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脱童貞したくてデリヘル呼んだら童貞も処女も頂かれた話

 白い壁紙と、落ち着いた橙色の照明。  読み書きができる机や、服をかけるクローゼット。  ビジネスホテルのような内装の部屋だけど、決定的に違うところがいくつもある。    固く閉ざされたカーテン。  部屋を占領する大きなベッド。  ベッドサイドにはローションとスキンが綺麗に並べられていて、部屋の隅には大人のおもちゃが売られている箱。  ここはまごうことなきラブホテルの一室だ。    白い清潔なシーツが張られたベッドは今まで見たことがないくらい大きい。  ふかふかのマットレスに、頑丈なベッドフレーム。  これならどれだけ飛び跳ねても嫌な音はしないはず。  きっと大丈夫。  肌触りのいいガウンを羽織りベッドに腰掛けた俺は、その膝の上で握り拳を作った。  ラブホテルには何度も来たことがあるけれど、俺がこんなにも緊張しているのは何故か。  答えは単純。  これから俺は、セックスするからだ。  何を当たり前のことを言っているんだって?  ラブホテルですることと言えばひとつしかない?  いやいや、それができなかったのが今までの俺なんだよ。  自慢じゃないが、俺は巨根だ。  男の憧れだと思うだろ?  ところが、巨根は不便極まりない代物だ。  何も考えずにトイレをしようとすれば便器に着地して不衛生極まりなく、空気椅子で用を足す日々。  銭湯に行けばジロジロ見られて、まるで珍獣のよう。  バーで出会った可愛いネコちゃんとホテルに入っても、巨根すぎて逃げられてしまう。  奇跡的にお付き合いすることができても、結局巨根が原因でセックスができず浮気されて傷心するだけ。  いいことなんてひとつもない。  こんなに立派な息子が股間にぶら下がっているのに、俺は一生童貞のままなのか?  やけ酒を煽りながら悶々としていたら、バーのママからデリヘルを呼べばいいと提案されたのが二週間前のこと。  お金を払ってまでセックスしたいのかと聞かれれば、答えはノーだ。    でも、思ったんだ。  プロなら、俺の巨根を受け入れてくれるはず。  それに、ネコちゃんを傷付けず巨根を受け入れてもらえるコツが聞けるかもしれない。  俺はドキドキしながらデリヘルサイトを検索し、巨根を受け入れてくれそうなベテランネコちゃんを探した。  そして、今日。  悩みに悩んで決めたベテランネコちゃんを予約したのだ。  ベテランネコちゃんは「リキ」という源氏名だ。  デリヘルサイトに掲載されていた顔は中性的で、だからといって女っぽいわけでもない。  細い眉に、怪しく細められた目。  緩やかに弧を描く口元には黒子があってすごくエッチだ。  紹介文には「どんなに大きくても全部受け入れます」と書いてあった。  どんなに大きくても、か。  本当かなぁ……?  本当だったらいいな……。  期待と不安が胸の中をグルグル回っている。  早く予約時間にならないかな。  スマホで時間を確認しようとした時だ。  ピンポーン……  部屋のインターホンが鳴った。  リキさんが来たんだ。  俺は深呼吸して心を落ち着かせ、ゆっくりドアを開けた。 「こんにちは。(あお)さんですか?」  低くハスキーな声。  顔はデリヘルサイトにアップされていた写真と変わらずとても綺麗だ。  身長は一八〇センチある俺よりも少し高くて、服の上から見ても体格がいいことがわかる。  シンプルなシャツとスラックスは、彼の体を魅力的に見せていた。 「はっ、はい」 「ご指名ありがとうございます。Heavenly Loveのリキです」 「よろしくお願いします」  リキさんの美しさで目が潰れそう。  心臓がバクバクする。  緊張した俺は、錆びついた人形のようにぎこちなく頭を下げた。 「デリヘルは初めてだったよな。緊張せずにって言っても……無理か」  ふふっと妖艶に笑ったリキさんは、ガチガチになった俺の手を引いてベッドまでエスコートしてくれた。  本当なら、タチである俺の役目だ。  申し訳ない気持ち半分、スマートな振る舞いにときめく気持ち半分。  リキさんの手はしっとり潤っている。  その指先が、俺の手の甲をゆっくりと撫でていく。 「ロングコースだから、焦らずリラックス。敬語もなし。な?」 「えっと、うん……」    その問いかけに、蚊の鳴くような声で返事をする。  だって、リキさんの顔は俺の好みど真ん中なんだもん。  まじまじと見たいけど、なんだか恥ずかしくて直視できない。  緊張してしまって、声が震えてしまうんだ。  そんな俺の醜態も、リキさんにとっては興奮材料だったのかも知れない。  俺をベッドにそっと押し倒したリキさんは、見せつけるように舌舐めずりをした。   「ゆっくりするは本当なんだけど、まずは|こ《・》|こ《・》、見せてな」 「え、あっ……!」    大きな手がガウンの隙間から入り込み、腰紐より下が開かれた。  晒されたそこには、俺の巨根が鎮座している。  いきなり外気に晒されて少し小さくなっているけれど、それでも普通の人と比べたら大きい。  至近距離で、性的な意味合いで見られている。  いつもだったら間髪入れずに「ひぃっ!」と悲鳴が聞こえるんだけど……。  さすがプロと言えばいいんだろうか。  リキさんは爛々と目を輝かせながら俺のを見ている。    今までベッドの上で俺の巨根を見て、怯えず、熱い視線を向けられたことなんて一度もなかった。  でも、今、やっと欲しかった視線が向けられている。  嬉しくて、恥ずかしくて。  もっと見てほしいような、今すぐ隠したいような……。  とにかく、俺の頭の中はお花畑状態だ。 「メッセージに書いてくれていた通り、本当、立派だな。これじゃ怖がられちゃうのも無理ない」 「やっぱり、そうなんだ?」 「だって、萎えてる状態でこれなんだろ? これが勃ったらって想像したら、プロの俺でもちょっと考え直す」 「えっ……てことは……」  プロのリキさんでも、俺の巨根は無理ってこと⁉︎  もう帰っちゃう⁉︎  俺、一生童貞が確定⁉︎  絶望で涙がじわりと滲む。  でも、その目尻に溜まった涙を、リキさんは指先で優しく拭ってくれた。 「大丈夫、泣くなって。ちゃぁんと碧の童貞、もらってやるから」  自信に満ち溢れた笑顔をしたリキさんは、豪快に服を脱ぎ捨てて裸になった。  筋肉で覆われた体は逞しく、まるで彫刻みたい。  その足の間にぶら下がっているのは、俺ほどじゃないにしろ大きめのチンコだ。  それは緩く勃ち上がっている。  俺の巨根を見て勃ったってことでいいのか?  本当に現実⁉︎  嬉しくてリキさんのチンコをじっと見ていると、リキさんは不敵に笑って、その体を反転させた。  俺の胸あたりで体を跨ぐようにして膝立ちになったリキさんは、立派なチンコの代わりに、引き締まった尻が突き出す。   「巨根だって聞いてから慣らしていたんだけど、もうちょい広げておいた方がいいと思ってな」  振り返って俺を見下ろしてきたリキさんは上機嫌だ。  太い腕を後ろに回して長い指で尻を掴み、左右に開く。  見せつけられたのは、毛の処理がされた双丘の奥。  ピンク色に縁取られたアナルは刺激を待っているようにヒクヒクしている。  そこを、いつの間にかローションを纏ったリキさんの指が円を描くように撫でていく。 「リップサービスじゃないんだが、俺が見た中で碧のチンコが一番デカい。だから、ケツの準備は普通よりも念入りにしないとな」 「準備って……」  ごくりと唾を飲み込む。  つまり、リキさんはこれから……?  俺の予想は当たりだった。  リキさんは躊躇う素振りも見せず、一気に人差し指、中指、薬指をアナルに沈めていく。  ぶちゅぅぅっとローションと指が混ざる音がする。  と思ったら、三本の指はすぐに動き始め、グチュグチュと卑猥な水音が響き始めた。  根本の動きを見る限り、三本の指はバラバラに動いているみたいだ。 「えっろ……」 「ここに、碧のチンコが入るからな」  殊更に水音が立てられ、指が激しく動いていく。  や、やばい!  エロすぎる!  今まで散々AVにお世話になってきた。  こういう画角の映像もあって、俺は一人で寂しくシコシコしていた。  それが今、現実になっている……!  大興奮した俺の無垢な巨根は無事なはずがない。  さっきまでは「見られて怖がられないだろうか……」とビクビク震えていた俺のチンコは、そのすべてを忘れたようにバッキバキに勃っていた。 「お、完勃ち? 可愛いな」  それに気付いたリキさんは、器用にアナルを弄りながら四つん這いになった。  何をするんだろうか。  首を起こし、リキさんの勃起したチンコ越しに見えたのは、だらだらと先走りを流している俺の巨根がリキさんの口に包まれていく光景だった! 「う、ぉ……や、やば……!」 「ん〜〜? ひもちいい?」 「ああっ……喋らないでッ、やばぃいい……」  気持ちよくて情けない声が出てしまう。  でも、仕方ない。  俺はフェラも初体験なんだから。  リキさんの口の中は暖かくて柔らかい。  肉厚な舌が竿に絡みつき、吸い付きながら唇で扱かれる。  ジュブジュブと響くフェラの音が耳を犯していく。  気持ちよくて堪らない。  俺は与えられる快感に身を任せた。 「ふっ……腰、動いてる」 「だって、ぁあッ……気持ち、いいから、ぁ……」  リキさんの揶揄うような呟きも、俺を煽る材料でしかない。  俺はより一層、弾ける快感を追いかける。    すると、何かに掴まっていたい衝動に駆られた。  俺はリキさんの太ももに手を沿わせ、固い筋肉の感触を楽しむ。 「なぁに遠慮してんだ? 触るならこっちだろ」 「え? えッ……!」  アナルに埋まっていた指が抜かれ、その手が俺の手を掴む。  ぬめりが分けられた俺の指は、リキさんの指に導かれて、媚肉の中へと沈んでいく。  リキさんのアナルの中はとても熱い。  俺の指とリキさんの指が二本ずつ入っていて、広がった肉輪がギュッと締まる。  けれど、媚肉はふわふわしていて柔らかく、リキさんの呼吸に合わせて蠕動していた。 「うわ、ぁ……柔らかい……」 「もうちょい慣らすから手伝って。押しながら撫でるって言ったらわかるか? こんな感じ」  見本を見せるようにリキさんの指が奥へと進んでいく。  それに倣い、小さな円を広げるように媚肉の壁を押しながら指を滑らせた。 「そうそう、上手。あと、ここな」  リキさんの指に誘導されたのは、腹側のしこりだ。 「前立腺……?」 「ッ……正解。ここも触りながらな?」 「うん!」  息を詰めたリキさん。  前立腺を触られると余裕が崩れたみたいで、俺は嬉しくなった。  リキさんの指の動きに合わせてアナルを解していき、時々前立腺を擦る。  すると、負けないと言わんばかりにフェラが激しくなって、すぐにイキそうになった。 「リキッ、さん。俺、リキさんの中でイキたい」  ぐちゅり、と前立腺を押し潰してねだってみる。  その言葉に、リキさんがぴたりと動きを止めた。 「いいぜ。もう大丈夫なはずだからな」  体を反転させたリキさんは、ベッドサイドに用意していたスキンのパッケージを開けた。  そして、見せつけるように舌を出し、ローションが滴るそれを口に含んだ。  え、と思った時には、リキさんは俺のチンコにキスしていた。  温かい舌が鬼頭を舐め、舌が這うと同時に薄いスキンが器用に被せられていく。  肘で体を起こし、自分の股間を見る。  プロの成せる技だ。  もちろんAVでしか見たことがないそれに、俺の巨根はさらに大きくなった。  これ、ちゃんとリキさんのアナルに入るんだろうか。  不安と期待で心臓がバクバクしている。 「大丈夫だって。ちゃんと気持ちよくしてやるから」  情けない顔をしていたからだろうか。  リキさんの手がするりと俺の頬を撫で、宥めるように、柔らかい唇が俺のそれに重なった。 「入れるぞ。しっかり見とけよ」  俺の腰に跨ったリキさんは、手を後ろにつき、俺の方に腰を突き出した。  完勃ちして涎を垂らすチンコも、吊り上がった袋も、摩擦でぷっくり盛り上がったアナルの縁も丸見えだ。  リキさんの手が俺の巨根を掴み、アナルにぴたりと当てた。  俺のチンコの先端に、リキさんのアナルが吸い付いてきているのがわかる。  今すぐ腰を突き上げたい衝動に駆られたけれど、歯を食いしばって我慢だ。  リキさんを怪我させたくない。  ぶちゅ。  ローションが潰れる音がした。  ゆっくりと、でも、確実に。  俺の巨根がリキさんのアナルに飲み込まれていく。  柔らかい媚肉は俺の巨根を優しく包み込み、締め付けてくる。 「く、ぅ……ッやば、ぁ……リキさん中、気持ちいい……」 「俺も、気持ちいいぜ。圧迫感がやべえ。支配されてるって感じ」  支配されているのは俺の方だろ。  どう考えても、リキさんがセックスの主導権を握っているんだから。  二人で息を詰めながら、深く深く結合していく。  俺の巨根の先端がリキさんの奥をついた時、俺たちは汗だくになっていた。 「あーあ。やっぱ全部は入らねぇか」 「あとちょっと、かな」 「だな。単純に中に入れるなら、ここが限界ってこと、だ!」 「ああッ……ちょ、急に動かないで!」  リキさんはさっきの慎重な動きが信じられないくらい、激しく腰を振り始めた。  俺の先端が奥を捏ねるように腰を前後にしたかと思えば、腹側にある前立腺が押し潰されるように角度を調整して上下に跳ねる。  俺のチンコは複雑な媚肉の動きに翻弄されていた。 「無理。俺な、碧とのセックス、すげぇ楽しみにしてたんだ」 「え、え、なんで⁉︎」 「要望欄にびっちり書かれた巨根の悩み。あれさ、俺の期待を煽ったんだよ。どんだけ凶悪な巨根なんだーって。そしたら、理想のチンコだったわけ」 「理想のチンコ?」 「長さも太さも十分。亀頭はデカいし、カリの段差もパーフェクト。竿は中太で、俺の理想ど真ん中! 早くここにぶち込みたくてウズウズしてたんだよ」  リキの腹の前でビタビタと揺れる立派なチンコ。  その根本あたりに大きな手が添えられる。  ハァ……と満足気に吐き出された吐息。  見上げると、恍惚とした表情を浮かべたリキがいた。 「ッエロすぎだって……!」  腰に伝わる快感は強烈で、エロい顔しているリキが堪らなくて、ベッドに手をつけてなんかいられない。  俺は体を起こし、自由気ままに動く腰を鷲掴んだ。 「そんなに、これが欲しかった?」 「ああ、もっとくれよ」  リキの動きに合わせて腰を突き上げれば、舌舐めずりをして煽られる。  ああ、もう、無理だ。   「ッじゃあ、遠慮なく……!」  プツンと理性の糸が切れたのがわかった。  俺は反動をつけると、リキさんをベッドに押し倒した。  見下ろしたリキさんの口元は弧を描いている。  計算通りって言いたいみたいだ。  そんな顔されると、泣かせたくなる。  ムクムクと膨れ上がった嗜虐心。  俺は、リキさんの反応が良かった前立腺を狙いながら腰を突き、奥の壁をゴチゴチ穿つ。 「ぉ、う……そう、上手、ぁ……もっと奥、来いよ」  俺の肩口の手を回したリキさんは、さらに足を俺の腰に絡めてきた。   「そんな、煽ってッ、いいんだ?」 「いいに決まってる、は、ぅ……全然足りねぇんだよ」 「くっそ……!」  リキさんの中が俺のチンコを締め付ける。  気持ちよさと、リキさんを満足させられない悔しさで腰を激しく打ち付けていく。  快感に支配された頭で、ふと閃いた。  リキさんは「もっと奥」とか「足りない」って言っていた。  それってつまり、結腸を抜いてほしいってことでは?  結腸を抜くと、ヤバいくらい気持ちいいらしい。  それは、ゲイバーに入り浸っていたから知っている。  それを目当てに俺に近づいてきたネコもいるくらいだ。  まあ、結局、俺の巨根に怯えてセックスの「セ」の字もないくらい接触しなかったけどな。  ともあれ、もしかしたらリキさんは結腸を狙ってほしいのかもしれない。  知識|だ《・》|け《・》なら豊富にある。  俺は奥の閉じた壁を解すように動き始めた。 「ッあ、あ、やばッ奥……ッいい!」 「それは、よかったッ……よ……ッ」    奥の壁に切先を押し付け、捏ねるように腰を動かす。  時々、忘れた頃に小刻みに腰を動かすと、リキさんの中がぐにゃりと動き、その余裕そうな顔が崩れた。 「んあッ……あ、碧、上手すぎ、ぃ……ぁあッ……」 「それら、ありがとう……!」 「あ、あ……待って、待て、ちょっとッ……止まれぇ!」  静止する声は必死だ。  でも、蕩けるくらい気持ちよさそうな顔をして言っても説得力がない。    潤んだ瞳に、赤くなった頬。  喘ぎ声を上げる口の端からは涎が垂れている。  俺を静止するどころか、思いっきり煽ってきているじゃないか。   「無理、だ!」    そう言って、思いっきり奥を穿つ。  すると、ぐぽッと音がして、俺の先端がリキさんの奥の奥に突き刺さった。 「ぉ、ぐッ……あ、ぁあッ……!」 「くぅッ……締め付けすごッ!」  リキさんのアナルは俺の巨根をギュゥッと締め付け、奥は吸い付いてくる。  さっきまで離れていた俺の腰とリキさんの尻がぴたりとくっつくのも最高に気分がいい。  俺は夢中で腰を振った。 「あお、碧ッ……もうイクッ……イク、からぁ……」 「リキさん、俺もッ……」  肩口にあったリキさんの腕が首に回った。  ぐっと引き寄せられ、舌を絡めるキスをする。  息が上がっていて苦しいけど、それさえも気持ちいい。 「ん、ふ……」 「んぁ、え、ぁ……」  腰を思い切り突き上げて、リキさんの奥の奥で果てる。  リキさんも、ビクビクと腰を跳ねさせ、断続的に白濁を散らせてイッてくれた。    胸の奥に巣食っていた飢餓感が霧散する。  満たされた充足感に、リキさんにギュッと抱きついた。 「脱童貞、どうだった?」 「最っ高!」 「そりゃあ良かった」  ふはっと笑ったリキさんは、チュッチュッと俺の顔中にキスをしてくる。  よくできましたと言われているようで、なんだか照れ臭い。  ゆっくり腰を引いてリキさんの中から出ると、先端に大量の白濁が溜まったスキンを手早く処理する。  リキさんの割れた腹筋の上に散った快楽の証は、その間にリキさんが処理していた。  俺がやりたかったのに……。  ちょっとブスくれていると、ぐいっと腕を引かれてリキさんの胸に飛び込んだ。 「碧がお客さんなんだから、俺がすることだぞ」 「でも、俺がやりたかった」 「可愛いな。連れて帰りたい」  チュッと宥めるようにキスされる。  これこそリップサービスだろう。 「可愛いって……。デカい男に可愛いはないんじゃ?」 「俺の方が碧よりデカいぞ?」 「確かに……」  リキさんと俺の体を見比べる。  やっぱり、リキさんの体は付くべきところに筋肉が付いていて綺麗だ。  こんなに体格が良くても、アナルで感じていた。  俺はこのタッパと巨根からタチとして誘われていたから自然と自分のことをタチだと思っていた。  だけど、リキさんはタチもネコもするみたいだし……。  俺も、後ろで気持ちよくなることもできるんだろうか? 「ん? どうした?」 「え、いやぁ……。後ろって、そんなに気持ちいいのかなって」 「お、興味ある?」 「ちょっと。いつもネコから誘われるから、自分はタチだと思ってたんだけと、リキさん、めちゃくちゃ気持ちよさそうだったから……」 「じゃあ、ネコやろう」  がばりと起きたリキさんに腕を引かれて体を起こす。  そのまま連れて行かれたのはバスルームだ。 「え、ネコやろうってどういう……?」 「まだまだ時間はあるし、せっかくだからな」  ニヤリ、と笑ったリキさんはとても楽しそうだ。  鼻歌を歌いながらシャワーベッドを取り替えている。    えっ、待って!  今からってこと⁉︎  心の準備をする時間は⁉︎  抵抗する暇なんてなかった。  混乱している間にも、あれよあれよという間に後ろを洗浄されていく。  一度も性器として使ったことがない俺のアナルは固く閉じていた。  ぬるま湯が入ってきて、それを出す作業も一苦労で、気持ち悪くて……。  でも、リキさんは俺の体をしっかりと支えてくれて、優しく声かけをしてくれた。    さっきとは違うリキさんの雰囲気。  甘い眼差しに胸がキュンとする。  どうしよう。  さっきまでエロくて可愛いと思っていたリキさんが、エロくてかっこよく見える。    リキさんは、洗浄で腰から力が抜けた俺の体を力強く抱え、ベッドに寝かせてくれた。  俺の上に覆い被さってくるリキさんには、匂い立つような色気があった。 「リキさん……」 「優しくするから、碧の処女も俺にちょうだい?」  首を傾げられておねだりされる。  これを断れる人って、いないだろ。 「リキさんになら、全部あげるよ」 「その言葉、忘れるなよ」  一回目のセックスは性急だったけど、二回目は全然違った。    リキさんはゆっくりと唇を重ねてきた。  何度も触れるだけのキスをして、唇を啄んで。  焦ったくなって舌を伸ばすと、ざらついたリキさんのそれが絡みつく。 「ふっ……ん、ぁ……」  キスってこんなに気持ちいいものだったっけ。  激しくはないけど、ゆっくりと深い口付けは、洗浄作業で落ちた体温を上昇させていく。 「かぁわいい」  キスの合間に落とされるリキさんの「可愛い」  俺に当てはまるはずがない言葉なのに、リキさんに言われたら、なんだかむず痒くて、恥ずかしくて、やっぱり嬉しい。  キスに夢中になっていると、あのしっとりとした手が耳元をくすぐった。  あ、ヤバい。  その辺は……。 「ひんっ……そこ、は……」 「首? ここ、いいんだ?」  耳の後ろから肩に続くライン。  そこは、俺の一番弱いところだ。  学生の時、友達にふざけて触られて、ぞくりと肌が粟立ち、そこが弱いことを知った。  変な声が出るから、誰にも触らせないように気をつけていたのに、リキさんは容赦なくそこを撫で回す。 「俺を抱いてた時の声もいいけど、そういう可愛い声もいいな」 「だっだめ、本当、そこは、ぁ……」 「いい、の間違いだろ? ほら、やり直し」  ねっとりと首筋を舐められ、ジュッと音を立てて吸われる。  それだけで、俺は腰砕けになった。 「んあぁあッ……いい、気持ちいい……」 「正解」  ちゃんとやり直したのに、リキさんは首筋を虐めるのをやめてくれない。  それどころか、どんどんエスカレートしてくる。    肩口から順番に吸い付きながら啄んで、耳元にたっぷりの吐息を吹きかけていく。  耳の裏辺りが反応がいいとわかると、そこを執拗に舐ってきた。 「リキさッ……リキぃ……」 「首でこんなになっちゃって、後ろ弄ったらどうなるんだろうな?」  するりと胸元から腹、そして固く期待に勃起した巨根をなぞられる。  指先が行き着いた先は、俺のアナルだ。  リキさんの手の中で温められたローション。  それを纏った指が、俺のアナルの周りを優しく揉みしだく。  バスルームの時にある程度慣らしたそこは、少し綻んでいた。 「いきんで」 「うん……ふ、っう……」  つぷりと中に入ってきた指が、ゆっくりと奥に進んでいく。  違和感はあるけれど、気持ち悪くはない。  だって、リキさんの指だからだ。  しばらく止まっていた指だったけど、中に馴染むと動き始めた。  上下に揺するように動き、時々肉壁を押しながら撫でられる。  不意に、腹側の浅いところに触られて、ギュンッと腰に熱が集まった。 「ふ、ぅ……ああッ……そこ、それッ……!」 「みぃつけた。碧の前立腺はここ。ちゃあんと覚えような」  その言葉通り、リキさんは前立腺を中心に責めてきた。  容赦ない快楽の波は、俺の理性を白く染めていく。  アナルが柔らかく解れ、リキさんの指が抜かれた頃には、俺はびっしょりと汗をかいていた。 「もういいかな。俺の、挿れるぞ」 「う、ん……」  息も絶え絶えに答えると、リキさんは俺の足を肩に担いだ。  脱力している足はきっと重いはず。  なのに、重さを感じさせない動きに惚れ惚れとする。  火傷しそうなくらい熱いリキさんのチンコが、俺のアナルに当てられた。  その大きさに少し怖くなるけど、前戯であれだけアナルで気持ちよくなれたんだ。  リキさんのチンコだって、挿れられたら気持ちいいはず。  期待を胸に深呼吸していると、俺の呼吸に合わせてリキさんが俺の中に入ってきた。 「う、あ、ぁ……入って、きた、ぁ……」 「はぁ、碧の中、すっごい気持ちいい」  痛みはないけど圧迫感が凄い。  俺の狭い粘膜を、固い雄の象徴が擦り上げていく。  俺に抱かれていたリキさんは「支配されている」と言っていたけど、それがよくわかる。    みっちりと俺の中を占領したリキさんのチンコ。  これ以上は進まないところで止まったけど、俺の尻とリキさんの腰は少しだけ離れている。  それってつまり……。 「いきなり結腸は抜かないから安心しな。その代わり、中の良さをたっぷり教えてやるよ」  俺の不安を感じ取ったリキさんがほくそ笑む。  ちょっと待って。  安心できない顔なんだけど! 「りっリキさん、あの……」 「まずは、前立腺からな?」 「え、あのッ……あッああッ……ダメッいきなりはぁああ!」 「お、ちゃんと覚えてた。偉い」  少し引き抜かれたリキさんのチンコはゆさゆさと小刻みに動き、前立腺を狙って肉輪を抉ってくる。  えげつない快感の嵐に、俺はリキさんにしがみつく。  バチンッバチンッと重く弾ける快楽に、涎を拭う余裕がない。  口から溢れるのは、意味のない喘ぎ声だ。  同時に、首筋を舐められながら、バキバキになったチンコを扱かれるとひとたまりもなかった。   「んあ、あッ……全部、ヤバいッ……リキさん、すぐイッちゃうってぇ……!」 「いくらでもイッていいぞ?」 「そんなッぁ……あ、ああッダメダメッや、イッくぅ……!」  白い閃光に焼かれ、ビクビクと背中を逸らして白濁を飛び散らせる。  強すぎる快感に呆然としていると、労いのキスが落ちてきた。  ゆっくりと唇を食まれて、そこでリキさんに告げられた言葉に絶句する。 「まだ、終わってないぜ」 「へ? え、なッ……あ、リキさん⁉︎」  俺の問いに応えることなく、ぐちゅぅッと奥を穿たれた。  そこは、最奥に続く突き当たりの壁だ。 「奥の気持ちよさも知っとかないとな?」  だって言っただろう?  中の良さをたっぷり教えてやるって。  ぎらりと瞳を光らせたリキさんは獣だった。  容赦なく俺の奥を突き、チンコを押し当てて奥をグリグリ捏ねてくる。  それに加えて、イッたばかりのチンコを扱いて、特に亀頭を撫でていく。  ひとつひとつの刺激が重すぎて、押し寄せる快感に耐えられない。  溜まっていくそれを散らすように頭を振るけれど、あまり意味がないようだった。  不意に、尿意に似た感覚が腰を震わせた。  これはまずい。  ここでようやく、リキさんが俺に何をさせようか思い至った。   「リキさんッ無理、無理ッ……」 「何が無理って? ああ、もう出そう?」 「出るからッ……これは、本当ッ恥ずかしいからぁ……!」 「見せてよ、恥ずかしいところ」  ぐりっと奥を一際強く突かれ、鈴口を抉られる。  そのダメ押しに、俺は敗北してしまった。 「やッ……あ、ぁあああああ!」  俺のチンコからプシッと勢いよく飛び出したのは、大量の透明な液体……潮だ。  射精感に似ているけど、放尿の時の快感にも似た感覚が体に走る。  ヤバい。  めちゃくちゃ気持ちいい。  クセになりそう……。  くたりと体から力を抜いて放心している俺に、リキさんはまた深いキスをくれた。 「碧の処女、ごちそうさまでした」  低く掠れた声が堪らない。  俺は重たい腕を上げ、さらにキスをねだった。  ベッドが濡れてしまったので、俺たちは再びバスルームに移動した。  あとは色んな液体で汚れた体を綺麗にして、このラブホテルから出るだけ。  そう思うと、急に寂しくなってきた。 「離れたくない」  湯船に浸かり、リキさんの間に体を収めた俺は、ぽつりとうっかり呟いた。  はっとして口に手を当てたけど、もう遅い。  離れたくないとか、どこのメンヘラだよ。  厄介な客にはなりたくない。  謝罪しようとして、だけど、それはリキさんの口で封じられてしまった。 「んっ……ふ、リキ、さん……?」 「俺も同じ気持ち」  リキさんは、ビニール袋に入った、タイマーをセットしていたスマホを手に取り、どこかに電話をかけ始めた。 「店長? リキなんだけど。俺、このお客さんを最後に辞めるわ」 『急すぎるんだけど……まあ、そういう契約だしな。わかった』 「給料は振り込みでよろしく」 『了解』  漏れ聞こえる電話の内容に、俺は青ざめた。  今、リキさん、デリヘル辞めるって言った?  どういうこと⁉︎ 「今の電話、は?」 「聞こえてただろ。店、辞めるんだよ」 「いや、だって、お金とか」 「俺、基本株で稼いでんだよ。それこそ一生かかっても使いきれないほどな。デリヘルは暇つぶしでやってただけだ。心配すんな」 「でも、なんで」  問いただす俺がうるさかったんだろうか。  リキさんは俺の口を唇で塞いできた。 「碧の全部、俺にくれるんだろ? だから俺も、俺の全部を碧にやるんだよ」  これからよろしくな、と甘い口付けが落とされる。  俺は戸惑いと喜びに混乱しながら、そのキスを受け入れた。  もしかして俺、とんでもない人に捕まってしまった?  これは、脱童貞したくてデリヘル呼んだら童貞も処女も頂かれ、彼氏ができた俺の奇妙な話。  

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