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 相変わらずの頑固な昴に、ロキは肩をすくめてみせた。 「でも、また失敗するかもよ?」 「僕は、彼を心から愛してるんだ。今度こそ、この恋を成就させてみせる」  ほう、とロキは昴の顔を、まじまじと見た。  確か、一番最初に死んじゃった時は、こう言ってたっけ。 『僕には、ちょっと気になる人がいるんだ。もう少しだけ、彼に関わってみたいな』  こんな風に、本当は大好きなくせに、高すぎるプライドが邪魔をしていた。 (昴くんも、成長したというわけか)  この心意気なら、今度こそ想い人と結ばれるかもしれない。  親が勝手に決めた婚約者へ会いに行く途中で、事故に遭って死ぬ運命の、昴だ。  しかし、今の彼なら、その惨劇を回避できるかもしれない。 「じゃあ、私からの贈りものをあげるよ。何がいい?」 「……素直な心と、勇気を」  ロキは、この言葉にも驚かされた  今まで彼が望んだもの。  それは、さらなる美貌や、社交性。  気を引く言葉の語彙力や、艶っぽさ。  こういった、表面的な魅力ばかりだったというのに。 「しっかり、やりなよ。応援してるぞ」 「ありがとう」  昴は笑顔で、感謝の言葉を口にした。 (おや? これは私が授けなくても、すでに身についているのかもしれないな)  ロキも微笑み、片手を上げた。  たちまち、真っ白い室内が淡い水色の光に覆われていく。  そして昴は、その場から消えた。  ラストチャンスに賭け、柏 暁斗(かしわ あきと)と結ばれるために、リープした。 (素直な心と、勇気を……!)  そのことだけを胸に、光の渦に飛び込んでいった。

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