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できそこないの勇者
「い~や~だ~、行きたくない!!」
今俺たちは揉めている、魔王を倒しにいくかどうかで揉めている。俺の名前はリノ、短い黒髪に黒い瞳でできそこないの勇者っていわれていた。もちろん男だ。
「僕に対して何を言ってるのさ リノ」
こいつは魔法使いのマーレ、女の子で赤い髪に茶色い瞳をしている。こいつは魔王打倒推進派だ。魔王を積極的に倒すべきだと言っている。
「私には行くべきだと思います、リノ」
こいつは神官のメモワール、女の子で銀色の髪に青い瞳をしている。神官なのでもちろん魔王は倒すべきだと考えている。
「でもさ、魔王は平和主義者だって聞いてるだろ。そんな奴を倒す必要ないだろ」
「僕にとって魔王は魔王だ、平和主義者なら別だけど倒しておくべき」
「私は魔王が平和主義者なんて信じられませんわ」
「それじゃ行ってみて魔王が平和主義者だったら手は出さないってことで」
「魔王が平和主義者なんて僕は信じられないよ」
「私もです、魔王が平和主義者なんてきっと嘘ですわ」
というわけで俺たちは魔王の城に辿り着いた、途中で魔物は倒したが、魔族には手を出さなかった。そうして城の入り口で、勇者と魔法使いと神官ですと言ったら、あっさりと魔王に会うことができるみたいだった。途中で四天王が出てくるとかいうこともなかった、ここまで言ったら分かると思うが俺は元日本人だ、前世でも男で三十歳くらいで死んだような気がする。まさか異世界転生するとは思わなかった、日本人としては平和的に魔王と会っても戦いたくないものだ。
「俺がリノ、勇者だが……」
「私と結婚しまりょう、リノさん!!」
「え、えっとその白い髪に金色の瞳。あんたが魔王シャイン・サタナーだよな」
「はい、そうです。リノさん、私と結婚しましょう!!」
「えっ、いや、断る。ごめん」
「そうですか、やっと番を見つけたと思ったのに」
「いや俺たちあんたが平和主義者かどうか確認にきたんだ」
「私は平和主義者ですよ、執務室へどうぞ」
そうして俺たちは執務室で色んな国との平和条約書をみせられた、カートン国、ヘスティア国、大国のグライフェン国もあった。俺たちのいたロキュシオン国とはまだ平和条約を結べていないようだった。
「ロキュシオン国にも平和条約を結ぼうと呼びかけてはいるんですが、どうもあちらは戦争がしたいみたいで」
「嘘よ、僕の国がそんなことするわけない!!」
「私も嘘だと思います、戦争などしたがっていないはずです」
マーレとメモワールかは魔王の言うことを否定し、でも俺は勇者に魔王を殺させようというロキュシオン国なら戦争もしそうだと思った。
「マーレ、メモワール。魔王が平和主義者だってことは分かったろ、戦いはなしだ。帰るぞ」
「魔王が平和主義者なのは分かった、僕も帰る」
「確かに魔王は平和主義者のようでうね、私も帰ります」
「帰られるのでしたら、平和条約書を持って行って貰えませんか?」
こうして俺たちの旅は平和的に終った、俺たち三人はロキュシオン国に帰って上層部にサタナー国つまり魔王国との平和条約書を渡した。そうしたら国王陛下がその紙を破り捨ててしまった。
「平和主義者の魔王なんて信じられん、今からでも遅くない魔王を倒してくるのだ」
「それでは俺はその任から外させて貰います、できそこないの勇者ですので」
俺はできそこないの勇者なのだ、本来なら勇者が操れるはずの武器と鎧を使えない。だから俺はできそこないなのだ。国王陛下は俺を魔王討伐の任務から外してくれた、俺はホッとして宿屋に入って寝ることにした。嫌な仕事から解放されてその晩はぐっすりと眠れた。だが翌日になると。
「なんでお前がここにいるんだよ、シャイン」
「それはもちろんリノさんに求婚をしに来ました」
何故か魔王が俺のところにきていた、何故かじゃなかった求婚をしに来たと言う。俺はめまいを起こして倒れそうになった、でもそうしてみても現実は変わらない。俺はシャインを部屋に連れこんで聞いた。
「どうして俺に惚れた!?」
「一目惚れです、この美しい黒い髪に黒い瞳。一目見ただけで気に入りました」
「それじゃ、失恋して帰れ」
「嫌です、帰りません。城のことは側近に任せています、私はリノさんが手に入るまで口説きます」
俺は身長が百七十センチくらいしかないが、こいつは百九十センチくらいありそうだった。そんなデカい男に言い寄られても嬉しくない、俺は女が好きなんだから。でもそう言ったらこいつは怖いことを言いだした。
「それでは人類の女性がいなくなれば、私にも好きになって貰える可能性がありますか?」
「…………お前、平和主義者じゃなかったのかよ」
「惚れた相手を手に入れる為なら、私は何だってしますよ」
「とりあえず人類の女性を消すのは止めとけ、それをやったら嫌いになる」
「そうですか、では止めておきます。リノ、私とデートでもしませんか?」
「そんなことしてる暇ねぇよ、ただの冒険者に戻ったから俺は稼がんといかんのだ」
俺はそう言ってシャインを振り切ると冒険者ギルドに仕事を貰いにいった。リトルドラゴンの討伐依頼があったので受けた。そうしたら森の中にシャインがいて、リトルドラゴンを整列させていた。
「おいおい、これはどういうことだ?」
「私これでも魔王なので、魔物を操るなんて簡単です。リトルドラゴンと言っても、本当はドラゴンに似たトカゲですからね。それではどうぞ」
「一直線にリトルドラゴンの首を並べられてもな、可哀そうだろ!! せめて戦わせてやれよ!!」
「でもそれでリノが傷ついたりしたら嫌ですし」
「リトルドラゴンくらいで怪我はしねぇよ!!」
「そうですか、それではお前たちに戦う機会を与えましょう」
シャインがそう言った瞬間にリトルドラゴンたちが一斉にこっちにかかってきた、ドラゴンに似てるが所詮トカゲ、空が飛べるだけのトカゲで火も吹かない。だから俺は余裕をもって全て倒すことができた。そうして冒険者ギルドで証拠に角を切り取って持っていったのだが、問題なく換金でき。できたのだがシャインがまたくっついてきていた、そうして酒場で酒を飲みながら彼は指を絡めようとしてくるし、油断するとキスをしようとするしで酒場の端っこで飲むしかなかった。俺は夕食を食べながら聞いた。
「お前、いつまで俺の傍にいる気だ?」
「リノが私の求婚に応えてくれるまでです」
「それは断るって言っただろ!!」
「大丈夫です、私は我慢強いので」
「はぁ、魔法使いのマーレや、神官のメモワールがお前を退治する気でいるぞ」
「たかが魔法使いや神官に負けません、勇者がいれば別ですが」
「やっぱり魔王にとって勇者って怖いの?」
「彼らは時に信じられない奇跡を起こしますからね、油断ができない相手です」
ふーん、俺のようなできそこないの勇者には分からないが、魔王にとってそれなりに勇者は怖い存在らしい。だったら俺のことも怖がってくれていいんだが、この魔王様、相変わらず手を握ろうとしたり、キスしようとしてくる。俺は相手をするのも馬鹿馬鹿しくなって、宿屋の部屋に戻って一人で寝た。そう一人で寝たはずなのに、起きたらシャインの腕の中にいた。シャインはぐっすり眠っていた、寝込みを襲われたらどうするんだと言いたい。しばらくするとシャインも起きてリノと抱きついてきた、だからひっぺがして。そして俺は運動をはじめた。
「……九十八回、九十九回、百回っと」
「リノの美しい体はそうやってできてるんですねぇ」
「たかが腕立て伏せだぞ、右手はやったから次は左手」
「いいです、リノの逞しい筋肉が動いてとても綺麗です」
「お前、本当に俺を口説くまでここにいる気か?」
「もちろんです、リノのことがとても愛おしいのです」
「ああ、そう。一回、二回、三回……」
「リノのかいている汗を舐めたいくらいです」
そんな妙なことを言われると思わず左手から力が抜けそうになり、でも歯を食いしばって耐えて俺は腕立て伏せをやりぬいた。その後は走る訓練、もちろんシャインの奴もついてきた。俺はトップスピードで奴を置いてきぼりにしてやった。そうして街を五周ほど回って帰るとシャインは優雅に紅茶を飲んでいた、おまけに綺麗な女までつれてやがった。
「……以上が現在の経済状況です、魔王様どうか城にお戻りください」
おお、俺は思わずもっと言ってやってとその女悪魔に向かって思った。でもシャインは俺に向けたことのないゾッとするような冷たい声色で言った。
「帰れ、ルルカ」
「は、はい!! 出過ぎた真似を申しました!! 申し訳ございません!!」
そう言うと女悪魔は姿を消した、可哀そうに汗びっしょりになっていた、ピンク色の髪と瞳をした女悪魔だった。俺は可哀そうにと思いながら宿屋の中で腹筋運動をやりはじめた。すると呼んでもいないのにシャインが来て俺のことを見ていた。
「リノの汗を舐めてもいい?」
「駄目だ、絶対に駄目だ!!」
「どうして?」
「お前は変態か!!」
「ああもう、食べちゃいたいくらいリノが好きだ」
「ここは俺の宿屋の部屋だ、勝手に入ってくんな」
俺はトレーニングが一通り終わるとこれから水を浴びるわけだし、ちょっとヌいておいた。そうしたら精液の匂いをかぎつけたのか、シャインが物凄い勢いで迫ってきた。
「リノ、ヌいてたでしょ」
「そうだけど」
「どうして私に言ってくれないの、そうしたらフェラチオしたのに!!」
「そんなことしなくていい!!」
「リノの精液が飲みたい、お願いリノ。フェラチオさせて」
「い~や~だ~」
俺は宿屋の裏で水浴びをした、魔法で水を出してザバザバ浴びた。シャインはそれも不満なようだった、奴はこう言った。
「魔王城に来ればお風呂もあるのに、こんなところでリノの裸を見せるなんて勿体ない」
「悪いが俺はこんな生活でな、風呂に入るのは数か月に一度だ」
「水浴びをしたからリノの匂いが薄くなってる」
「そう言って抱き着くな、おい!!」
「抱き着くくらいいいじゃない」
「俺は嫌だ」
そんなことをやっていたら警備隊がやってきた、そしてシャインを捕まえると言う。警備隊が捕まえるということは何かしでかしたのだ。
「こいつ何をしたんです?」
「よく分からんが、こいつに絡んだ若者が全員気絶した。その若者たちから彼のせいだと訴えがでている」
「そいつらは私に金をだせと言ってきたんだ、いわば強盗だな」
「ああ、そりゃ相手が悪いな」
「本当かね、皆が善良そうな若者だったが、強盗などしたのかね」
「こちらが何もしていないのに金を出せということは強盗だろう」
それでシャインは一旦は捕まったが、すぐに牢からだされた。確かにその若者たちは強盗をやっていて、以前の被害者が見つかったのだ。おかげでシャインは無罪放免となりまた俺にくっついていた。よくもまぁ飽きないものである。その夜も俺は宿屋で一人で寝たが、朝起きるとシャインの腕の中だった。
「勝手に俺の部屋に入るな!!」
「いや私の部屋だ」
「はぁ!?」
「宿屋の女将に言ったら私の部屋に変更してくれた。はい、これがリノが支払った硬貨だ」
「一体いくら積んだんだ?」
「女将は一晩で金貨一枚払うといったら、私の部屋に変更してくれた」
そりゃそうだろう、金貨が二十枚あれば平民なら一年慎ましく暮らせるのだ。そりゃ女将も金の誘惑に逆らえないのも無理はなかった。俺は宿屋を変えることも考えたが、そこでも同じことが起きるのは明白だった。だからおれは自棄を起こした。
「シャイン、俺を魔王城に連れてけ。三食昼寝付きの生活をさせろ」
「いいけれど、私への対価は?」
「フェラチオさせてやってもいい」
「行こう、すぐ行こう。リノの気が変わらないうちに行こう」
こうして俺は魔王城に行くことになり、そうすればそのうちどこかの悪魔が俺を追い出してくれるだろう。俺は荷物をまとめて魔法城に着いた、『|転移《テレポーテーション》』であっという間の出来事だった。そうして魔王城で暮らすことになった俺だがなかなか快適な暮らしで。最初は人間ということで警戒されたが、害がないと分かると放っておかれた。本当に三食昼寝付きの暮らしになった。
「リノ、精液を飲んでいいかい?」
「えっと、いいけど本当に飲むのか」
「約束しただろう、早く飲ませて欲しい」
「分かった、ほらっ」
俺はベッドに座ってズボンの前をあけて下着からものをだした、そうしたらシャインが丁寧に舐め始めた。男とはいえ舌の感触は女とそう変わらない、ほどなく射精した俺の精液をシャインはうっとりと美味しそうに飲んでいた。そして足りないとばかりに何度も何度も精液を搾り取られた。
「びっくりするほど甘い、極上の精液だ」
「お前ら魔族の感覚っておかしいんじゃねぇの」
「私はインキュバスだから、余計に美味しいのかもしれないな」
「インキュバスなのかよ、お前!?」
インキュバスっていうのは男の淫魔だ、女の淫魔はサキュバスという。どうりで精液に関する感覚が違うわけだ。さて三食昼寝付きの生活だったが、俺はトレーニングはサボらなかった。それに時々魔物を退治して魔石を頂いた。シャインが俺に飽きたら、街でそれらを売るつもりだった。でもシャインは一向に俺に飽きる気配がなかった、つきあってみるとシャインは本当に平和主義者で俺に優しかった。俺に触れられる度に嬉しそうにしていた。俺もシャインの傍が居心地の良いと思い始めていた。そんなふうに毎日を平和に過ごしていたら、勇者一行が魔王の謁見の間に現れた。
「あたしの名前はブレイク、覚悟しな魔王!!」
「平和的に話し合いで解決できないか?」
「あたしが欲しいのはあんたの首だけさ、『踊れバイラリーナ』」
「確かに勇者のようだな」
ブレイクという女性は『バイラリーナ』という武器を持っていた。剣と鎧がセットになっていて、『踊れ』という言葉でシャインの肉を切り刻もうとしたが避けられた。他にもマーレやメモワールも来ていた、俺はいざという時のために様子を見ていた。
「『踊れバイラリーナ』」
「『|抱かれよ《エンブレイス》|煉獄《ヘル》|の熱界雷《ライトニング》』」
「『|完全なる《パーフェクト》|聖なる守り《ホーリーグラウンド》』」
ブレイクの『バイラリーナ』という武器がシャインの肉を切り刻もうとし、マーレの雷が彼の体を焼こうとした。メモワールはそんな攻撃の余波から自分たちを守っていた。攻防一体の技をシャイなンは上手く避けていたが、ついに勇者ブレイクの攻撃がシャインの足を捕らえた、彼は左足をズタズタにされた。
「恐ろしい魔王め、死ぬがいい。『踊れバイラリーナ』」
「死ぬのは困る、まだリノの処女をもらっていない。『|転移《テレポーテーション》』!!」
シャインは『|転移《テレポーテーション》』でどこかに姿を消したがすぐに戻ってくるだろう、それに怒った彼女たちは魔王城を荒らし始めた。どっちが勇者なんだという行動だった、悪魔の子どもを殺そうとしたので俺がそれを止めさせた。
「魔王を退治するのはともかく、魔王城を荒らすのは違うんじゃねぇの?」
「なんだできそこないの勇者か、あたしブレイクは本物の勇者だ」
「僕のブレイク様に逆らわないでよ、リノ」
「悪魔は消し去る存在なのですよ、リノ」
俺ははっきり言ってむかついていた、シャインが傷つけられたことといい、悪魔の子どもを殺そうとしたことといい、こいつらにむかついていた。だから俺はもう一度だけ聞いた。
「人間と悪魔が手を取りあって生きる方法は無いのか?」
「勇者の名にかけて、そんな方法はない!!」
「悪魔なんて僕にとっては汚らわしいだけ!!」
「そう存在してはいけないのが悪魔なのです!!」
そうかこいつらの考えは分かった、俺はどちらかというと平和主義だ。だからシャインのことも拒否しきれないでいた。でもこいつらは違う、悪魔城を荒らす人間という名の悪魔だった。だから俺はわざとできそこないの勇者だった技を使った。向こうの勇者も反射的に技を繰り出した。
「『歌えアーデイン』」
「『踊れバイラリーナ』」
お互いの体を包む鎧と剣が現れた、だが俺の剣は一本ではなかった十二本あった。だから一本が軽く『バイラリーナ』の剣を弾き飛ばした。残りの十一本の剣はブレイクやマーレ、それにメモワールの体に突き刺さった。
「や、止めて」
「リノ、助けて」
「神よ」
俺はできそこないの勇者だった、手加減というものをできなかった。だから俺の『アーデイン』は三人をバラバラに切り刻んだ。その時、シャインが戻ってきた。五分も経っていない、あっという間の出来事だった。
「勇者たちはどこにいったのだ、リノ?」
「俺が殺した、バラバラになって転がってるよ」
「リノが?」
「『彼らは時に信じられない奇跡を起こす』だろ」
そうして俺がその場を立ち去ろうをした時、シャインは俺を抱きしめて言った。愛おしそうに俺に頬ずりしてこう言ったんだ。
「魔王城の危機を救ってくれてありがとう、リノ」
「……俺が怖くないのか?」
「リノに嫌われるのは怖いぞ」
「ははっ、お前ってどこまでもしつこい奴」
俺はシャインに抱きついて泣いた、初めてこの勇者の技を出した時、俺は両親を切り刻んでしまった。それからは絶対に使わないようにして生きてきた、でもこの技を使って礼を言われたのが嬉しくて思わず泣いてしまった。
「リノ、私はリノが抱きたい」
「切り刻まれたいなら、どうぞ」
「ああ、気持ち良くなかったら切り刻んでくれてもいい」
「ははっ、お前って命知らずだな」
そうしてシャインは周囲の者に片付けるように指示を出して、俺を連れて寝室に入った。こいつは本当に俺を抱く気らしかった。
「腸内洗浄とかしてねぇぞ、俺は」
「魔法でする、少しお腹をかきまわすぞ」
「うわぁ、トイレ行きたくなった」
「トイレにいってついでに風呂に入るといい」
俺はトイレに行った後、風呂に入った。ちゃんと体を洗ってから入る風呂は久しぶりで気持ち良かった。シャインもちゃっかり一緒に入ってきた、そうして俺の頬にキスをした。手や胸にもキスをして口は一番最後。舌を絡めるようなキスで上手かった。
「シャイン、お前は絶対俺が初めてじゃねぇだろ」
「昔は何人か女悪魔の相手をした」
「どうりで上手いわけだ」
「実は子どもがいる」
「マジかよ、今度会わせろよな」
「ああ、分かった。分かったから、抱かせて欲しい。リノ」
寝室に移動するとシャインは俺の体にむしゃぶりついてきた、キスしてキスしてそれから後孔をいじった。俺も男に抱かれるのは初めてだったから心配だった。上手くできるかなと思ったし、心配でシャインに抱き着いた。シャインは丁寧に後孔をほぐしていった、その間にキスや乳首を舐めたりした。俺は人との性交は初めてだったからシャインに任せた。やげてシャインは俺を見つめながら自分のものを挿入してきた。
「うっ、うわっ、裂ける」
「大丈夫だ、体の力を抜いてくれ」
「うん、入ったけどなんだか不思議な感じ」
「リノ、好きだ。大好きだ、愛してる」
シャインにそう言われると体の力が緩んだ、それに合わせてシャインが腰を振り始めた。お腹の中のある部分をこすられると気持ちが良かった。体がビクンとしてシャインにしがみついた。
「あっ、ああっ!! なんか変な感じ、ああっ!! ああっ!!」
「それを気持ち良いというのだ、リノ」
シャインの愛し方は丁寧だった、これでもかってくらいキスをされたし、お腹の中の気持ち良いところばかりこすってくれた。だからへんな声が出てしまった、シャインにしがみつきながら俺はいった。
「やぁ、あっ、あっ、そこ気持ち良い、気持ち良い。あっ、あぁ――――――!!」
「私も気持ちが良い、中に出すぞ。リノ」
俺が射精するとシャインはいつものようにフェラチオをしてくれた、美味しくて堪らないとばかりに性器や腹の上を舐めまわされた。それからシャインは何度も何度も俺を抱いた、いく前に手でとめられてシャインの口の中にはいるまで射精させて貰えなかった。
「やぁ、シャイン。いかせて、いかせてよ!! いかせて、やぁ!?」
「私の口の中にいれるまでまってくれ、ほらっ、もういい。うっ、リノの精液はご馳走だ」
それからシャインに何度も抱かれて、俺の精液はシャインが全部飲み込んだ。シャインの精液は俺の腹の中にぶちまけられた。風呂場で後始末をしている時にダラダラ零れてきて困った、シャインが長い指を入れてかきだしてくれたがそこで気持ち良くなってもう一回ヤった。それからの俺たちは何も変わっていない、そう言えばシャインの子どもに会わせてもらった。ラピスと言って白い髪に金色の瞳のシャインにそっくりな十歳くらいの男の子だった、俺はラピスからも頬にキスされて。
「僕のお嫁さんになって」
と言われた、シャインが物凄い勢いでラピスを叱っていた。そんなことがあったが、俺は魔王城で楽しく暮らしている。時々はシャインと思いっきりSEXして気持ち良くなったりする。この幸せを壊す奴は誰だって許さないと思った。今日も俺はトレーニングをして汗を流した後、執務室にいるシャインの傍の長椅子でごろごろしていた。俺はできそこないの勇者だ、それでいいんだと今は思っている。
END
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