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第1話

「何回も言ってるけどそれ飲まないと 家から出さないからな」 先輩の鋭い目つきが俺に刺さる テーブルで向かい合わせに座ってるけど もう目逸らしたいもんね 「嫌だって言ったら?」 「口答えすると痛い目見るってわかってて 言ってるのかな、晴:(ハル)…」 俺は元々貧血気味なのでよく立ちくらみを起こしやすい。 そのため、朝は必ずしも薬を飲まないとダメなのだが…それが嫌でよく逃げていた。 そのせいでよく貧血を起こしては保健室行きになったのだが その生活は一変し 「んじゃ、俺が晴の面倒みますよ」と 先輩が親と相談し 俺は先輩の家に預けられた… んで今に至ると… 「晴…最後にもう1回聞くが 自分で薬飲むか 俺から口移しで飲むか それとも足腰立たなくなるまで お説教くらうか どれか選べ」 どれも嫌すぎる… まず口移しでも腰たたなくなる…無理… 説教というより、もはや快楽責め… 俺は涙目になりながら 「自分で…飲みます…」 心を決め 薬と水を一気に含み飲み込んだ。 口の中に広がる苦味で泣きそうになると 先輩はおいでと手を広げてくれる。 思わずその胸の中に飛び込む。 「よく出来ました」 そう言って頭を撫でられる 「ご褒美に何して欲しい?」 そう耳元で甘く囁かれてしまっては 終わりな気がする。 「俺がいいって言うまで抱っこ…」 クスッと笑った先輩は了解とだけ言って またなでなでしてくれる。

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