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死せる魔王の箱庭

 その魔王の名はロクサリオンと言った。ロクサリオンが魔王になることを決意したのは彼の故郷である森エルフの里が欲深い人間たちの手により滅ぼされ、一人だけ生き残った彼が同胞の死体が転がり黒い煤と煙を噴き出す焼け跡に立ち尽くした時だった。  ロクサリオンは森エルフの特徴である緑がかった銀髪を黒く染め、長く尖ったナイフ耳と美しい顔を隠して故郷から旅立った。そして人々が彼を再びエルフとして認識するころにはロクサリオンはすでに魔王となっていた。  魔王ロクサリオンの傍らにはいつも側近であるオズスの姿があった。癖のある黒い短髪に人好きのしそうな甘いマスクの青年であるオズスの正体が悪魔であることはロクサリオンだけが知る事実だった。  故郷から旅立ってすぐ、ロクサリオンはオズスと契約を交わした。ロクサリオンの望みは再び森エルフたちが大勢地に満ちて、人間などに滅ぼされないように栄えること。それを叶えるのと引き換えに、ロクサリオンは死後己の魂をオズスに供する約束をしていた。  契約に従ってオズスがロクサリオンに与えた能力は『どんな種族の女でも孕ませ、森エルフの子供を産ませる能力』だった。ロクサリオンは世界中を旅してまわり、己の美しい容姿で次々と女を誑かし、子を孕ませては身をくらませた。オズスは孕んだ女に何があっても産んだ子供を守り、成長したらロクサリオンの配下として彼の元へ旅立つように教育するという暗示をかけた。  初めは突然産まれたナイフ耳の子供を女の周りの者が殺してしまうこともあったが、長寿のロクサリオンは根気よく子供を増やし、やがて新しいエルフの子供たちは彼を王に戴き、国を興した。そして、かつて森エルフを滅ぼした人間に対して敵愾心を燃やした新たなエルフたちは魔族と名乗るようになり、自分たちを滅ぼそうとする者がいなくなるまで炎のように戦った。  若かったロクサリオンが老齢になるほどに長い年月が流れ、もう自分が何かしなくても次の代が、次の次の代がエルフの魔王国を存続していけると彼が思う頃、ようやくロクサリオンはその命を終えた。  彼はエルフたちの人数を増やすことだけを考えて子種をまき散らしてきたので、妻や恋人は持たなかった。一人でも多くの女を孕ませたいという理由でオズスに頼んで性的な快楽をほとんど感じないようにしてもらい、自分の子を孕んだ女に愛し愛されることのないようにしていた。だから最期に彼の側にいたのは側近であるオズス一人だけだった。 「オズスよ。今までありがとう。私の願いはこれ以上ないほどに叶った。どこへなりと私の魂を連れていけ。多くの人間を不幸にした私の魂はさぞや美味かろう」  そう呟いて、魔王ロクサリオンは崩御した。享年は800歳を優に超えていた。 (足の裏が暖かい。故郷の土と草によく似た感触だ。私は死んだはずだが?)  次に目が覚めたとき、ロクサリオンは裸足でどこか外を歩いていた。新緑の香りを胸いっぱい吸い込み顔を上げると、豊かに茂った木の葉の間から木漏れ日がちらちらと射す。体が軽い。風が吹き上げた己の髪が一房目の前を横切る。その色は彼の本来の髪の緑がかった銀色をしていた。手のひらでぺたぺたと顔に触れるとそこにある感触は齢を重ねた肌ではなく、悲しみと怒りに満ちて故郷を出たあのころの若々しいそれのものだった。 「ここが天国というものなのだろうか。この道は知っている。故郷の里へ続く道だ……」  悪魔に魂を売って魔王になった自分が地獄以外のところに行くとは思っていなかったロクサリオンは、訝しみながらも里への道を駆ける。彼は自分の子供たちで新たなエルフの王国を作ることに成功したが、いつも失われた自分の故郷を夢見ていた。親兄弟、友人。そしてほのかに恋心を抱いていた女がいた。失われてしまったそれら愛しいひとがそこに居てまた会えるのなら愛欲を封印して駆け抜けた晩年も報われる。  そしてロクサリオンがたどり着いたそこは、彼の記憶の中のエルフの里そのままの場所だった。 「シャリア」  小脇に抱えた籠から鳥のえさを地面に撒いている若いエルフの女の名をロクサリオンは呼んだ。かつて彼に微笑んでくれたかわいい彼女の笑顔は、その声を聞いてロクサリオンに向けられる。それがやはり記憶のままで、彼の眼尻から涙がこぼれた。 「ロクサリオン、どうしたの? 裸足で走ったりなんかして。怪我しちゃうわよ」 「シャリア、ああ、君だ。会いたかった。私がどれだけ君に会いたかったか」  ロクサリオンはシャリアの手を取り、己の涙で濡れた頬に当てる。それを見てきょとんとしたシャリアは、くすくすと笑いながらこう言った。 「ほんとうにどうしたの? そんなことして、わたし、あなたの『ご主人』に怒られちゃうわ。あのひと嫉妬深いんだもん」 「え……?」  ご主人、という予想していなかった彼女の言葉に、違和感がざらりとロクサリオンの首筋を舐めた。彼は既婚者ではなかった。それは里にいた頃も出た後も同じで、主人などというものがいた記憶はない。だというのにシャリアはそういうものが自分に居ると言っているのだ。彼が呆然としていると、後ろから何者かの気配が現れ、肩に腕を回してきた。 「やっと来たのかロクサリオン。最初に会いにいくのが俺じゃなくてシャリアか? 妬けちまうな」 「オズス! やだ、あなたの夫に色目使ったりなんかしないわ。だってあなたたちったら、本当にお似合いなんだもの!」  交わされる会話が理解できないロクサリオンがおそるおそる振り向くと、そこには生前自分の側にいつも居た悪魔のオズスがそこにいた。健康的に日焼けした肌と黒く癖のある髪は変わらないのに、その耳は自分たち森エルフとおなじように長く尖っていた。 「ここは地獄だ。おまえのために俺が用意した地獄の箱庭だ」  オズスは呆然とするロクサリオンを彼の家に連れて行った。ロクサリオンの記憶の中では自分と家族の名前が書かれていたはずの札にはロクサリオンとオズスの名前だけが記されていた。 「どういうことなんだ。私の魂を食べるはずではなかったのか」  ロクサリオンは自分の魂と引き換えにオズスに悲願を叶えてもらったので、死ぬ間際に魂を食べられてしまう覚悟はしていた。それなのに、オズスはそうはしなかった。わざわざロクサリオンの記憶の中のエルフの里そっくりの箱庭を作って、そこに存在しない彼の夫として住んでいるのだ。訳が分からなかった。 「生きている間おまえは自分の同族を地に満ちさせることだけを考えていて、それ以外はまったく目に入っていなかった。ずっと側にいた俺のことも見えていなかった。だけどもうおまえのその願いは果たされたんだ。だからこれからはお前には俺のことだけ見てもらう。俺が死ぬまで。死ななかったら未来永劫だ」  何を言っているんだ、とロクサリオンはオズスの顔を見る。エルフとして失った未練がそのままの形で残っている箱庭で、オズスのことだけを考えるなんて無理だと言いたくなった。しかしオズスの金色の目がギラギラと輝き自分の目を真っ直ぐに見つめているのを見て、彼は何も言えなくなった。 「ロクサリオン。おまえは性愛の悦びを封印してその一生を終えた。快楽なしにただ繰り返し女にちんぽをつっこんで種付けをし続けた。だがもうそんなつまらないことをする必要はない。おまえが本来味わうはずだった快楽を俺が返してやろう。おまえは一生で何回射精した? その時に感じるはずだった快楽はどれほどのものだと思う?」 「お、オズス……やめ」 「イキ狂え、ロクサリオン」  オズスの大きな手のひらが、ロクサリオンの形のいい頭を覆うように掴んだ。その瞬間、全身を電撃のようなものが走り、ロクサリオンは全身を引きつらせて硬直した。 「アぎゃあああああああああああああああ♡♡♡♡♡!!!!!!♡♡♡」  ロクサリオンの股間に一気に血が集まり、ビキビキと痛みすら感じる勢いで勃起、里にいたころに穿いていたお気に入りのズボンの前を戯画のように突き上げた。同時に先端から染み出した先走りの液が滲み漏らしたように濡れそぼる。 「お゛うッ!?? お゛うお゛うッ♡ お゛うッ⁉ お゛ぉ~ッ♡♡♡♡」  突っ立ったまま腰をカクカクと前後させ、濡れた股間部分の先端から白いどろどろした精がびゅぷ♡ ぶびゅ♡ という間抜けな音と共にぶくぶくと盛り上がり、足元にぽたぽた垂れて小山になった。ロクサリオンが美しく気高いかんばせを間抜けにゆがませ、海獣のようにおうおう鳴いている姿を見てオズスは甘いマスクをふんわりと笑みにする。そしてロクサリオンの頭を掴んでいた手を一旦離してやった。おっほぉっ♡ と一声哭いて、精液だまりの上にどちゃりと潰れたロクサリオンはすぐには立ち上がることができず、どろどろに塗れながらピクピクと全身を痙攣させていた。 「今ので一年ぶんくらいかな。あんまりいっぺんに返すとおまえの脳みそが焼ききれちゃうからほどほどにしておこうね。まあそうなったら俺が治すけど」 「お、おほッ、おっ、おずすぅ~っ、な、なんれぇ? なんれこんなことするおぉ~ッ???」  硬直、絶頂のあとの猛烈な虚脱を味わいながらようやく口をきくことができたロクサリオンの問いに、オズスはふっと笑って答える。 「いや……なんでっていうか。俺ロクサリオンがかわいそうで。本当だったら味わえた快楽を知らないまま死んでさ。俺ずっとおまえの側で見守ってきたから、おまえのことねぎらってやりたいんだよ。だからこれからはずっと気持ちいいのが続くからな。もう生前のことは忘れて楽しんで良いんだぞ。全部俺が面倒みてやるからさ」 「ああぁぁあぁ……やあぁぁあぁ……♡♡♡」  痙攣の止まらないロクサリオンの足の間からみっともない音が鳴って、失禁の臭気が部屋に満ちた。体に開いているほとんどの穴から何かを漏らして絶頂を止められない彼を、オズスは愛玩動物を可愛がる飼い主の顔で見つめていた。 「ん゛うッ♡ うッ♡ んっ、うっ、ふッ♡♡」  ちゅこっ♡ ちゅこッ♡ くちゅッ♡ と粘着質な水音を聞いてロクサリオンは目を覚ました。頭から流し込まれた凝縮した性感のショックで気を失っていたのだと気が付いて、次に彼は自分が椅子に座ったオズスの膝の上で大きく足を開かされて、さっき精液と小便を漏らして濡れたままの陰茎を甘く扱かれているということに気が付いた。気が付くなりまた快感が流れ込んでくるが、先ほどの暴力的なものよりもずいぶん優しいものだったので、ロクサリオンにもそれを受け入れる余裕が残されていた。 「あ、起きた。気持ちよすぎて気絶しちゃうなんて可愛いね♡ ロクサリオン」  ちゅっと後ろから耳の先端を男性器に見立てるように吸われて、ロクサリオンはまた全身をびくっと震わせる。手足には相変わらず力が入らず、オズスのされるがままになっていた。 「あ゛♡ あ゛ぁ♡ あ゛~っ♡ お、おずすぅ♡ ちんちんしこしこ、やめへぇ……♡」 「やーめない♡ ロクサリオンはもう何も考えずに俺に気持ちよくされてればいいの。がんばりちんちんよしよしされて可愛くあへあへ♡ って啼いてればいいんだよ♡」 「がんばりちんちん? あへあへ……? よくわかんな……はへ♡」  種の保存と繁殖のためだけに酷使されたエルフ陰茎を労わるように弄られて、確かに自分はずっと頑張ってきたとロクサリオンは思う。頼りがいのあるオズスの胸板に背を預けたまま、ぬるぬるとただ手コキをされるのは暖かい安心感とざらつきのある快感がまじりあってロクサリオンの溶けかけの理性をフライパンのバターのようにびたびたに変えてしまった。は♡ は♡ と小さく息をつくロクサリオンの小さな乳首を、オズスは空いた手の指できゅ♡ とつまんでやる。 「は、なに……くすぐったい……」 「種付けのために麻痺ちんぽだけ使って、他の気持ちよくなれるところも全然知らないんだよな。これからこのちっちゃい残念乳首も服に擦れただけでイけるような恥ずかしい乳首に丹精こめて育ててやるからな。ぜーんぶ俺好みの俺だけの夫になろうな♡」 「や、やらぁ、私、シャリアの夫になりたかったぁ……」 「あんなの俺がお前の記憶から作ったただのカカシだっつーの」  ロクサリオンがシャリアの名前を出してオズスを拒む素振りを見せると、オズスはすっと目を据わらせてさっきまで猫なで声だったのが嘘のように静かな声を出した。耳元でその冷たい声を聞いて、ロクサリオンは肩をびくっと震わせる。 「怖かった? ごめんな? あれは頑張ったおまえが帰ってきたここにシャリアがいなかったらがっかりするかなって思って置いただけなんだ。ここには俺しかいないよ。シャリアも、おまえの知っているエルフたちはみんなあの日に死んだんだ。そうでなくてもシャリアにはおまえじゃない許嫁がいただろ? 里が燃えなくてもおまえはシャリアの夫にはなれなかったよ」 「な、なんでそんなことおまえが……」 「もう考えるなって。まずこの勃ちっぱなしでピコピコしてるちんぽイこうか。それが済んだら一回飯にしよう。おまえが一生懸命育ててたチシャで森エルフ風のサラダを作って食べよう。柑橘に蜂蜜、食べられる花も入ってるやつだ。久しぶりに食べたいだろう? 材料の生えてる畑も再現したからな、ほらわかったらイけ! オズスの手コキでイくって言いながらイけ!」 「ひぃい♡ オズスの手コキでイくぅ♡」  優しく囁きながら手の動きを早くしたオズスに耳元で強く命令され、ロクサリオンはまた勢いよく射精した。もう死なないからか、さっきたくさん射精したばかりなのにその勢いはまったく衰えなかった。 「おいしいか? ロクサリオン」 「……」  結局その後も駄目押しのように数回射精させられたロクサリオンは、裸のままぼんやりと食卓についてオズスに手ずからサラダを食べさせられていた。舌に乗る味と歯がチシャを噛み切る感触が懐かしくてロクサリオンはぽろぽろと涙を流した。 「どうして泣く? 悲しいのか」 「……わか……らない」 「王国に暮らすおまえの子供たちが心配か? あいつらはみんな幸せに暮らしてるよ」 「……」 「あとはお前が幸せになるだけ」  ロクサリオンにわからないのは、自分がどうして泣いているのかだけでなくオズスがどういうつもりでこんなことをするのかのほうもだった。彼は故郷を失って幽鬼のように歩いていたロクサリオンに興味を持って話しかけてきた野良悪魔だ。多くの人間の恨みを買って育った魔王の魂はこんな野菜ばかりのサラダよりもずっと美味いだろうに、食べずにこんなふうに飼いならすような真似をする彼の真意がわからず、ロクサリオンはただ黙って咀嚼を続けた。 「食べたら元気が出ただろう。さあ、おまえの体の開発を続けよう。男の体にはほかにもたくさん気持ちよくなれるところがあるからな。全部気持ちよくなれるようにしてやるよ」  ロクサリオンが返事をしないのを肯定と取ったのか、オズスは一人で嬉しそうだった。 「エルフの森にはいろんなものがあったよな。エルフはこんな使い方をしないようだが、あの森にはアルラウネがたくさんいた。あいつらの蔓は色事に使うのにもってこいだ。痛みを感じずに初めてでも気持ちよく使えるケツ穴に作り替えることができる」 「ふぅうっ……♡ ふうぅーっ……♡」  オズスは赤い蔓を干したものをぬるま湯に漬けて柔らかくしながらそんなことを言った。ロクサリオンは数回分の絶頂快楽を頭から入れられた状態でベッドにうつぶせに縛りつけられ、尻を高く上げた状態で固定されたまま荒い息をたててオズスの次の行動を待つことしかできなかった。 ロクサリオンの排泄にしか使ったことのない肛門はつつましやかに窄まっていたが、会陰の奥から伸びている陰茎が快感に疼いているためちいさくぱくぱくと開閉していた。オズスはそれを嬉しそうに眺めながら、ぬるま湯で戻したアルラウネの蔓を両手に近づく。自分以外の体重でずしりと沈むベッドの動きに、ロクサリオンの裸の肩がぷるっと震えた。 「可愛い穴、でもこんなに可愛いのは多分今だけだからな。いつかなくなっちゃうものを愛でるのも一興か」  そんな軽口を叩きながら、ピンク色のジェル状粘液でぬるぬるになった手で、オズスはまずロクサリオンの足の間で固くずるんと伸びているエルフ竿を乳しぼりのようにまた扱いた。 「ああぁ……また手コキ……♡ もうやら、ちんちん馬鹿になっちゃう……♡」 「あまたの女を孕ませた魔王のチンポがそう簡単に馬鹿になるわけないだろ、もうちょっと頑張れよ。本番はこっちだからさ」  ぬるぬるくちゅくちゅと陰茎を扱いてやりながら、オズスはもう片方の手に持ったアルラウネの蔓の先端をロクサリオンの肛門に近づける。先が細くなっている蔓はさほど抵抗なく中に吸い込まれていき、彼は亀頭と直腸の粘膜両方からアルラウネの媚薬成分を吸収する羽目になった。 「はぁ、ん♡ なにこれっ♡ じんじんするっ……♡」 「こうやってチンポも一緒に扱くとケツいじめられるの気持ちいいって早く覚えるだろ? これで拡げると力が抜けて痛い思いしないですむんだよ。この奥にメスイキの場所があるからな。細いので開発していこうな」 「めすいき……なに……?」  ロクサリオンの疑問には答えずに、オズスは蔓を咥えこんだ孔にちゅぷちゅぷと出し入れしてやる。同時に亀頭をくちゅくちゅと揉みこまれて、ロクサリオンは自由にならない手足の指を開いたり閉じたりしてきつい快感に耐えた。 「うお゛……♡ ふぅんっ♡ うぅうんッ♡ お゛うぅん♡♡♡」 「ははは、目玉でんぐり返して鼻の下伸ばして間抜けな顔で可愛いよ。アルラウネ責めが気に入った? 初めてこんなに感じるの才能があるね、ロクサリオン」 「お、おしりやめっ♡ おしりほじられるのせつないっ♡ ちんちんの先っぽも沁みてつらいぃッ♡ んほぉぉ♡ おおぉ♡♡」 「弱点全部口で教えてくれるの可愛いなあ、恐ろしい魔王様が。お尻ほじられながら先っぽくちゅくちゅされるのがそんなにやばいの? そのうちケツだけでイけるようにしようね♡」 「んお゛ぉぉおぉぉッ♡♡♡」  オズスは時間をかけてロクサリオンの亀頭と内壁に媚薬液を塗りつけた。その念入りさは執拗ささえ感じさせられ、ロクサリオンはオズスが動かす蔓が中を擦りながら出入りするたびに唇をきゅっと突き出して連続で射精してしまうのだった。 「アルラウネの媚薬はずっと入れてるとかゆくなっちゃうからな。洗ってあげるね」  もうすっかり拡げられた肛門をぱくぱくと開閉させて悶えるロクサリオンの腸内に残った媚薬液を、オズスはまた別の植物の液に浸した布を巻き付けた棒を出し入れして洗浄する。その刺激でも絶頂し射精を繰り返すロクサリオンの直腸と陰茎は、オズスの言う通りすでにちくちくとかゆくなりはじめていた。 「か、かゆい、オズス、ごしごしやめないでぇ……♡」  自分から凌辱を望む決定的な言葉をまだ口にしていないロクサリオンだったが、もう限界が近づいていた。耐えがたい痒みが弱い粘膜を襲い、何でもいいから掻いてほしいという欲望が彼の脳を蝕んでいく。 「チンポシコシコされながら後ろからケツ掘られたらもっと気持ちいいよロクサリオン」 「あ゛……え……♡」  疼くような痒みに苛まれ、抜き去られたブラシに名残惜しささえ感じていたロクサリオンの耳朶をオズスの甘言が叩く。それは本当に素晴らしいアイデアであるように聞こえて、ロクサリオンの心のタガが外れかけた。 「手縛られてちんぽとケツ穴掻けないの辛いよね。ロクサリオンのちんぽとケツ穴やさしーく掻き♡ 掻き♡ できるのは誰だ? 誰かに掻いてもらうお願いできなかったらロクサリオンはずっとかゆかゆチンポとケツ穴ひくひくさせるしかできないね? なんてお願いしたらいいかわかる? 俺はチンポしか入れてあげないしシコシコしかしてやらないけど、そのままずっとかゆいよりずっといいんじゃないか? どうする? ロクサリオン。ん?」 「……さい」 「声が小さいなあ、なあに?」 「……ください」 「聞こえない。ちょっと喉乾いたし水飲みに行っちゃおうかなア……」 「ちんちんシコシコしながらケツ穴犯してくださいッッッ!!!!!!!」 「……」 「ひぃ……ひぃ……わぁ……っ」 「喜んで!!!」  ずっぷぅぅぅッッ……ずにゅにゅうぅぅッッッ♡♡♡♡♡♡ 「お゛ッはぁアァーッッ♡♡♡♡ ア゛ーッ♡ ハァーッッ!!!! ん゛あァーッ♡♡♡」 「はぁーっ、気持ちいい。ずっとこうしたかったよロクサリオンッ♡」  オズスのエラの張ったカリで直腸の内壁をごりごりと削られ、ロクサリオンはぶっ壊れたような悲鳴を上げつづける。さらにじんじんと熱を持った陰茎を激しく擦られ、泣きわめくロクサリオンの声は家の外まで響いていた。 「あ゛ーッ!!! チンポぉ♡ オズスのちんぽきもちいいッ♡ もっとちんぽしてぇッ!!! ちんちんもごしごししてぇッ♡ きもちいいッ♡♡ ちんちんもお尻も溶けちゃうよぉッ!!!!  ぎもぢいいーッ♡♡♡♡」 「はぁ~ッ♡ 俺も気持ちいいッ♡ ずっとこうしてたいッ♡ いっぱいこうしようね! もう俺なしじゃいられないようにしてあげるッ♡ こうやって俺たちずっと永遠にくらそうねッ♡ ロクサリオンッッ♡♡♡」 「あ゛ひぃーッ♡ イぐーッ♡ イぐイぐーッ♡ イッぐぅ……ッ♡♡♡」  オズスの熱い迸りが痒みに腫れた敏感な粘膜に放たれ、その熱がロクサリオンの疼きを癒す。腹の奥に精をぶちまけられるのは男として屈辱のはずなのに、今の彼にとってそれはとても安心をもたらすものだった。  それからロクサリオンは毎日のようにオズスに犯され、生前得られなかった快感を無理に注ぎ込まれ繰り返し絶頂させられて過ごした。オズスの宣言した通りずっと弄られた乳首は肥大し、今では服を着ているだけで擦れて感じるようになったので絆創膏を貼っている。亀頭も敏感なのでズボンも下着も穿かずに丈の長いチュニックを着て過ごした。そしてオズスの気分でいつでもそれを捲り上げられ、簡単に後ろを犯されていた。  オズスはそれからもいろいろなやり方でロクサリオンを弄った。それはもう開発を通り越して調教と言っていいほどに執拗だった。そのうち家以外でもそれは行われるようになり、彼はシャリアのカカシの前で見せつけるようにロクサリオンを犯すのを特に気に入っているようだった。ロクサリオンのかつての憧れの女の似姿はそんなふうに淫らに交わりあう二人を見ても「本当に仲がいいのね」としか言わなかった。  ここでの生活は食うか寝るかまぐわうかしかない。それ以外は別に世話をしなくても勝手に育つチシャの畑をいじってみるくらいしかすることがなく、ロクサリオンはあまり物事を考えなくなっていった。その日はオズスが悪魔としての仕事をするために箱庭におらず、ロクサリオンは朝からぼんやりと過ごしていた。 (何にもない日は久しぶりだな……こうしてると里が滅んだことすら嘘みたいだ)  かつてロクサリオンはただの農夫で、将来もずっと畑を耕して過ごすのだと信じていた。 (そういえば……どこからきたのか黒い子ヤギがチシャを勝手に食べていたことがあったな。父上は殺せって怒ったけど、可愛そうで逃がしてやったんだった。そのあとこっそり飼っていて、でも気が付いたらいなくなってたんだ)  この箱庭はオズスがロクサリオンの記憶から作ったものだと、睦言の合間に言っていた。だったらあの子ヤギだっていていいのにどうしていないんだろうと彼は思う。可愛い子ヤギだった。黒く縮れた毛と、金色の目。 「あっ……」  その姿を思い出した時、ロクサリオンの頭の中で繋がっていなかった記憶が繋がる音がした。その音は、小さな黒い頭を撫でたときの感触をも彼に思い出させてくる。あの子ヤギを撫でていた時、ロクサリオンは確かに穏やかで幸せだった。その幸せは記憶と共に失われてしまったけど。 「気が付いちゃったんだ」  背後からかけられた声に振り向くと、そこにはオズスが立っていた。エルフをまねた姿でも生前に側近をしていたときの人間の姿でもなく、彼は頭から尖った角を生やし、下半身は黒い毛で覆われ、蹄のある足でそこに立っていた。 「オズス……」 「あんたの作ったチシャ、すごく美味しかった。だから、あんたには幸せになって欲しかった」  オズスは三日月を寝かせたような瞳孔の金色の目でロクサリオンを見つめている。その目は感情を読むのが難しい異形の物だったが、何かを惜しんでいるようにロクサリオンには見えた。 「ロクサリオン、俺といても幸せじゃない? もう終わりにする? ロクサリオンが望むなら、俺、魂を食べてあげる」  オズスの言葉に、ロクサリオンは少しためらってから尋ねた。 「私の魂を食べたら、オズスはそのあとどうするんだ」 「どうもしないよ。ロクサリオンがいなくなった寂しい世界で一人で生きるだけ」 「……オズス」  ロクサリオンは目を閉じて、そして再び開いた。その瞳はとても澄んでいて、オズスが子ヤギだったころに見た彼の目と同じ色をしていた。オズスはロクサリオンの生涯を見守り、そして死後には魂を食べず、快楽を与え続けている。何故そんなことをするかの答えを、ロクサリオンは問いの形で口にした。 「私を愛してくれているのか?」 「……うん」 「なら……」  私から離れてくれるな。そう言って、ロクサリオンはオズスを抱きしめた。 「俺、ロクサリオンを愛してる」 「私は、オズスから愛されて生きていた」  魔王ロクサリオンはいつもオズスという青年を側に置いていたと後世の書物には記されている。だが、彼らがどんな関係であったのかは所説あって定かではない。  二人の関係は当の本人たちだけが知っていればいい。その秘密を閉じ込めた箱庭で、二人は今も抱き合っている。

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