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第15話-3 「1人では行かないでね」
そして今日の行動を思い返し、ハッとする。
「そうだ、向井さんと話した時にテーブルに携帯を置いたんだ。それでそのまま…」
携帯がないと、春に連絡ができない。
秋は急いでテレビ局へ戻った。
必死で携帯を探しまわるもやはり見つからない。
思っていたテーブルにも何もない。
先ほどの会議室に向かうも、
すでに人はもうおらず、秋は途方に暮れる。
もしかしたら収録が終わった春に会えるかも、とテレビ局をうろうろするも会えず。
もう終わって連絡つかなくて困ってるかも、家にとりあえず帰ろう、と一度自宅に戻るも、春の姿はない。
仕方なく、秋は料理の下拵えをして、
大人しく家で待つことにした。
しかし、そこから2時間ほど経っても春は現れなかった。
どうしよう、と秋は1人でに呟いた。
やっぱり、と改めてテレビ局へもう一度向かう秋。
ダメ元で、受付の人に「壱川春くんいますか」と聞くけど、そう言うのは答えられません、とピシャリと返答されてしまう。
いやそりゃそうだよな…とトボトボ家についたその瞬間、秋!と声がして振り返る。
そうすると、そこにはハアハアと息を切らす春がいた。
随分急いで走ってきたようだった。
ごめん!俺携帯無くしてさ、さっきまで家いたんだけどもしかしたら春連絡出来なくて困ってるかと思って、それでまたテレビ局行って… と、早口で説明する秋だが、あれ?と春の手元に秋の携帯が握られていることに気がついた。
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