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第1話

【天狗も浸かりにくるという露天風呂でお尻にファイト一発された社畜物語】 会社の慰安旅行で山奥の温泉地へ。 旅館につき部屋にはいったなり「あー」と倒れて、ふかふかの座布団に顔を埋めた。 大型バスに乗る直前まで仕事に追われていたから疲労困憊。 「おー死んでるなー」と遅れて入室してきた同僚は意気揚々としたもの。 俺はいわゆる社畜だが、会社はブラックではない。 ブラックなのは上司であり、俺だけを奴隷扱いをするのだ。 日々の上司の叱責、侮辱、仕事の押しつけは目に余るものとはいえ、社長のお気にいりとあって周りは口だしできず。 同僚も後ろめたいからか「まあ、ゆっくり休めよ。食事の時間になったり、他になにかあったら起こしてやるから」と気を使ってくれている。 ふだん見て見ぬふりをする同僚たちに恨みはないものの、今日は甘えさせてもらうことにし「んー」とそのまま眠りにつこうとしたとき「失礼いたします」と女中さんが入室。 慌てて座布団に座り、旅館の説明に耳をかたむけ「ここらへんで、なんか怪談があったり心霊現象が起こったという話はないですか?」と同僚が質問するのをぼんやりと聞く。 「んー、そうですねえ。 噂ですが、秘湯とされる自然にできた露天風呂に、たまに天狗さまが浸かりにくるらしいですよ。 露天風呂のある山では昔から天狗さまがいらっしゃるといわれてますし。 山で無礼を働いたり不敬な行為をしなければ、気さくに接してくれて、ときには恩恵をもたらしてくれるそうです」 「わー興味ある、どこに露天風呂が?」と広げた地図に女中さんが指をさしたのを最後に記憶が途切れてしまい。 目が覚めると、体にはブランケットがかけられ、部屋に同僚は不在。 テーブルを見ると、地図が置いたままでそばにメモがあり「食事の時間まで風呂にはいって旅館をうろついてくる」と。 「天狗がくるという露天風呂に行かなかったのか」と頭をかき「俺はどうしようかなあ」と考える。 もちろん温泉で心身を癒したいが、上司と遭遇する危険が。 「食事は宴会形式だし、酔っぱらってからまれるかもしれないし・・・」とげんなりして、ふとテーブルの地図に視線を。 メモの下のほうに「外をぶらついて食事もしてくる」と書き、タオルと地図と(部屋にあった)懐中電灯をいれたリュックを背負って退室。 上司に見つからぬよう旅館からでて、地図に丸がつけられた場所へと向かう。 天狗がいるという山にすこし踏みいり、開けた場所へ。 谷間に川が流れているところで、辺り一帯、熱く蒸した白い湯気がもうもうと立ちこめている。 目を細めて見回し「天狗の露天風呂」と書かれた木の看板を発見。 そこには簡易な脱衣所のようなものが設けられ、籠のなかに畳んだ服とリュックをいれたなら、手拭きタオルを腰に巻いていざ露天風呂へ。 湯気に視界が遮られ、露天風呂のようすを窺えないが、籠は空っぽだったから人はいないだろう。 と思っていたのが、ふいに強い風が吹いて見通しがよくなり、果たして目にしたのは露天風呂に浸かる赤い肌をした巨体。 いや、俺は同僚のように心霊オタクではないし、信じないほうだから、その存在に会えるのを期待していたわけではない。 が、二メートル以上あるボディービルダーのような体つき、真っ赤なペンキを塗ったような肌、そして鼻の長さが際立つ仮面をかぶったままでいるのを見るに、どうやらビンゴ。 まったく想定していなかった事態となり、呆然自失。 「おお!顔色のわるい人間!はやく温泉に浸かれ!浸からんか!」とがはは!と豪快に笑って促されたのに、驚きから覚めぬまま吸い寄せられるように温泉イン。 【男子高生と体育教師の夜の個人レッスンを覗いてはいけない】 新任の体育教師はなかなかの爽やか長身イケメンなれど、指導が焦熱的すぎて鬱陶しい。 体育といえば多くの生徒が「だるー」とまじめに取りくもうとしないものだが、おかまいなしに運動ができるやつには、さらに記録を伸ばすよう励まし、ふできなやつには、基本ができるまで尻を叩く。 おまけに「一定の合格ラインを越えなければ、留年させる!」と脅してもくるし。 合格ラインを達しないと、補習というか体育教師の個人レッスンを受けなければならず「余計にうぜー」と渋々ながらも授業で課題をこなそうとする生徒が、ほとんど。 個人レッスンを受けるのは根っからの運動音痴だが、案外、運動部所属のやつも。 運動能力が高くても競技によっては本領発揮できないようで、典型は水泳部エースの久野だろう。 競泳でインターハイ出場をしたこともある久野にして、跳び箱の六段が跳べないのだ。 漫画研究部所属で運動が得意でない俺でも跳べたというのに、本人曰く「ああいうタイミングを図る競技はどうにもね・・」らしい。 とあって「世の中、努力してできないスポーツはない!」と豪語する体育教師の個人レッスンを受けているものの、久野に限ってはいやいやでなく「跳べるようになったら、水泳にも反映される気がする」とむしろ自主的に指導を求めているという。 それだけ意欲を燃やして、体育教師の熱血指導に真っ正面から応えていても、六段の壁を越えられず、くすぶっていたところ。 その日は漫画研究部の部誌の製作で、帰りは夜遅くに。 部員たちと談笑しながら廊下を歩いていると、むこうから久野が。 すれちがうまえに「部活もう終わったんだろ?なのに、なんで駐輪所とは逆のほうに?」と聞けば「今から先生と跳び箱の特訓をやるから」と。 「こんな遅くにか?ていうか、水泳部で疲れただろうに、やれるのかよ」 「あともう一押しのような気がするからさ、コツをつかめそうな感覚を忘れないうちに早く練習したいんだよ。 帰りは先生が俺の自転車を車に乗っけて、送ってくれるというし」 暑苦しくお節介にかまってくるのを、皆に煙たがられている体育教師なれど、生徒思いの心意気に偽りはないのだろう。 すこし体育教師を見直しつつ「そっか、今日、跳べたらいいな」と励ませば「おう、もうこれ以上、先生にも迷惑をかけられないし」と笑いかけ、体育館のほうへ。 その背中を見送ってから部員に追いついて話の輪に混じるも、どこか上の空。 「個人レッスンってどんな風なんだ?」と気になってのこと。 【BLゲームの推しキャラになった俺はいじめられっ子にタップされまくって絶頂を迎えまくる】 俺は隠れ不良だ。 進学校で成績優秀、内申点も抜群な優等生のふりをして、ばれないよう口答えしない陰キャたちでストレス発散を。 野外活動もして、親が放置ぎちなのをいいことに夜は塾に行きながら、そのあとクラブにいり浸って飲酒喫煙三昧で踊りまくり。 とはいえ羽目をはずしすぎて警察のご用にならないよう注意をし、危ない薬には手をつけないなど、思うまま非行に走って人生を棒にふる真似は決してしない。 ひそかにわるい遊びをしつつ、鉄壁の外面で巧みに世間を渡り歩いていこうと思っていたのだが。 その日はテスト結果が発表され、順位が下がったのにむしゃくしゃ。 人気がない廊下を歩き、口ぎたない独り言を呟いていたら、ムーディーな音楽と男の悩ましい声? 開けっぱなしの窓から顔を覗かせると、捌け口要員の一人、加山がスマホに目を釘付け。 画面には鈴つきの首輪を装着した全裸の男が写っていて、謎の光に包まれた股間をタップするたびに痙攣して「あ、あぁ、だめぇ、そんな、したらぁ、でちゃあぁ!」と甲高い鳴き声を。 鼻息荒く指を叩きつけるのを、こっそりスマホで撮影をしてから、窓から跳びおりて「かーやま!」と声をかける。 ふり仰いで目を丸くし、すぐに顔を青ざめたのを見て、すこし鬱憤が消散。 自分のスマホをふってみせ「ホモゲームに夢中になってシコっている動画、拡散されたくなかったら俺に融資してよお」とにやにやと脅迫。 「このごろ物価高でさあ、クラブで遊ぶのも大変でさあ」と肩を抱いて揺すれば、スマホの画面を消して「いくら・・・?」と震えながらも、すんなり応じる。 「十万くらいかなあ?それくらい、余裕で用意できるだろ? なにせ叔父さんが、有名大企業の社長なんだからよお」 加山とは親しくないが、小学生からのつきあい。 かつて同じクラスだったときに叔父のことをひけらかし「お年玉に五万円もくれるんだ!」と自慢しまくっていたおかげで、隠れ不良の俺に揺すられたかれるという哀れな男だ。 「お年玉は親に奪われないで貯金しているから!」と豪語していたから、俺がいくらせびっても断ろうとしない。 下半身露出の写真で脅されているからとはいえ、ほいほい金を渡しすぎじゃ?とすこし疑問に思うが「じゃあ明日、よろぴくー」とすっかり気分は晴れて、その場から去っていった。 「明日の夜は豪遊だ!」と浮き足だったまま、塾に向かっていたとき、暴走トラックが歩道に突っこんできて俺は正面衝突。 「嘘だろ!?」と思う間もなく天に召されたのか、目の前が真っ白になったものを、徐々に霧が晴れるように視界が開けていき、まず目にしたのはハートだらけのピンクの天井。 見回すと、狭い部屋全体がハート柄のピンクにおおわれ、つぎに自分の体に目をやってぎょっとする。 鈴つきの首輪を装着しての全裸、万歳をして手は拘束。 【泊まると掘られるという噂がある部屋で格闘家が一人エッチした末路】 地方での総合格闘イベントが終わり、片づけをしていたら急に吉良先輩に肩を抱かれた。 耳元で喚いたことには「なあ今日のホテル、怪しい噂があるの知っているかあ!?」と。 「ある部屋に男が泊まると、幽霊に掘られちゃうらしいぜ!」 ホテルのその部屋ではかつて男が自殺をしたらしい。 男同士で駆け落ちをしたものの、部屋にもどると相手はいなく「やっぱり彼女と結婚する」との置き手紙が。 で、絶望して自死の道を選んだわけだが、初夜を迎える直前だったこともあり、未練から同じ部屋に泊まる男を掘るのだとか。 「部屋番号が分からないから、おそろしいぞお! たまたま当たってしまったやつは次の日、どんな顔をして俺らのまえに登場するんだろうなあ!」 「うっわーやめてくださいよ!俺、そいういう系、だめだし、べつの意味でこわいじゃないすかあ!」と震えあがれば「自慢のおっぱい、幽霊に揉みつくされちゃうなあ!」とはしゃいでじゃれてくる。 さんざん俺を怯えさせて満足したのか「明日の報告、たのしみにしているぞ!」と外へと。 背中が見えなくなってからは、涙をひっこめ「掘られる部屋かあ」と冷めたもの。 心霊系を信じない俺には、どうでもよく、そのくせさっき女のように悲鳴をあげていたのは、吉良先輩がかまってくれるから。 揉まれた胸、張りつめた突起をむずむずさせながら、深呼吸して落ちつき、片づけを再開。 そのあとホテルの部屋にはいったところで無感動のまま、同室の選手も怪談っぽい噂には興味がないらしく「はやく売れてー、一人部屋泊まれるようになりてー」とベッドでごろごろ。 「たしかに一人部屋なら吉良先輩を呼んでいろいろできるなあ」と妄想に浸りそうになり、スマホの通知音にびくり。 画面を見ると先輩からのメッセージで「近くにある女の子の家に誘われたから、そこで泊まるわ。よかったら俺の部屋が空くし使うか?一人で気兼ねなく寝れるぞ」と。 「女の子に誘われた」に胸を傷めつつ「先輩の使用済みの部屋!」と興奮もして同室の相手に慌てて説明。 先輩の話を持ちだすと「お気にいりめ」と妬まれるかもしれないので「親戚の家が近くにあるらしくて、もてなして泊まらせてくれるって」と嘘を。 相手は疑わず「じゃあ部屋一人で使っていいの!?ラッキー!サンキュー!」と手を叩き、荷物をもって退室する俺をにこやかに見送った。 五階へいくと、エレベーターの前で待っていた先輩は鍵を渡して「お前も女つれこんでもいいんだぞ?」と大きな手で俺の髪をくしゃくしゃに。 「俺は・・・」と返事をする間なくエレベータの扉が閉まり、閑寂とした廊下に一人、とりのこされる。 すこし寂しさを覚えながら部屋にいって開錠。 【女装した俺をブスブスと笑い者にした挙げ句、愛しげに抱く彼は情緒不安定すぎる】 大学の学祭で俺が所属するカヌー部はメイド喫茶をすることに。 男しかいないから、メイドとウェイターと半々に別れるためにじゃんけん。 俺はすぐに敗北したとはいえ、べつに抵抗感がなければ、うれしいわけでもなく、手伝いにきた女子にされるがまま、メイクアップ。 女子曰く「兼田くんは顔がかわいい系だから、きっと似合うよ!」らしく、それを聞いて部員たちも期待していたようなのだが。 ヘアメイクをしてもらいメイド服を着てお披露目したなら、一斉に向いた目が一瞬で輝きを失った。 「どういう感情?」と首をひねり、鏡を見ると、なるほど微妙だ。 どうやら俺の顔と化粧は相性がよくないようだし、細身ながら骨格ががっしりとしているから、メイド服が変につっぱって、かくかくとしたロボットが服を着てるように不格好。 なにより致命的なのは「おえー!吐きそう!」と大笑いされるほどでなく「やべー!惚れそう!」ともてはやされるほどでもなく、中途半端に似合っているようで似合っていないこと。 まわりは反応に困って、すっかりフリーズ、空気も凍りついてしまい。 俺のせいでないとはいえ、ひどく居たたまれず、といって「あまりの美女に言葉をなくしたか!?」と冗談を噛ます意気地もなく、冷たい体を強ばらせていると。 「テープ、買ってきたぞお!」と部員であり同級生友人の岡崎が部室に登場。 室内の異様な雰囲気に顔をしかめるも、俺を見るやいなや「なにそれ!すっげーブス!」と大笑い。 今の時代アウトになりそうな暴言を、あまりに無邪気に放ったものだから「いや男子大学生のノリとしては正解だ!」とまわりは我にかえったらしく「いやほんとブス!」「ブスに振りきらないのが余計にブス!」「逆に見たことがないブス!」と大騒ぎ。 女子が休憩で不在ともなれば、そりゃあいいたい放題。 岡崎のおかげで、なんともいえない気まずさが吹っとんだのはいいとして全方位から「ブスブス!」と笑って罵倒されるのは気分がよろしくない。 べつに女装が似合っていようとなかろうと、どうでもいいが「ブス」の響きは槍のようになって心に突き刺さり、聞き流すことができず。 これまで女子に「ブス」といったことはないし、男子が囃すのに不快感を覚えたことがあるとはいえ、いざ自分がいわれる側になると、こんなにも精神的に辛いとは。 「やめろお!」と泣き叫びたくなるも、せっかく場の盛りあがりが回復したのに水を差すことはできないで「もお!傷ついちゃう!」と怒ったふりをして、おちゃらけたもので。 そのあと準備に追われて、一旦、ブス騒ぎは収束。 かと思いきや、メイド喫茶を開店するとまた弄りだし、客も悪のりをして「ブスに指名はいりましたあ!」「おーいブス!チップやるからこっち向けよ!」とブスブスブスとまあ、うるさいこと。 苛立ちながらも「休憩まで耐えろ・・・!」と営業スマイルを維持していたのが「おいこらブス!注文がとどこおっているぞ!役立たずのブスが!」と岡崎に高笑いして叱責されて頭が沸騰。 「だまれ!このルッキズムの差別者が!いい加減、その愚蒙な口を閉じないとぶっ殺すぞ!」 【変質者のようなハイレグエロサンタは義父に劣情を抱く俺に献身する】 高校生になればサンタなんか信じない。 というのをメルヘン脳の義父は分かっていなく「サンタさんへの手紙そろそろ書かないと!」と毎年、急かしてくる。 「ほらサンタさんも、大勢の子供のプレゼントを用意しなくちゃならないから早めに書いて渡したほうがいいよ!」 「ぎりぎりだとお義父さんが困るからでしょ」とつっこめない俺も俺で、でも、手紙は適当に書かない。 つれ子だった俺に偽りのない愛情をかけてくれ、母が亡きあとも「お、おお、俺も捨てないでくれええ!」と逆に泣きついてきたほど、溺愛してくれるからこそ、線引きが必要だ。 家は貧乏でないとはいえ、俺のためなら義父は金に糸目をつけないから。 冗談でも「車」なんて書くのはご法度だし「財布」などとざっくりと書けば、高級ブランド品を靴下にねじこみかねない。 といって、あきらかに気を使った安物にしたら「えんりょしているの!?血がつながっていないから!?」と号泣して一ヶ月くらい引きずるだろうし「義父との平穏な暮らしがつづけば、それでいい」と殊勝な書き方をした日には「俺なんか!俺なんかいないほうがいいんだああ!」と曲解して自殺しそうだから難儀なもの。 「どうしたもんかなあ・・・」と配慮に配慮を重ねたクリスマスプレゼントのリクエストを考えていて、ふと無意識にペンを滑らせてしまい。 「お義父さんの体がほしい」 書き終わった直後「ああああ!」と頭をかきむしり、便箋を丸めてノールックでゴミ箱へ放った。 義父への思いを自覚したのは、母が亡くなって二年後、やや遅い精通を迎えてのこと。 そのときの自己嫌悪たるや、筆舌に尽くしたいものだったが、意固地になって認めないまいとすれば、余計にこじらせて家庭崩壊しかねないと思い「義父を恋愛対象、性愛の対象として見てしまうけど、成人するまでまっとうな家庭を維持したい!」と決意を明確に。 いっそ認めてしまって自分がどういしたいか目標を定めたほうが心は鎮まるよう。 おかげで非行に走ったり、義父に冷たく当たったりせず、割と平和に親子関係を築けていたのだが、すこし油断するとこうだ。 肩だしミニスカサンタの格好をした義父をつい想像してしまい「いかんいかん」と反応しそうになった息子を宥める。 落ちついたところで、メーカー品のスポーツシューズ、商品名と品番も書いて封筒にいれ「サンタによろしく」と義父に渡し、果たしてクリスマスの日。 【座薬をいれたい勇者と手伝おうとする賢者とお尻を触られたくない武闘家の一悶着】 魔王打倒を目指して勇者のパーティーが旅する道中でのこと。 強敵が出現して苦戦を強いられるも、武闘家の俺の必殺技でとどめをさして、なんとか相手を戦闘不能に。 息も絶え絶えな魔物に、まだ油断はならぬと身がまえて睨みつけていたら、血を吐きながら最期の言葉を。 「わしが死んでも、体内に巣くわせたそれが暴れまわり、お前を一生、屈辱にまみれさせ苦しみを与えるだろう・・・」 負け惜しみかと思いきや、相手が目を閉じて息を引きとったとたん、尻の奥に固く太いものが突っこまれる衝撃と圧迫感を覚え「っっっっうぅ!」と声にならない叫びを。 のけ反ってそのまま地面に倒れたなら、無意識に足を開げて、体のなかで暴れまわるそれに「はあぁ!くああっ、やめえ、やめろぉ、あ、ああっ、んあああっ!」と鳴かされて、集まってきた仲間の前で盛大に射精させられたもので。 それ以降、俺は宿屋の一室でひきこもり。 いつ何時、正体不明のそれが膨れあがって体内を荒しはじめて「や、やあっ、しょ、しょこお、らえええぇ!」と公開射精をするとも知れなかったから。 暗い部屋で布団をかぶって震えている間、まわりに怪しまれないよう仲間は原因究明を。 果たして三日後に賢者が部屋にきて「分かったぞ」と報告。 「あの魔物が死に際に、きみの体内に侵入させたのは極小の寄生魔物だ。 人間の精液を餌として、射精させては飲んで眠るを繰り返しているらしい。 眠るときは限界まで縮んで肉体に埋もれるから、排便しても共にでてくることはないようだ」 「寄生」と聞いて、あらためてぞっとしつつ「て、摘出、できないのか!?」と布団をかぶったまま喚けば「安心しろ」とかすかな笑み。 「とっくに薬が開発されているし、入手もしてきた。 ただ、口から飲むのでなく、これは下からいれて薬の中身を体内にまんべんなく擦りつけないと、寄生魔物には効かなくて・・・。 どうする?自分でやるなら、棒状のなにかを突っこまないといけないが、やりにくいだろうし。 人にやってもらうほうが擦りつけやすいし、いちばん効くのは・・・」 こちらは試し読みになります。 本編は電子書籍で販売中。 詳細を知れるブログのリンクは説明の下の方にあります。

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