「あぁ……ヴェルト、すげえいい顔だ。俺以外何も考えられないって顔だ……好きだ、ヴェルト……お前の事が、何よりも……誰よりも」
ガゼリオの劣情が、ヴェルトの中で膨らんでゆく。
「あぁ……そろそろ、ヤバいかも……なぁ、ヴェルトの方はどうだ? イけそうか?」
ヴェルトは首を横に振る。
そもそも下でイくという感覚すら知らないのだから。
「まぁ、いいか……手か何かでイかせればいいだろ」
とガゼリオの腰使いが速くなる。
『待って待って……っ! このまま出すつもり!?』
「なんだよ、驚いたような顔して……もしかして、中に出されるのが怖いのか?」
ヴェルトは首を縦に振る。
「可愛いなぁヴェルト……生娘みてえな顔しやがって!」
湿った音が定期的に鳴り部屋に響く。
「なぁ、聞こえるか? この音……お前から出てるんだぞ」
『嫌、だ……嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ!!』
声帯が焼け付くような痛みを訴え始めた。
「ヴェルト、出すぞ……全部、全部! 受け止めてくれ!」
『嫌だ、やめて、やめてやめて!!』
ガゼリオが身を震わせたのとほとんど同時に、自分の中へ熱く煮え滾るモノが出される感覚を覚えた。
それがガゼリオの白濁であるとヴェルトはすぐに悟った。
「……ヴェルト? ……ははっ、泣いてんのか? さっきまで強気だったのにな」
ガゼリオは自身の萎えた陰茎を抜いた。そして、脱いだ衣服を拾い集めながらツルの魔法でヴェルトの体を床へゆっくりと降ろしてやる。
「サイレントの魔法も解いたから話せるぞ。……気分はどうだ?」
ガゼリオはヴェルトと目を合わせる事なく衣服を身につけ始める。
「ガゼ、リ、オ……」
「ん? 何だ?」
「もう、やめて、ガゼリオ……お願い、だから」
「もうやめてるよ」
「も……や、め……て」
うわごとのように、ヴェルトは何度も弱々しく「やめて」と呟き続ける。
ガゼリオはネクタイを締めると、ようやく倒れ込んでいるヴェルトの前でしゃがんだ。
「やめてって言ってる割には、随分と気持ち良さそうだったじゃねえか」
ガゼリオは床に倒れているヴェルトの頭を撫でた。
「なぁヴェルト……もう一度言うが、俺にしなよ。カイラなんかより……俺の方が、お前の事を分かってやれる。お前の事を悦ばせられる。お前の事を愛してやれる」
「ヴェルトさん!」
ドンドン! と強くドアを叩く音が聞こえる。
カイラだ。
「やっぱり僕、ヴェルトさんの事が心配です! 僕も夢魔と戦いますから……っ!」
「ったく、カイラも随分と正義感が強いな……せっかくだから、お前の今の姿みせてやろうか」
「ま、まって……やめて!」
こんな姿を見せる訳にはいかなかった。
衣服を剥がれ、涙や汗で体を汚し、女のように突かれて善 がり、腹に親友だった男の精を注がれた今の姿を。
純粋なカイラに見せる訳にはいかなかった。
静止するヴェルトを無視したガゼリオは、自分に透明化の魔法をかけた。
そして……部屋の鍵が開けられ、扉が開かれる。
「ヴェルトさん!」
カイラと入れ替わるように、ガゼリオは部屋から去った。
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