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第1話
月光が古城のアトリエを銀色に染める。
平民画家の悠真は、キャンバスを前に緊張していた。
目の前に立つのは、呪われた王子・怜司。
黒髪に銀の光沢、灰色の瞳は「氷の呪い」で冷たく輝く。
深紅のマントが揺れ、まるで夜の王だ。
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「悠真、俺を見て」
怜司の声は低く、優しい。
悠真の琥珀色の瞳が揺れる。
左手首の赤い糸のブレスレットが、月光でキラリと光った。
「殿下…僕、緊張して…」
悠真は絵の具だらけのチュニックを握り、頬を赤く染める。
怜司の肖像画を描く任務。
でも、その瞳に隠された秘密が気になる。
氷の呪い…殿下の心、凍ってる?
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怜司が近づく。
「君の絵は、俺の心を見抜く」
怜司の手がキャンバスに伸び、悠真の指に触れた。
冷たい、なのに熱い電流が走る。
「っ、殿下…!」
悠真が後ずさると、絵の具が床に落ちる。
「危ない」
怜司が悠真の手首を掴み、壁に押し付ける。
――壁ドン。
赤い糸がキラキラ輝く。
まるで運命の魔法。
「悠真、君は俺の光だ」
怜司の瞳が、初めて温かく揺れる。
「え、うそ…心臓、止まる…!」
悠真は真っ赤になり、怜司がそっと額に唇を寄せる。
額キス。
赤い糸が強く光り、怜司の指先の氷の結晶が溶ける。
カチリと音が響いた。
呪いが、揺らいでいる――。
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「殿下!」
扉が勢いよく開く。
青いマントの騎士・涼が、剣を握って現れる。
明るい茶髪、鋭い目が悠真を射抜いた。
「平民ごときが…殿下を惑わすな!」
涼が剣を悠真に向ける。
「殿下は俺のものだ。渡さない!」
その声には、恋心が滲んでいた。
剣の柄に刻まれた怜司の家紋が、月光で光る。
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「涼、剣を収めろ」
怜司が悠真を庇う。
赤い糸が二人の間で輝いた。
「悠真は俺の運命だ。君は騎士、だが彼は俺の光」
怜司の声は静かで、揺るがない。
涼の目が揺れる。
「殿下…俺の誓いは…!」
剣を握り、涼が叫ぶ。
「俺は殿下の全てを守ると誓った! 心も、命も!」
その声は切ない。
――ふじょっしーの心を掴む、恋の痛み。
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悠真は震えながら一歩進む。
「僕も…殿下を大切に思う!」
赤い糸が眩しく光った。
キャンバスに怜司の肖像が浮かぶ。
「心を映す魔法」が宿り、怜司の凍った心が溶ける。
氷の結晶が砕け、アトリエに温もりが満ちる。
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祭りの夜。
城の広場で、悠真の絵が公開される。
怜司の肖像は、呪いのない温かな瞳を映していた。
群衆がざわめく。
怜司が悠真の手を取り、皆の前で抱きしめる。
「君だけ愛してる。俺の光」
赤い糸が月光に輝いた。
――ふじょっしー悶絶の瞬間!
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涼は遠くで剣を握る。
「殿下…俺の誓いは変わらない」
切なげな瞳に、怜司×涼のif展開がチラリ。
だが、怜司と悠真の赤い糸は、運命を越えて輝き続ける。
⸻
(完)
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