1 / 1

第1話

 タタタタ…バタン  サササ…タタタ… 微かに耳に聴こえてくる音がする    『うるさい…何の音だ…気になって眠っていられないじゃないか…』  タタ…サササ……ドン    その音が徐々に大きく耳に響いてきてそろそろ覚醒しろと脳が働きはじめたようだ 「ハぁ―何んだよまったく…」    眉間にシワをを寄せ目を擦りながらルアはゆっくり瞼を開いたそして真っ先に目に映るみ知らぬ天井に驚いた 『ここは何処だ…?どこかの家のベットの上だが…はっ?なぜ裸なんだ?ん?』  起き上がりながらハタと気付く  『なんだか小さくなってる手も足も…』  『?!』    何かに気づいたルアはベットから飛び起きると部屋の中を探しはじめた ベットのあった部屋の続き部屋の衣装タンス脇にある姿鏡前で立ち止まると自分の姿を映して叫び声をあげた   「なんだこれはーー!!!」    鏡に映っているのは10代の男の子の姿 背は160ちょい 顎まである薄い色の茶髪 ちょっとつり目大きな青い目 色白でちょっと痩せ気味 全体的に見るとほんわりとしていそうに見える どちらかと言えば女の子ぽい感じだ ルアは自分の子供の頃の姿にも似てもいないその姿に唖然とし頭を抱え膝から崩れ落ちた    『何が起こってるんだ…ボクは死んだはずだ…それにこの姿は誰なんだ…』    自分に何が起こったのか困惑していると 慌ただしく近づいてくる音がした それがルアの居る部屋の前で止まるといきなりドアが開き何かが近づいる    「ルア様…」    ルアの名を呟いたその者に驚きルアは項垂れた頭を上げその声が聞こえた方を向いた そこには二人の男が立っている 手前の男はルアと背はあまり変わらない茶色い天パー大きな茶色い瞳 濃いめの眉毛に鼻のところにそばかすがちょっとある もう一人は大柄でガタイがよく黒い短髪 キリッと太い眉毛ちょっと垂れ気味の茶色い瞳 目を見開き今にも泣きそうな二人にルアは   「君達は誰だ?」   「ルア様 誰ってひどいですよ〜 ボクですよボク ボクリです!」   「はぁ?ボクリ?ボクリはもっとデブってて…」    全部言い終わる前にボクリはルアに抱きついて泣きはじめたソレにつづき大柄の男も抱きついてワンワン泣き出した 「ちょっ‥説明しろ説明…」    一階客間   「で、どうゆう事なんだ?」    ソファーに座るなりルア聞いた   「ボクもよくわからないんですけど転生したのだと思います」 「転生だと?二度目の転生だと言うのか?」 「目覚めたらここに居たんです そして少ししてからグリスが現れてそして5年後の今 ルア様が現れました」   「…」   その話を聞いていたグリスが話し出した   「ルア様 これは神から与えられた事かも知れません」   「そうですよ〜きっと神様はもう一度命をくださったんですよ〜前世は短命でしたから」   短命と言う言葉にルアは顔を顰めた 前世では森の中で助けたグリズリーのグリスとフクロウのボクリと暮らしていた ルアが26になった年の暑い日 屋敷近くにある湖で貴族らしい男を助けたがその男に騙され利用され殺された 二度目は23歳の時 貴族の女に騙されて処刑された いい思い出もない分 三度目の命に戸惑いを覚えた   「ルア様は騙されやすいんですよ〜お人好しだから〜」    ウンウンとグリスが頷く   「二度目の転生は嬉しくもない ソレにこの姿男だか女だかわからない容姿だし お前達も姿違うし違和感だらけだ くそったれ神め!」    悪態をつくルアに笑いながら   「神様を悪く言っちゃダメですよ バチがあたりますよ」 「バチでもなんでもあたって死なせてくれ」むくっと立ち上がりグリスの側に立つとグリスの腕を掴んだ 「グリス、ボクを殴り殺せ あまり痛くないように!」  力みながら突拍子でもない事を言いはじめたルアにギョッと驚きグリスは頭を横に手のひらを前に出しブンブンと振った   「無理です無理無理…」   「ルア様何を言ってるんですか 撲殺は一発で死ねませんよ 何発も殴られてそれはそれは痛みと苦しみで悶えなくちゃいけないんですよ〜わかってるんですか〜」   その言葉に反論出来ず言葉を詰まらせた   「ソレにグリスは小心者ですからブチギレない限りは人を殴れませんよ?良いじゃないですか三度目の人生新しい発見とか 色々出来なかった事が出来るんですよ〜」    ボクリの話に肩の力が抜ける グリスの前から移動し元の席に腰を下ろした グリスは緊張が解けホッとしている ルアはまだ納得のいかないようにブツブツと言っている   「三度目の正直なんでしょうか 神様の趣向なのでしょうか みんな前世よりずーっと美形じゃないですか」    ウンウンとグリスが頷く    『いや、そもそも一度目はお前ら動物…』   「ルア様その容姿に不満でも?凄く可愛らしくて庇護力をそそる感じが良いじゃないですか〜」   「確かに容姿は悪くない悪くはないが子供だろ!」   「んー、多分16、7ぐらいでしょうか?あっ 大丈夫ですよここでは16は成人ですから」    成人と聞いてホッとした   屋敷を案内するという事でボクリについて行った一階には食堂厨房 客間 風呂場 トイレ 小部屋が二つ 二階にはルアが居た部屋ともう一つの部屋そして書斎 最後に案内された書斎にはびっしりといろんな本が並んでいた 無造作に一冊の本を取り出しタイトルを見た   「泣き虫龍と少年と黒猫」   その本のタイトルを読み上げるとボクリが前に読んだらしくすごく切ない内容ですと教えてくれた「少年が…」と内容を言いそうになり「しゃべるな」と手のひらで口を押さえてやった 元はフクロウなのにおしゃべりなんだな…(勝手なイメージ)   「時間はあるんですしゆっくり読めますよ、色んな本があって楽しいですよ あっそうそう 近所の方から聞いたのですが ここは スラルダ王国だそうです 緑豊かな国ですね」   「スラルダ王国…て、こんな山奥に近所なんかあるのか?」   「ここから35キロほどの所にある ナシ村の方から聞いたんですよ〜」    『35キロは近所ではないだろ……』    呆れ顔でボクリをみたふとさっきまでいたグリスの姿がきえているのに気づく   「ところでグリスはどこに行ったんだ?」    戸口を振り返りながらボクリが答える  l 「冬に備えての準備です」   「冬?」    初めて聞く単語に首を傾げる   「ルア様はわからないんですよね〜お教えします」とボクリが胸を張る ボクリが言うにはこの世界には三つの季節というものがあるという ポカポカ陽気の春 ちょっと涼しい秋 極寒の冬 今はちょっと涼しい秋だそうだ だが後一ヶ月くらいで極寒の冬が来るそうだ そのための準備だそうだ   「今が秋というのはわかったがその極寒の冬というのはなんだ?」   「極寒の冬とは気温がマイナス30度で白く冷たい粉が空から落ちてきて外一面を白くします 積もると入り口が埋まります〜 僕達は元は野生のものなのでなんとかなりますけど〜 普通は凍死します〜」   「死ぬのか……」   「ダメですダメですせっかく転生したんですから〜」    わーんと今にも泣き出しそうにボクリが抱きついてきた   「ジョーダンだから 死なないって…ほら空から落ちる白い粉も見てみたいから…な」    抱きつくボクリの背中に手をあてなだめるとグスリと鼻をすする音が聴こえた。   数日後のある日 「ルア様〜ルア様〜ご飯の時間ですよ〜降りてきてくださーい」  昼食の時間になり  ボクリが一階の階段下から二階に向かって声をかけるが2階からの返事は聞こえては来ない 「ルア様何してるんだろ?」    階段を上がりルアの部屋に向かうそしてドアをノックした    コンコン    反応がない 『おかしいなぁ〜』ボクリは  ルアの身に何か起こったんではないかと心配いなり焦ってドアを開いてみた   「ルア様どうしたんですか?大丈夫ですか?」    部屋の中に入りルアの姿を探したが見当たらない ベットにも寝ていないし   「ルア様どこですか〜」    ルアの部屋を抜けて斜め向かいの書斎に向かう 最近ルアは暇さえあれば書斎にこもり本を読んでいる   「よく飽きないですよね〜まぁ分かりますけども・・・」    開けますよ〜と言いつつ書斎のドアを開けると椅子に腰掛け本を読むルアの姿あった   「やっぱりここだったんだですね〜ルア様食事の時間ですよ」    気づいたルアがチラリとボクリを見てまた本に目を向けた   「冷める前に降りてきてくださいね」    そう伝えるとボクリは書斎を出て一階の食堂に向かった テーブルの席の座るとほおづえをつきため息を吐いた   「どうかしたのか?」    心配そうに聞いてくるグリスにムスッとしながらボクリが答える 「毎日毎日書斎にこもってさ〜」 「仕方ないだろ異世界なんだぞ、色々知りたい事あるんだろう?」 「まぁわかるけどさ 寂しいじゃん」 「・・・」  はぁ〜 と二人ため息をついた 少しすると小脇に本を抱えルアが二階から降りてきた   「rルア様遅いですよ〜僕達 待ちくたびれてお腹ぺこぺこんですよ〜」  スプーンを片手にボクリが口を尖らす その様子を見つつルアは席に腰をおろした 毎回自分が来てからじゃないと食事をしないボクリとグリスに申し訳なさもあるが前世から変わらないこの光景が嬉しくも思える「いただきます」と手を合わせ三人は食事を始める   「そういえば 空から落ちてくる冷たい白い粉の名前がわかったよ「雪」と言うらしい この歴史書に書いてあったんだ」テーブルの上に置いた分厚に目線を移す 「へぇ〜そうなんですね〜雪かぁ〜って、あれ?その歴史書何処にありました?」 「右の棚の一番上」 「えっそれってあそこの本ほとんど読んじゃったみたいな?」 「そうだね」  と答えるとボクリとグリスは顔を見合わせ驚いている ここに転生してからまだ一週間ぐらいしか経ってないのに あれだけの数を読んだのかと   「ルア様は昔から?ん?前世から勉強熱心でしたもんね〜」   「生きていくには知識は大事だろ」   「まぁそうですよね」    先に食事を食べ終わったグリスが立ち食器を片付けようとするとルアが問いかける 自分が本を読み耽ってる時間彼らが何をしているのか気になった   「午後は何をするんだ?本もほぼ読んだしやる事がなくなったんだ何か手伝える事あれば言ってくれ」 「午後は王都まで必要な食材とか調味料の買い出しです」 「買い出しって物を買うにはお金が必要だろ?」 「ああ、ルア様はここに来てから外でてないですから僕達が何してるか知らないのも無理はない」 「確かに書斎に籠って本読んでたもんね〜 それじゃあ食事が終わったら外行きましょう 僕達がここでどうゆう生活してたのか説明しますよ」 「うん わかった」    外に出ると空は青く澄んでいたが肌にあたる空気が冷たく身震いがした 屋敷の周りにはひらけていて離れた場所に木々が並んで見える こっちですよと手招きをされ屋敷を出て右側にまわるとそこにも木々はなく広大にひらけた場所があった   「ここはジャガイモ畑で隣は人参と…」畑の間を説明を聞きながら見てまわったがその広さに驚いた 聞いたところはじめは小さな畑だったらしいが冬の間食料不足になり大変だったからと二人頑張って増やしてきたという事だった あと極め付けは葡萄畑もありワインを作り王都の酒場と契約し売っているらしい 野菜も安く売ってくるそうだ もちろん役所から販売許可はもらっていると   「すごい広さだな」   「ここで生活するにはこのくらいないと冬は越せませんよ〜」   「馬の餌も作らなくてはいけないし冬の来る前にやる事沢山あるんです」そう言って屋敷の裏にある貯蔵庫を見せてもらった   「すごいなお前達 感心するな〜僕が手伝える事は何でもするから遠慮せず言ってくれる」 「いえいえそんな」  恐れ多いとグリスは首を振るが その隣で思いついたようにボクリがニヤリと笑う 「ルア様にして欲しい事があります」 「して欲しい事?」 「それはね…」  二人が王都に出かけた後ルアはボクリに頼まれた事を済ませた ボクリに頼まれたのはこの屋敷の周り一帯に結界を張って欲しいということだった なぜかとゆうとこの時期 畑の作物を盗みにくる者たちがいるらしい そのくらいこの国の冬は大変なのだろう でも人が汗水流して作り上げた物を勝手に獲るのは良くない事 結界を張り終え屋敷に入ると各部屋を周り床に魔法陣を描いた   「これでヨシとこれで床暖房完了 冬もあったかく過ごせる アイツらも喜んでくれるだろうな」    二人の喜ぶ姿を思い描き思わず顔が綻んでしまう 人のためにしてあげる事がこんなに気分のいい事なんてとワクワクしながら二人の帰りを待っていた 書斎で本を読んでいると時間が経つののも早く窓の外は陽が傾き薄暗くなってきている    ガラガラ ヒヒィン    馬車の音と馬の鳴く声が聞こえた ボクリとグリスが帰ってきたようだ  玄関のドアが開いたと思ったらボクリが二階にいるルアを呼んだ 何事かと一階に降りていくと ボクリが玄関を入ったところで何かを両手で持ち立っている 近寄ってよく見ると手に持っているのは傷ついた鳥だった 「どうしたんだその鳥は?」 「帰る途中 鳥達が騒がしくしていて行ってみたら彼が怪我してて」 「とりあえず部屋に」 「うん」  客間に移動し テーブルの上に鳥を置いた そしてルアが回復魔法を使い鳥の傷を治した 鳥は疲れているのか傷が治るとウトウトとし眠ってしまった   「ルア様ありがとうございます」ペコリと頭を下げボクリが感謝する お礼はいいからと伝えテーブルの上で眠る鳥を様子を見つつあることに気づく 青い頭に首の周りは白く首から下は灰色 読んだ本にあった鳥の色と同じだった 「この鳥は使い鳥じゃないのか?」 「使い鳥?」 ルアの話にボクリが首を傾げていると後から部屋に入ってきたグリスが鳥の首に何かあるみたいだと鳥の首に指をさした よく見ると鳥の首には小さく細い筒に紐がついたものがあった 申し訳ないとおもいつつ眠る鳥からそれを外し中を確認した 中には丸まった小さな紙が入っていてそれには暗号らしき絵が描かれていた 「コレは暗号ですね」三人はその暗号らしき絵がなんなのかわからずにそれを見つめた 「この左にあるこの○が5個縦にズレて並んで周りに毛が生えてる これって毛虫みたい」とボクリが紙の絵にゆびをさすと 「毛虫!プッ」クスクスとルアが笑う 「真面目に考えてください もしかすると大変な事かもしれませんよ!」  グリスの言葉に固まりルアの手から紙がハラリと落ちた 「ボクリ君 見なかったことにしよう…ね これ鳥さんに返して」落ちた紙を拾いボクリに手渡す それを受け取ったボクリは頬を膨らませ怒り始めた 「中身見ちゃったら気になって眠れなくなっちゃうじゃないですかぁ〜最後まで謎解きしましょうよ〜」 「ボクリ君 解いたら解いたで気になるでしょ〜見なかったことにしよ?ね、ね」  次回に続く  使い鳥を飛ばした後 三人は二階の書斎から地図を持ってくるとテーブルに広げた  地図にはここスラルダ王国の隣り左上にマルタ王国その下にガウーラ王国 右上は小国スペラルク 「ほら やっぱりこうなると思ったよ 暗号解いて終わりってならないって」 「ルア様 暗殺計画なんですよ〜王様が狙われてるんですよ 大変な事じゃないですか〜 ね、グリスもそう思うよね。?」 「ボクもボクリと同感です もしその国の王様が暗殺されたら先々この国にもなんらかの影響が出てくるんじゃないかと思います」 「それに 知っていたのに何もしないのって気持ち悪いじゃないですか〜 なんとかこの事を伝えられたらいいのにな〜 そう思いませんか ルア様」 上目遣いに抗議してくるボクリに降参とルアは両手をあげる ボクリが鳥を助けて持ち帰って来た時からなんか嫌な予感はしていたが暗殺の計画の暗号だったとは 中身を見てしまったからには仕方ない 「そんな事言われてもな〜 何処から飛んできたのかわからないし…」ル頭を悩ませていると 「…」 「…」 「あー!」  いきなり何かを思い出したのかボクリが声をあげた その声にルアとグリス驚き目を丸くする 「いきなり声をあげるなよびっくりするだろ」 「ほんとですよ心臓に悪い」  グリスが心臓に手を当て摩っているその横でルアは腕をくみギロリとボクリを睨んだ 「あっお二人ともすいません、驚かせてしまって 思い出したんです ボクあの時鳥さんから聞いたんです 何処から飛んできたのかって そしたらよくわからないって でも飛び経つ時その城の旗が見えて、白と青 だって」  ソレを聞いたルアはグリスに目線を向ける その合図に頷き部屋から出て行った すぐさま本を片手に抱えてグリスが戻ってきた それをルアに手渡した 何ページかめくると手が止まった そのページを広げテーブルの上に置いた 「マルタ王国だ」 「なるほど〜マルタ王国なんですね〜」  ボクリとグリスは納得といい頷く 「で、どうするんですか?ルア様」  その問いにニヤっとしボクリの腕を掴む 「へっ。?!」  部屋を出て玄関の方にルアに引きずられて行く 「待って 待って どうゆう事〜!」  あたふたしているボクリに手を振るグリス 「留守を頼む」 「お気をつけて」  ボクリを引き摺りながら振り返ると胸に手を当て頭を下げ見送るグリスの姿があった そこまでかしこまらなくてもいいのにとルアは思った 「で、なんでボクまで連れていくんですか〜 しかも梟に変身してるし〜」  プンプンと怒りブツクサ文句を言うボクリに笑うルア  屋敷から外へ出るとボクリの頭に手をのせ魔法をかけ梟にし ルアは雀に変身をした 「隣国行くのに梟とか長距離飛行不可なんですよぉ〜わかってます?それにルア様は雀とか ないわぁ〜 せめて二人して長距離飛行できるタイプだとよかったのに〜つか、ルア様何故背中に乗っかってるんですか?飛んでください〜」 「クククッ…こっちの世界に転生してまだ日は浅いから頼りになるボクリに色々聞きながら行こうかと思ってね それにボクに何かあった時のため保険だよ」 「頼っていただけて嬉しいですけど、保険ってなんですか〜魔法使いなんだから無敵でしょ?」 「ボクリ君 魔法使いは無敵ではないのだよ」 「またまた〜」  どうゆうイメージなんだかとルアは呆れ顔だが雀のため表情はわからず 「で マルタ王国ってどんな感じの国なんだ?」 「これと言って特に変わったところはないですね〜今の王様になってからは、まぁ山と緑に囲まれた感じはスラルダとたいして変わらないかと」 「今は良くても前はどうだったんだろ?」 「それなりに王妃の毒殺 王様の殺人未遂 脱獄者の逃亡などですね〜」 「脱獄者…それは何年前の話?」 「二年くらい前かと思いますけど〜どうしてですか?」 「ちょっと気になって」 「そうなんですね〜って、ルア様もうそろそろマルタ王国に入ります 飛んでください〜」 「あっごめんごめん」  ヒョイっとボクリの背中から降りてルアは翼をパタつかせ羽ばたいた マルタ王国に空から入る 入国検問所を上から眺め なんて楽チンなんだと思うルア ふと後ろをついて飛んでいるだろうボクリの姿が見えなかったが特に気に留めず城に向かって羽ばたいた 少しすると体力の限界になり城下町にある店屋の上に降り羽根を休める事にした 城下町ということもあり人々で賑わっているように見えるがところどころで立ち止まり立ち話をしているのがちらほら見える ちょっとだけ近づいて話を聞こうと立ち話をしている男二人の側まで降りる 雀らしく地面を突きながら耳を向ける 「なんでまたフェタリオと」 「そうそう四日後なーうちの従兄弟も騎士団入ってるから行くってよ」 「何考えてんだか王様も」  『フェタリオ?って何処なんだ…』聞き耳をたてそちらに気が行ってたその時 ガブリと猫に半身を噛まれたらしい 一瞬何が起こったがわからず身体に突き刺さる痛みに悶える 「ギーギー」鳴くと周りの人達が気付くが特に気に留めず話に、買い物に夢中だ 出血してるせいか意識が遠のきそうになる ここで魔法を使えばすぐさま抜け出せると思うがそれはやめておこうともがく すると急に視界が高くなる 何が起きたのかわからないでいると男の声が聞こえてきた 「野良吉何やってんだ 可哀想だろう 離してやれ」  その声の男がルアを猫の口から離してくれた  助かった…と思った瞬間ルアの意識は途絶えた                          

ともだちにシェアしよう!