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第6話 先輩の☓☓現場に遭遇(side修平)
保先輩は、いつも休みの時限があればサークル部屋ですうすうと寝ていた。
本気で将棋が好きな奴は、大抵パソコン室にこもってオンライン対局しているから、ここは保先輩みたいな数合わせの人間が顔を出すほうが多かった。
保先輩は深夜までバイトをしているらしく、そのバイト先も大学の直ぐ傍だから、シフトの入り時間までこうして睡眠時間を確保しているらしい。
柔道部は結構遅くまでやっているので、保先輩がいる時間はちょくちょく顔を出し、いない時やバイトに入った時は部活のほうに精を出していた。
最初は保先輩の寝顔を見ているだけで幸せで、一緒にいられるだけで良かった。
それが、いつからだろう?
女に抱くような、邪な気持ちが胸に広がっていったのは。
気付くのも、保先輩から離れるのも、遅すぎた。
触れたい、独り占めしたい、キスしたい。
そんな欲が膨れ上がって、俺はダメモトで保先輩を遊び に誘った。
「保先輩、映画とか一緒に見に行きません?」
「俺の万年金欠を知ってのセリフか?」
保先輩はシングルマザーの母親に育てられ、大学で一人暮らしさせて貰っているのを申し訳なく思っている。
だから学校からの奨学金には極力手を付けず、さっさとお金が返済出来るようにバイトをいくつか掛け持ちしているらしい。
「大丈夫です、付き合わせるので俺が払いますから」
「くそー、修平みたいな奴が知らずに女をその気にさせるんだろうな」
貴方こそがその気になってくれなきゃ意味がない、と俺は内心苦笑した。
「やべー、ダセー、俺、マジで……」
財布を失くした涙目の保先輩、本当にヤバイのは俺のほうだった。
ごそごそキョロキョロしながら床に這いつくばるそのお尻にどうしても視線が向いてしまい、心の中で叱咤する。
涙目の保先輩が可愛過ぎるとか、尻を触りたいとか考えては駄目だ。
結局財布は大学の落とし物として届けられていたから良かったが、俺の邪な気持ちは日を追うごとに増していった。
「……っ、んっ、は、ぁ……」
柔道部が終わった時間、普段は真っ暗な部室に明かりが付いていておかしいな、と思った俺は、保先輩がオナる時の微かな喘ぎ声を耳にしてしまった。
もう、それを聞いただけでギンギンに勃起した。
いよいよ、誤魔化せなくなった。
保先輩のケツマンはどんな具合だろう、突っ込んで揺さぶったらどんなふうに乱れるのだろうと妄想しながら、俺は自慰に耽けるようになった。
好きで、好きで、好きで……だからこそ、嫌われたくない。
告白すら、出来ない。
苦しいのに、好きな気持ちを抑えられない。
「保、保先輩……ッッ」
保先輩を想ってしたオナニーは、普段よりもずっと気持ち良かった。
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