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第16話 春真っ盛りのこと2
その日の夜、ぼくは王様の尻尾を触らせてもらうことになった。
(だって、メリさんがつがいなら毛繕いするんだよって言うから……)
そう言われたらどうしても触りたくなった。それに尻尾にはずっと触ってみたいと思っていたんだ。ところが寝間着のときも王様の尻尾は服の中で見ることすらなかなかできない。そりゃあ、そういうことをするときは王様も裸だから見ることはできるけど、ぼくにじっくり見る余裕なんてあるはずがなかった。
(足に当たったときはフワフワっぽい気がしたけど……)
本当はどうなんだろう。ドキドキとワクワクが混ざったような気持ちで王様が寝転がるのを見守る。
(……モフモフだ)
寝間着から出ている尻尾はモフモフだった。金髪より少しだけ濃い金色をしている。ドキドキしながらそっと触ってみた。髪の毛と同じで手触りはフワフワしていて、でも毛の量が多いからか撫でるとモフモフに感じる。
気持ちがよくて何度も手で撫でた。羊の毛が一番好きだったけど、いまは間違いなく王様の尻尾のほうが好きだ。牧羊犬の尻尾より大きくて撫で甲斐もある。ぼくはうっとりしながら何度も手を動かした。付け根に近いところからゆっくりと撫で始めて先まで同じ早さで手を動かす。先のほうがフサフサしていることに気づいて、指でくすぐるように撫でてみた。そうするとくすぐったいのか尻尾が少しだけ動く。
しばらく撫でていると、王様が「次は俺がしてやろう」と言った。
「えっ?」
くるりと振り返った王様がぼくの頬を撫でた。気持ちがよくて目を細めたら、今度は髪の毛をかき上げるようにしながら耳を撫でてくれた。撫でられているのはぼくなのに、触っていた王様の尻尾が機嫌よさそうに少しだけ揺れる。
「んっ」
耳の裏側を撫でられて声が出た。いつもより高い声で恥ずかしい。
「相変わらずおまえは感じやすいな」
「だ、だって」
「悪いとは言っていない。むしろ好ましいと思っている」
「お、王様」
「王様ではないだろう?」
「……フリソスさま」
名前を呼ぶと王様の顔が少しだけ変わる。いつものかっこいい王様から少しだけエッチな王様になるんだ。
王様の手が後頭部に回った。これはキスをするぞって合図だ。だから目を瞑った。そのまま顔を少しだけ上げる。
チュッ。
王様の唇は温かくて柔らかい。その唇で何回もチュッとキスしてくれる。ぼくは王様とするキスが大好きだ。温かくて気持ちがよくて幸せな気分になる。でも、もっと気持ちがいいキスをぼくは知っている。口を食べられてしまうようなキスをしてほしくて体がウズウズした。
「段々匂いが強くなってきたな」
「それって、発情してるってことですか?」
目を開けると、とても近いところに蜂蜜色の目があった。その目がじっとぼくを見ている。いつもより蜂蜜色が濃くて、それにとてもエッチな目だ。
「あぁ、そうだ。おまえは人だが発情する体になった」
ぼくの横髪をかき上げた王様が耳のあたりをクンと嗅ぐ。
「つがいの匂いがこれほど甘いとはな」
「甘いですか?」
「おまえが作る菓子のように甘い」
「そ、そうですか」
「食べてしまいたくなるような匂いだ」
王様に食べられる……想像したぼくは怖いと思うより食べてほしい気持ちになった。王様になら食べられてもかまわない。ぼくの全部を食べてほしい。そう思って目を瞑ると王様がぼくの右手を掴んだ。そのまま自分の股間に持って行く。
「お、おおお王様!?」
「王様ではない」
「そ、そうじゃなくて、手を……あの……」
ぼくから触るのはまだ恥ずかしい。でも興味はある。だって、服の上からでもこんなに大きいのだ。これがぼくの中に入るんだと思うとたまらない気持ちになる。今夜も入れるのかなと思いながら撫でたら、大きく膨らんだソレがググッと動いてもっと大きくなった。
「これをすべておまえの中に入れたい」
「へ?」
これを……? 思わず形を確かめるように撫でてしまった。
「すべてって、いままでも入れてたんじゃ……」
「半分と少しくらいはな」
「は、半分」
いつもお腹がいっぱいになるくらいパンパンなのに、あれで半分だったなんて驚いた。じゃあ、全部入れたらどうなるんだろう。ぼくは右手で王様の股間を撫でながら左手で自分のお腹を撫でた。どこまで入るのか気になって仕方がない。
(先っぽはここで、ここまでがアレで……)
先から根元まで撫でると長さがよくわかる。
(……こんなに大きかったんだ)
何度も見ているはずなのに、こんなに大きいとは思わなかった。しかも思っていたより長い。左手で自分のアレの根元を触る。ここよりは絶対に奥まで入る。
(それじゃあ、おへその下くらい?)
おへその下まで手を動かした。
(いやいや、もっと長い気がする)
おへそより上くらいだろうか。そこまで手を動かしながら「えぇ……」と口元が少しだけ引きつった。こんなところまで入ったら、ぼくのお腹は破れてしまうんじゃないだろうか。でも王様は全部入れたがっている。王様がそうしたいならぼくも受け入れたい。
「何をしている」
「え?」
「俺のを撫でながら何をしているんだ?」
王様を見たら蜂蜜色の目がギラギラしていた。気のせいでなければグルグルと唸るような声も聞こえる。
「ええと、王様のを全部入れたらどこまで入るのかなぁと思って、っ!」
言い終わる前にベッドに押し倒された。「え? なに?」と目を白黒させているぼくを、ますますギラギラ光る蜂蜜色の目が見下ろす。
「おまえは煽るのがうまいな」
「あおる……?」
「そうだな、俺のものを全部入れるとなると……このあたりまで届くだろう」
王様の大きな手がおへその少し上をクッと押した。
(や、やっぱり)
こんなところまで入るんだ。想像しただけで、どうしてかお尻がキュッとなった。お腹もジンジンする。お腹の奥が熱くなってお尻の孔がきゅうっと締まった。
「怖いか?」
王様の目は見たことがないくらいギラギラしていた。まるでぼくを食べてしまおうとしているような顔だと思った。それでも怖くない。怖いどころかドキドキしてお腹がキュンキュンした。
「怖くないです」
「無理をしていないか?」
「そんなことないです。だって、王様のこと全部受け入れたいから。それに王様とするのは気持ちいいって、ぼく知ってますから」
「お、まえは……っ」
「っ、んぅ!」
ガブッと口を食べられた。ガブガブ噛まれてべろりと舐められる。それでも苦しくはない。はじめはあんなに苦しかった王様とのキスも、いまはちゃんと息をしながらできるようになった。それに、ぼくからガブッと噛むこともある。
たてがみのような金色の髪をギュッと抱きしめた。そうしながらたくさんキスをした。キスをしたまま服を脱いで、裸になってからもう一度ギュッと抱きしめた。お腹に王様のアレがグイグイ当たっている。これがいまからぼくの中に入ってくるんだ。そう思っただけでお尻がジンジンしてお腹の奥が熱くなった。
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