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おじさんΩは初恋をさせられる
「ほんとう、先輩ってΩらしくないですよね」というガテン系の若い男が言う居酒屋の音の中でもぴしりと響く声だった
「こら、飲みすぎだろう。どんな教育受けてきたんだ」というβであるのが分かるオヤジが言うおそらく同い年位なのだろう
「えぇ、褒めてるんですよ。オメガなのに体格もよくて……凄いっす」と悪気なく続ける男に、なれているかのようにへらへらと受け答えをするΩであろうその人は、筋肉が整っている、抱かれる側というより、むしろ抱く側の顔と体だ。
βやαならすごくモテそうだった
俺は、少し揺らいでいるその人の目を見ながら、ぞくぞくとしたものを感じた——泣かせたいと本能的に思うこの感覚に吸い寄せられるように耳を澄ます
「すいません。今日は帰らせますんで、酔いすぎちゃったみたいで」というオヤジが若い男を連れて出ていく
取り残された、男はしばらくするとぽろぽろと泣き出す
「俺だって……俺だってオメガだもん、愛され……たかった」と言いながら酒をあおる男に足が行く
「お兄さん、飲みすぎですよ」というと俺の事をチラッと見て
「俺、おじさんだから、お兄さんじゃない」と指をさしながら言うと
「そうですね、素敵な人ですもんね」と言うとびっくりしたかのように俺を見る
「詐欺しても、俺の金はすっからかんだぞ、パチンコで5万刷っちまったからな」その顔にぞくぞくとした感情が抑えきれなくなる
あぁ、この人を甘く溶かしたらどんな顔をするんだろう……それに、もうヤダというまで泣かせたいと下心ありありな考えをしていると
「俺だって、誰かと付き合いたかった……可愛いって言われたかった」とどんどん声が小さくなっていく
「俺はかわいいと思いますよ」と素直な思いを伝えると、「詐欺師め~」と指をさされる
「詐欺師かどうか確かめてみます」と伝票を持って見せつけると、
「あいつら~、払わないでいったな薄情者め」と言いながら財布を出すとてもじゃないけど足りなさそうだ
「ここはご馳走しますよ、もう一軒付き合ってくれたら」というとわかりやすく笑顔になる
「そうか、そうしようかな」と言いルンルンな足取りで外に出るのを支えながら歩く
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起きると熱い、腹のところが特に飲みすぎたかと思うと、ぐつぐっとマグマのように熱い
「にゃんで、っやぁあ」と下を見ると誰もが振り返りそうなイケメンが俺の尻の穴に指を入れているではないか……
落ち着いた雰囲気の優しそうな顔をしている人畜無害そうな男が、なんで……
整理がつかない頭でいると、コリっとしこりを思いっきり押された
「なぁあああんで」といいながら何も出ないナニを見て驚いていると
「いつも、自分で後ろいじっていったんですね。えらいです」と頭を撫でられると自然と口がほころぶ、茶色い目に見られると捕まっててもいいかもと思わせるくらいきれいなドールのような目だった
そうじゃなくて、どうしてこうなったんだっけ?と弱い頭で考える
次の店に行くと聞いていたから、どこに行くのかと聞いたら、いいところがありますとあれよあれよと連れてこられ、上に両手でネクタイで縛られるすぐに解けるかと思ったが、ニッカポッカなので
「めんどくさいな」と言い服を切るか脱ぐかと言われ、切られたらたまったもんじゃないと半泣きになりながら脱ぐとまた縛られてたことを思い出す
「集中して」という声が聞こえたかともうとしこりを指で挟まれる
「っあ、なんでこんなことしゅるんだよ」
「そんなの、あなたが可愛かったからに決まっているじでしょう」と言われ乳首を舐められる
ふやかすように、陥没乳首を外に出そうと舌を入れて押したり吸ったりする
「おれ……今日はヒートじゃないっつん」
「えぇ、しらふでかわいいと思っているので安心してくださいね」とにこやかな顔を向けてくる
「それに、汚い。仕事からもどってきて体洗ってない」
「何言ってるんですか、このオス臭いに、甘い香りが混じっているのがいいんじゃないですか。本当に周りの人は見る目がないですよね……こんなにもおいしそうなのに」と言いながら脇を下から上に舐めていく
俺の目を見ながら、そらそうとすると
「ダメですよちゃんと見て、誰に犯されるのかを……」と恥ずかしことばに涙ぐむとぺろりと舐められる
「本当にかわいいですね」と聞きたかった言葉を言われて、赦しそうになるが、
「ぬけっって」とベッドの上に力を抜けた足で、ズルズルと蹴るようにいくと、
「ダメですよ、まだ俺と繋がってないんですから」と引き戻される見た目と裏腹に力があるようだった
「ヤダ、もうやぁ」とパニックで年甲斐もない言葉を発している自分に気持ち悪さを感じながらいると
「もう、だいぶ柔らかくなったから大丈夫でしょう」
「大丈夫じゃない、まったくもって大丈夫じゃにゃい」と言い逃れようとすると
「あんまり、逃げるとお仕置きしますよ」と言われて、年下であろうこの男に俺は、なぜか
「ヒュッ」と言葉にならない音をだす。マジでやりかねない顔をしていたからだ怖い
あと、そそり立っているぶつがデカすぎる
「そんなのはいらない、裂ける」ととろけかかっていた頭が酔いも覚める勢いで覚醒する
本気の抵抗を試みるが、それも組み敷かれて無理だった、俺の力ならネクタイくらいと思ったが特殊な結び方をされているみたいで抜けない
「大丈夫ですよ、そのために一時間も溶かしていたんですから、起きないのに体がビックビックして可愛かったですよ」とキスをされる
あぁ、俺のファーストキスだったのに……もっとロマンチックにするはずだったのに
思わず泣いていると
「どうしたんです?嫌だった本気で」とと言ってくる男に思わず
「ファーストキスだったのに……」というと、ぞくぞくとした顔で、
「うれしい」と舌を入れてくる深いキスを俺にしてきた。だから俺は初めてだって言ってんだろうがと怒っていたが、あまりにもうまいキスでそれもどうでもよくなる。でも同時にうますぎて情けなくなる
そんな会話で気持ちが緩んでいるところに、ぬっーと入ってくる温かいものが、だから勝手に入れんなっと抗議しようとしたが
「気持ちいですね」と緩やかにトントンとあやすかのように動かされるので、不思議と違和感や痛みはない
それがまずかった
「っつツン、やっあ……」と野太い声を聞こえないように声を唇で噛んで抑えているとそれが気に食わなかったのか
しこりを押しつぶされるように動かされる
「なぁあ、あっあ、やめ……」
「気持ちいいって言ってみて、そしたらもっと気持ちよくなれますから」と耳元でささやいてくる男に、うんと思わず頷きそうになるのを
横に頭を振る
「声、きたにゃいから……やめえろ」と流されないぞとという目で見ると、
「大丈夫、そんなの気にならないくらい、気持ちよくなりましょうね」と言われ話が通じない
それに、俺の息子はこんなにもひどい目にあっているのに半立ちで起き上がってないのを見ていると
「あぁ、アルコールで立たないんですね。結構飲んでいたみたいですから」といつから見てたと思い不気味さを感じていると
「大丈夫です、前からイけなくても、ここでイけますから」としこりを刺激してくる
「もう、よさそうですね、馴染んできたみたいですし」奥にさらに入ってこようとする男に俺は、
「なんで、もうはいらにゃい」と抗議すると
「えぇ、でもまだ半分しか入ってないですよ」と当たり前のように言ってくる
「そんなぁ……」
奥に奥に招き入れるかのように、俺の体は喜ぶ
「入った」という声が聞こえる頃には、頭がもうろうとしださないで何回も甘いイきしていた
それを、見越しているかのように揺さぶられる
「っああああ」とぐっぽんと音が耳に聞こえたかともたら、声にならない声を出すことになっていった
「結腸抜けましたねえ、よくここまで入れてくれました」と優しい声を出しながら、俺の腹を押してくるこいつは絶対鬼畜だ
「やぁぁあ……」と遠くに聞こえるとてもじゃないがかわいい声でもない俺に生理的な涙が伝う
目元にキスをされながら、「結婚しましょう」という不気味な言葉と一緒に意識が途絶える
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意識を失った、名前も知らない可愛いΩを見ながら、いい拾い物をしたとほくそ笑む
久しぶりに元気に立った俺に、EDで苦しんでいたのも嘘だったかのように……
もう離さない、俺だけのオメガにするためにどうやって落とそうかと考える。
頭の中で幾重にもシミュレーションをしてしている自分に本気だと気づく
初めてを奪った俺は責任取らないといけないよな——俺だけのΩですから、まず名前を聞きださないと……
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