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第1話
家族や近所の大人、学校の先生たちに注意されていたことだ。
満月の夜には海に近づくなと。
まさにその日に俺は叔父さんの家から跳びだして海へと向かった。
泊まりがけに遊びにいき、従兄とじゃれていてのが、だんだん苛ついてきて耐えられなくなってのこと。
だって従兄がしつこく彼女について語って惚気るから。
いくら話題を変えようとしても、鼻の下を伸ばしっぱなしで、俺が不機嫌になっても気づかないのがさらに癪で「俺っ、なんか今、泳ぎたい気分!」とつい、やけになってしまい。
慌てる従兄に追いかけてほしかったのだが、浜辺ですこし待ってもだれもこず。
怒りが湧くような悲しいような、感情を持て余して海に足を突っこんだとき、水しぶきがあがってなにかが跳びでてきた。
蛸のような触手で、驚きつつ、海からあがろうとしたところで、手足に巻きつかれて身動きがとれなくなる。
「だから、大人は注意していたのか!」と痛感しながらも、触手の先端を見て戦慄。
男根の先っぽのような形をしていたから。
てっきり海に引きずりこまれるなどの加害をされると思っていたのが、ちがう意味での身の危険を覚える。
「やめ・・!放せっ・・!」と手足を振りまわすもTシャツをめくられて、胸に触手の先っぽが。
祖父の葬式で、五年ぶりに会った従兄は美しかった。
もともと端正な顔立ちをしていたとはいえ、黒のYシャツに黒のネクタイを締め、目の縁を赤くし、悲しげな顔をして献花を背にたたずむさまは、儚くありつつ妖艶だったもので。
美大生の俺は、葬式にかかわらず創作意欲が湧いてしかたなく、食事の席で従兄に声をかけて室外へ。
人気がないところで「モデルになってくれないか」と手を合わせた。
葬式中で不謹慎なものだが、時間がなかったから。
都会に住む従兄はあさってには帰ってしまう。
今まで五年も会わなかったし、従兄が社会人として忙しいとなれば、この機会を逃すと、次に顔を合わせあられるのがいつになるやら。
そう思って焦るままお願いをしたら、昔と変わらず、気さくで温厚な従兄は「モデルなんてはじめてだ」とほほ笑んで快諾を。
早速、大学でアトリエを借り、葬式のときと同じ格好の従兄を座らせ、カンバスを立てかける。
制限時間は三時間とあって「椅子からそんなに放れなければ、多少、動いてもいいから」と説明する間もなく、描きはじめたのが、どうしてこうなったのか。
Yシャツの前を開けて、絹のような白い肌をさらす従兄の胸、その乳首を濡れた筆で撫でている。
黒のズボンも黒い下着もずらして、先走りでてらてらする性器を露にし、乳首を筆で撫であげるたびに「んっ・・❤ああぁ❤」と悩ましい喘ぎを。
バーで一人飲んでいたら、俺好みの金髪色黒チャラ男くんが「なあ❤俺、お前すげー好み❤」とすり寄ってきて、さりげなく腰を撫でた。
一見、華奢でなよなよした男風の俺は、たいてい女役として求められる。
それが満更でもないのは、見た目に釣られる男たちが、いかにも男役っぽく、筋肉自慢の阿呆どもだから。
尻を揉みながら「ホテルいこ?」と誘ってきたのに、にやにやするのを堪えて「いいよ❤」と小首をかしげてみせる。
きっと金髪色黒チャラ男くんの脳内では、俺が女のように鳴いて悶えているのだろうが、ホテルでは立場が逆転。
まあこの手の男は、どうして毎度毎度、だまされてくれるのか。
シャワーを浴びる前に「これ飲むと、もっと気もちよくなれるよ❤」と口移しで飲ませた薬を、あっさりと飲みこみ、五分後くらいには俺に胸を揉まれて、性器を扱かれて「はっ❤はぅ❤はぐうぅ❤や、やめろっ・・!俺は、抱かれた、こと、なんてえぇ❤と」涎だらだらのメス顔に。
「俺はね、いつも男を抱いている男の処女を奪うのが大好きなんだっ❤
それにしても、お兄さん、感度よすぎだし、淫乱な体しすぎじゃない?
よく今まで男を抱いてこられたね?
ああ、もしかして自分が抱かれたいように、相手を抱いていたのかな?」
「だとしたらすごくエッチだね❤」と乳首を爪で弾きまくって、性器同士を擦りつけあう。
「ち、ちがああぁ❤ふ、ふざけんなっ・・!ふっ❤ふぅ❤ふうぅ❤ふひいいぃ❤❤」とむきになって否定して罵って、結局、盛大に精液をまき散らす男役の淫らなぶざまさに御馳走さま。
「てめっ・・!調子、乗んなよおぉ!
こ、これはぁ、薬のせいであってぇ・・!お前なんかっ、俺より、ずっと、下手あぁ・・!」
羞恥を噛みしめつつ、強がって吠えるのをせせら笑い「きみの評判は知っているよ」と尻の奥に指を。
「指でどれだけでもイかせてやる❤って豪語して、群がってくる男の子を食い散らかしているんでしょ?
それほどのテクニシャンに、俺の指が通用するかなっ❤たのしみだなっ❤
あ、ちなみに薬は体を痺れさせるだけで、催淫効果はないからっ❤」
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