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第71話 日記と手紙 ④

『ルーカスへ』 何通も手紙をくれていたのに随分長い間、返事を出していなくて、ごめん。 こんなに長い間、手紙のやり取りをしていなかったのは、初めてだね。 本当はもっと早くに返事を書きたかったんだけど、なんて書いたらいいかわからなくて……。 僕、もうすぐオリバー家の次期城主、サイモンと結婚するって言っただろ? サイモンはかっこよくて、優しくて、乗馬や剣術もうまくて色々なことを知って、ルーカスみたいに口は悪くなくて、とっても丁寧なんだ。 だからサイモンはレオナルドと僕の、小さい頃からの憧れの人。 そんな憧れの人と結婚できるなんて、僕は本当に幸せだと思った。 だから親友のルーカスに結婚のことを教えたのに、返事は ー俺にはオリバーのどこがいいかわからないー だけだっただろ? 前から知ってはいたけど、ルーカスはなんて失礼なやつなんだ!お子様なんだ!って思ったよ。 もうルーカスなんて知らない!って、もう親友なんかじゃない!って。 親友じゃなくなったから返事を書かなかったのに、ルーカスから ーごめんー って書かれた手紙が届いて、これで仲直りできるかもって嬉しかったんだ。 僕だって本当はルーカスとの手紙のやりとり、すごく楽しかったし、毎日ルーカスからの手紙が届くのをずっと部屋の窓から見ていたんだ。 ルーカスのことを考えるとドキドキするし、手紙を書いている時はワクワクするし、今すぐに会いたくなる。 ルーカスに返事を書かなくなって気がついたんだ。  サイモンのことはレオナルドと同じ、素敵なお兄さんみたいで大好きだけど、僕はルーカスのことは、お兄ちゃんじゃなくてもっと違う大好きなんだって。 僕がずっと一緒にいたいのはルーカスだって。 だからね、僕、父様にサイモンとの結婚は辞めたいっていおうと思うんだ。 本当はルーカスと結婚したいけど、ルーカスは帝国の第二王子、僕みたいな人間とは結婚できない。 だったらこうして、ずっと文通をしていたいんだ。 ねぇルーカス。 また帝都の感謝祭の話教えてよ。 僕は春になったら珍しい花でしおりを作るよ。 今はまだ行けないけど、元気になったらルーカスに会いに行くね。 ルーカス、こんな僕だけど、これからもよろしくね。 大好きだよルーカス。 ーミカエルよりー  ルーカス様へのミカの気持ちが溢れていて、ミカの字が歪んでいるからか、僕の涙で字が歪んで見えるのかわからない。  ルーカス様への手紙の後に、こう綴られていた。 最愛なるレオナルド兄さん。 もし僕がこのままいなくなってしまっても、僕はずっとレオのそばにいるよ。 大好きだよレオ。 絶対絶対、サイモンと幸せになってね。 サイモン、レオと幸せになって。

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