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情交②

 エミーユは目を見開いて、目線で拒絶する。しかし、マリウスの指の動きに合わせて、背中がひくひくとくねる。  エミーユの体はマリウスを求めていた。そして心の奥深いところでもまた、マリウスを求めていた。  エミーユの目からも口からも抵抗は失せていた。  エミーユは完全に降伏した。 「マリウス……!」  目はうっとりとマリウスを見つめて、マリウス以外のものは何も見えていないかのように目線をマリウスに貼り付けた。  マリウスをねぶるように見て、マリウスを求めてかきついてきた。 「マリウス………!」 「やっとその名で呼んでくれた……!」  マリウスは発情に揺らいだ意識のなかで、自分の名を呼んでくれたことに歓喜に打ち震えた。  エミーユは熱のこもる目でマリウスを見返してくる。愛おしみにあふれた目つきだった。 「マリウス………、会いたかった……ずっとずっと会いたかった……!」  エミーユは再会をやっと認めた。 「あ、はあっ……会いたかったんだ……!」  発情に酩酊しながらも、とりつくろわない想いがエミーユからこぼれはじめた。たがが外れたように、内心を紡ぎ始める。 「マリウス……、可愛いマリウス……。甘えん坊の可愛いマリウス……、やっと会えた……」  エミーユは涙を浮かべてマリウスを見上げてきた。 「エミーユ………!」 「マリウス、私のマリウス………」  マリウスは抱き着いてきたエミーユを抱きしめ返した。  もう一度唇を塞げば、エミーユはマリウスの両頬を両手のひらで包み、自分から舌をはわせてきた。エミーユの舌がマリウスの舌に絡んでくる。 「エミーユ、あなたを俺のものにしていい?」  マリウスがそう訊くとエミーユはうなづいた。マリウスは恐ろしい精神力で最後の関門を前に留まっていた。 「私はあなたのものだ……。私もあなたが欲しい……。あなたを私のものにしたい」  マリウスは高ぶる陰茎をすぼまりに当てた。そして、押し込んだ。それはエミーユの奥へと飲み込まれていく。  歓喜の顔で、エミーユは分け入るものを受け止める。  エミーユの中はマリウスに絡みつき、蠕動をはじめ、マリウスのものはまるで吸い込まれるようだった。  奥の奥まで届いたところで、マリウスはとんと突いた。 「あぁっ……」  エミーユの両腕はマリウスの首にしがみつき、両足は背中に絡まっている。  エミーユはマリウスが数回往復しただけで、果てた。 「んんっ、んん―――ッ」  マリウスは無我夢中でエミーユを突いた。  マリウスの達するのと同時に、エミーユはひときわ甲高い声を上げて喘いだ、そして、弛緩してシーツに背中を預ける。  ベッドに沈み込み、肩で息をして、絶頂の余韻に体を震わせる。  余韻に浸るまもなく、マリウスのものは再びもたげていた。  獣人と妖人との情交が、一度だけで済むはずもない。  マリウスがエミーユの胸を撫でれば、それだけで、エミーユは声を上げた。 「あ、ひぁっ、ああっ――」  快楽に背中を揺らし始める。  エミーユは艶のある目でマリウスにすがりついてきた。その両手をマリウスの首に回し、自分からマリウスの唇を求める。  マリウスに必死でしがみつくエミーユの巻き毛が揺れる。エミーユにはもうマリウスしか見えていなかった。 「ひあっ、マリウス……、あああ―――っ」

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