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第1話
部屋に散らばる無数の服
レースや装飾がついたものまであるのに
それを着る人物はもう何日も帰ってこない。
「ちょっと出かけてくるから待ってて」
そう行って部屋を出てったのに
ただいまという声は聞こえない。
空腹の中で願うのはただ1つ
用事を終わらせて帰ってきて欲しいだけ。
朦朧とした意識の中で扉が開く音に集中する。
いつ開くかも分からないのに。
座っているのが辛くなったので少し横になる。
ちょっとだけ目を閉じてみる。
少しでも時間が過ぎればいいと思いながら。
どれくらい経ったかは分からないが
目を開けるとそこには白い服を着た足がみえた。
目線だけ上にやるとお兄さんが僕を見ていた。
「だれぇ…」
お兄さんはニコッと笑い
よく頑張ったね、偉いねと僕を褒めてくれて
抱っこしてくれた。
「もう大丈夫だよ…君は楽になれるよ」
それを聞いた瞬間、体の力が抜けていくような
感覚がした。
「お腹すいたよね…向こうに美味しいものあるから
一緒に食べよ」
美味しい…もの…
「そう、美味しいもの、君のママからも頼まれるんだ、だから行こうね。」
ままとあったの…?
「うん、でもね、君とはしばらく会えないからお兄さんにお願いしてきたんだ。」
そうなんだ…
「大丈夫だよ、そのうち会えるから
ご飯食べて元気になろうね」
その言葉を聞いた後に僕の意識は消え
浮遊する感覚の中で温かさを感じた。
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