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「皆さんがそう言うのは頷けます。ですが、今は姫宮様のことを信用し、暖かく迎える準備をしましょう。決して姫宮様の立場が危うく、妨げになりませんように」
さっきよりも語気を強めて言った。
今窘めておかないと本当に実行に移し、最悪な結果になると思われているのだろう。確かにこのままだと冷静な判断をせず姫宮の立場も、自分達の立場が危うくなるだろう。それこそ印象が良くない。
自分の立場は危うくなってもいいと思っていても、今度は御月堂の立場が危うくなってしまうため、大人しくしているのが適切な判断だろう。
何とも歯がゆいものだが、立場上仕方ないことであった。
「改めて姫宮様に対する気持ちが知れたことですし、今日も寒い中帰ってこられる姫宮様のために暖かい準備をしましょう」
「当初の目的が変わったような気がしますが⋯⋯まあ、せっかく来たことですし、私も姫宮さんのお出迎えの準備を手伝いますよ」
続けて江藤が張り切って持ち場に行った。
今日は何を召し上がりたい気分なのだろう。今日はいつ頃お帰りになられる予定なのだろう。用意した料理の口に合えばいいのだけど。
皆が皆、それぞれ話し出しては楽しい雰囲気に包まれる。
全ては身の回りの世話をしている主のために。
今日も愛しき方がささいなことでも幸せだと感じられますように。
そう願って。
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