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壊れちゃったティニー
それからティニー以外のカイラの弱点を全て愛撫し、彼を真夏のアイスクリームよりもドロドロにとかしたヴェルトは。
「ほら、カイラ君おいでよ」
ベッドに仰向けになりながらカイラを誘う。ヴェルトの肉棒もそそり立ち、カイラを待ち構えていた。
「僕ちょっと疲れてるからさ。カイラ君が動いてよ」
正直言って、ヴェルトは今からやろうとしている体位はあまり好きではない。
理由は簡単。自分がリードを握りづらいから。
それなのにやろうとしているのはカイラを分からせる為。
屹立を前にカイラはきょとん顔を浮かべていた。
「……良いんですか? 僕がリードしてしまっても」
「あのねぇカイラ君。上に乗ったからと言って、必ずしもリードできるとは言えないんだよ」
意味をよく理解できていないカイラに微笑みかけて、ヴェルトは更に続ける。
「まぁ、でももしカイラ君が上手くリード握れたら……自分のがティニーだって認めなくても射精させてあげようかな」
「……!」
射精という2文字にカイラは目前にキャロットをぶら下げられた馬のように目を輝かせる。
(よし、絶対喘がせて射精させてやる!)
意気揚々とヴェルトの屹立の上に跨り……少々躊躇ってしまう。
自分の倍以上あるモノを飲み込むには、それ相応の勇気が必要なのだ。
「どうしたのカイラ君?」
ヴェルトから煽るように呼びかけられ、カイラは「何でもありません!」とやや怒気を含んだ声で返して、ゆっくりと屹立を飲み込んでゆく。
「はっ♡ ……あぁ、っ♡」
初めて性行為を成功させてから何度か体を重ねた為、初めての時と比べてかなりスムーズに飲み込んでゆく。
「はっ……ん♡ あぁ……♡」
「全部飲み込めたね、偉いね……じゃあ動いてごらん? リード握ってごらんよ」
「自分が射精する」という確かな目的を持ち、カイラは屹立を飲み込んだまま腰を浮かせる。
そして、軽く腰を下ろすつもりだったのだが……重力に逆らえず深く腰を降ろしてしまい、ヴェルトの肉棒の根元まで飲み込んでしまう。
「~~~~ッッ♡」
「ほらカイラ君。ちゃんと動かないと僕を気持ち良くさせられないよ?」
「わっ、分かってますっ!」
腰を震わせながらカイラは喘ぎ続けた。
***
射精には至りそうにないほど拙 い腰遣いで踊り続けるカイラを、ヴェルトは静かに見守っている。
とろけ切った表情とは対照的に、健気に動く汗ばんだ華奢な肉体。
腰を下ろす度に震える声帯とティニー。
思考。その全てをヴェルトで上書きされたかのように、カイラはヴェルトの肉体と快楽を求め彷徨い続ける。
「カイラ君」
時折バランスを崩しそうになる彼をそっと支えるだけだったヴェルトは、遂に痺れを切らして声をかける。
「ふぁ……?」
痴呆的な表情を浮かべながらカイラがとろけ切った声で返事したのと同時に、ヴェルトは腰を上げカイラの肉壺の最奥を一気に突いた。
「ん゛ぁっ!?」
噴火のような衝撃と快感に体が耐えきれず、カイラは仰け反りながら射精した。
カイラ16歳。人生初のところてんをヴェルトで体験。
鍛えられた腹部が生暖かい精液で汚れるのを気にする事なく、ヴェルトはカイラの跳ねる欲望を色っぽい笑みで見物した。
「あはっ……ダメだよカイラ君、溜まってるからって漏らし……ちゃ……」
そう言いながらカイラの顔を見上げたヴェルトは、まるでイタズラが母に見つかってしまった子供のような表情を浮かべた。
カイラがさめざめと泣いているのだ。つぶらな瞳から葉に付いた大粒の夜露が滑脱するように。
ヴェルトは上半身を起こしカイラの体を労るよう手を回す。
「カイラ君……どうしたの? 痛かった? まさか切れた?」
まるで幼い我が子を心配する母親のような口調の問いに、カイラはブンブンと首を横に振る。
「ヴェルトさん……僕、どうすれば良いんでしょうか……」
洟 をすすったカイラは、恐怖を伴った声色で続ける。
「ぼっ……ぼくのおちんちん壊れちゃった……!」
「……は?」
カイラの言っている事の意味が分からずヴェルトは呆れ顔で訊ね返した。
「だ、だってっ! 触ってないのに……射精するなんて絶対おかしいです!」
性に興味深々なカイラもところてんについては知らなかったらしく、すっかり男性機能が狂ったと勘違いしているようだ。
とりあえず痛みを感じていない事に安堵し、腸壁が傷付かぬよう細心の注意を払いながら、繋がったままゆっくりとカイラの体をベッドに押し倒す。
「ふぁ、あ……♡」
これから全身を襲うであろう快楽の津波を想いカイラは身を捩る。
「そうだねぇ。ティニー壊れちゃったね?」
勘違いしているカイラを更に追い詰めるべくヴェルトは囁く。
ヴェルトの言葉で己の肉体に起こる異変を思い出し、カイラは戦慄し再びぐずり始める。
「ずっと貞操帯で射精も勃起も我慢させられてたからかな? これじゃあもう使い物にならないね」
「そ、それって……」
「カイラ君はもう誰も抱けないって事」
「う……うぅうぅう……っ!!」
悪い大人に騙され男としての自信をズタズタにされた純朴な少年が涙する。
あまりにも哀れだ。
(……もっと虐めたい)
生まれたての赤ん坊。ふわふわしたぬいぐるみ。可愛らしい猫。絵本に出てくるキャラクター。
人は可愛いものを目の前にした時、「握り潰したい」や「噛みたい」といった攻撃的な衝動に駆られる事がある。
これをキュートアグレッションと呼ぶ。
ヴェルトは今、カイラに対してキュートアグレッションを引き起こしている。
涙を溢すカイラに邪な想いが溢れ出し、ヴェルトは全身が粟立つのを覚え危険な笑みを浮かべた。そして両腕をカイラに回し強く抱き締める。
「ヴ、ヴェルトさ、苦し……!」
ヴェルトの前腕の筋肉が隆起し筋が現れる。重い剣を軽々と扱えるほどには鍛えられている腕で抱き締められれば、カイラのような貧弱な体はすぐ根を上げる。
肺も押されて呼吸が苦しくなり、カイラはハァハァと浅い呼吸を繰り返す。
腕の力を少々緩めてやりながら、ヴェルトはゆっくりとピストンを始めた。
「……あっ♡ ヴェルトさぁ……ん゛っ♡♡」
「カイラ。ちょっとだけ指南してあげる。挿れた後はすぐ動いちゃダメ。そして、すぐに激しくするんじゃなくて、互いの形覚えさせるみたいにゆっくり動かすんだよ」
「ふぁ♡ ……あっ♡ あぁあ……っ♡♡」
「で、一定の速さと深さ、角度で突くんじゃなくて、時々変化をつけながら、相手の様子を見ながら丁寧に抱くんだよ?」
「例えばさ」とヴェルトが続けた途端、
「ひゃ♡ あぁあっ……♡♡♡」
強い快感が雷のようにカイラを貫いた。
「さっきよりほんの少しだけ角度を上げた。この深さと角度がカイラ君のツボだよ……それと、こんな風に浅い所を少し速めに突いてからさ」
肉感的な音にカイラの嬌声が合わさる様は楽器の演奏のよう。
「一気に突く」
「ん゛ん゛ぁあ゛っ♡♡♡」
滾る欲望に最奥を穿たれたカイラは下品な声を上げる。
「指でしてあげてた時から好きだよねぇ? ……ね? こんな風に相手の良いところを探すのも必要なんだよ」
カイラを善がらせながらヴェルトはSっ気に満ちた笑みを浮かべる。
「いろいろ教えたけど、全部カイラには要らない知識だったね。ティニーはもう壊れちゃったんだもんね? ごめんね、無駄な知識ばかり増やしちゃってさ」
雌の悦びに全身を打たれながら、カイラは再び雄としての尊厳を踏み躙られ涙を溢す。
(……また締め付けが強くなった。やっぱり虐められるの好きなんだなぁ……可愛い)
「ほらほら、良い加減認めなよ。カイラのちんちんはお飾り。精子作るしか能の無い可愛いティニーなんだって」
「いや……いやあぁっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡」
抵抗するが、後孔を穿たれる悦びには敵わず甘い声を漏らし続ける。
「認めたら射精させてあげる。まだ出し足りないでしょ? だって今日で4日目……カイラにとっては8日目だもんね? まだ溜まってるの今出したらきっと気持ち良いよ?」
「う……うぅうぅう~~~~っ♡」
再び自身の肉茎が疼き、更なる快楽を求め始める。
「ね? 認めよう? そうしたらすぐ気持ちよくなれるよ」
夢魔よろしく唆すヴェルト。
カイラは目先の快楽とプライドを天秤にかけて……
「み……認めます! ぼっ、僕のおちんちん……ティニーはお飾りです! 物凄くちっちゃくて可愛くて女の子1人も悦ばせられない上に勃起すら満足にできないお粗末ちんちんです! ……うっ。うわぁぁぁぁんっ!!」
言い終わったカイラはプライドが復元不可能な程細かく砕かれた気分になり、子供みたいに泣き出してしまう。
「ひぐっ♡ うぁ♡ ……あぁ~~~~ッ♡♡」
だが、途端に始まった本格的なストロークに体が反応し、悲しいのに体は悦んでしまう。
「よく言えたね。偉い偉い」
(そこまで言えとは言ってないけどね)
無意識にカイラが締め付けるので、ヴェルトも声を漏らしてしまう。
軋むベッドに跳ねる息。
水の音に汗ばむ体。
空白の時を埋めるような、濃厚で背徳的な遊戯の果て。
ヴェルトがカイラの最奥にて精を吐き出した。
「……気持ち良かったかい?」
ヴェルトの問いにカイラは何度も頷いた。
「そりゃ____」
良かった。と続けようとしたヴェルトは気付く。
……カーテンで閉め切った窓の方から妙な気配を感じるのだ。
夢魔ではない。もっと得体の知れない何かの気配だ。
「ヴェルトさん、あの……っ」
ほとんど無意識なのだろうが、カイラは腰を軽く左右に振り射精をおねだりする。
今すぐにでも再び彼を組み敷きたい衝動に襲われるが、不届者を何とかするのが最優先事項。
ヴェルトは唇に人差し指を当て「静かに」とジェスチャーで示し、声を低くして伝える。
「カイラ君……何かいる」
「へっ?」
「これ羽織って布団の中に隠れてて」
とカイラはヴェルトから全て終わったら着ようと用意していた寝巻きを渡された。
カイラが言われた通りにするのを見届けてから、ヴェルトもさっと寝巻きを羽織りカーテンを全開にする。
そこにいたのは……マティアスの所にいるのと同じ型のお手伝い魔道具だった。
柔らかな色合いのこげ茶のふわふわな体とベージュの大きなマズルをぎゅっと窓に押し付けているので滑稽だ。
ぬいぐるみはふわふわな手でガラス窓をポンポンと叩き始める。
「あ~け~て~! ここ、あ~け~て~!」
ガラス越しのぐぐもった声がカイラの耳にも届き、カイラは身を起こした。
「クマちゃん!?」
カイラの姿に気付いたクマは手を振る。
「カイラきゅ~ん♡ ここあ~け~て~!」
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