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★第10話-1 行きたかったな

他でもない春からの連絡に、秋の心臓は一気に飛び跳ねた。 恐る恐るトーク画面を開く秋。 「昼間ごめんね 感じ悪かったよね 謝りたくて連絡した」 秋はそれを見て、咄嗟に返事を返す。 「全然!俺も疲れてるだろうに色々話かけてごめん!本当に気にしないで」 そう送ってしばらく、秋は春とのトーク画面を凝視していた。 メッセージはすぐに既読になり、だが5分ほど経っても返事はない。 これで終わり・・か・・と思っていたその時、追加でメッセージが。 うお!と秋は誰もいない自室でまた声を上げた。 「ごめんね」 既読がついてから5分以上経って、”ごめんね”だけ・・・!?
と、秋はその意味をどうしても深読みしてしまう。 もしかして色々と考えて打ち込んだけど、結局迷って消して、
ごめんとだけ送ってきたのかな。 秋は春がそんなふうに、
自分なんかに申し訳なく思っている状態であるのが居た堪れず、
俺は大丈夫とちゃんと伝えたい、との一心で、
思い切って通話ボタンを押した。 だが、何コール繰り返しても春は出ない。 諦めて電話を切り、冷静になり、
秋はしまった、と思った。

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