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エクレア使いの宇佐美さん

「せっかく、小野がエクレア買うてきてくれたし。食べよかな」 「は? 今?」 「おん」  そこで、宇佐美が手を伸ばしてテーブルの上のエクレアの上の部分を剥がした。指先にたっぷりと生クリームを取る。  何してんのやろ? と思うて見ていると。 「うわっ」  宇佐美が生クリームを俺の両乳首に塗りたくってきた。ぬるりとした感触が胸の辺りに広がる。 「宇佐美??」 「いただきます」 「は? やっ、あっん」  俺の左乳首に勢いよく宇佐美がしゃぶりついてきた。舌を使ってペロペロ舐められる。同時に、宇佐美の左手の指先が俺の右乳首に付いたクリームをゆっくりとなぞりながら乳首の周りに広げていった。  なんやこれ。めっちゃ、気持ちええんやけど。  宇佐美の舌や指がクリームで滑りがよくなったからやろうか。いつもの宇佐美の弄りを上いく快感やった。  宇佐美が触り出して一分も経ってへんのに。俺は、理性が吹っ飛ばされそうになった。 「あっ……あっ……んんっ……」  声を抑える余裕もない。 「こっちも、いただきます」  宇佐美が今度は俺の右乳首を咥えた。交代して、右手は左乳首を摘んで弄ぶ。 「あっ……あっ……」  俺の体が疼く。思わず腰をよじって絶え間ない快感に抗おうとした。宇佐美が抗議するように顔を上げて俺を見た。 「小野。動くと吸われへん」 「だってヤバいで、ほんまにっ」 「何がヤバいねん」 「気持ちよ過ぎててヤバい」 「ヤバくてもええやん」 「ええわけないやろっ。後が辛いんやでっ」 「後?」  そこで宇佐美が、俺のすでにえらい元気になっとる股間へと視線を移した。 「お前が()つのなん、いつものことやん」 「そうやけど、なんか、今日はちゃうねんっ」  そう。きっと誰でもそうやと思うし、理解してもらえるとは思う。乳首だけや言うても。さっきみたいに口で吸われたり、指でクリクリされたり、毎回毎回しつこくやられてみ? そりゃ、俺のアソコやって元気になるよ。感じてんのやから。生理現象やし。  やから、俺のが元気になるのはいつものことやったんやけど。ちゅーか、宇佐美やって毎回、膨らませてんのも知ってんねんで。俺があえて指摘せえへんだけで。  でもいつもは、そこにはお互い触れへんように(色んな意味で)しとった。なんせ、メインはおっぱいやから。俺の乳を触って満足したら、帰るわ、ってさっさと半ば逃げるように宇佐美が帰っていくねん。  ほんで、どうにも火照ってもうた俺の体を落ち着かせるために、それから一人で抜くのが常やった。やけど、なんや辛いねん。乳だけで悶々させられて、その後、自己処理して完結っていうんが。しかも、それは宇佐美の弄りが気持ちよければよいほど、虚しくなんねん、なんか。  今夜はいつもに増して気持ちよさが違うたし。わけの分からんままキスまでされたし。このままだと、うっかり、言うてしまうかもしれへんという危機感があった。  何をかって、それは。 「今日はちゃうって……何がちゃうん?」  そんな、悪意のないきょとんとした顔で突っ込んでこんでくれ。 「……それは言われへん」 「なんで?」 「なんでって……言うたらあかんことやから」 「……どういうこと?」 「言うたらあかんし、言いたくもないし、俺の倫理に反することやから」 「…………」  宇佐美がじっと俺の顔を探るように見つめてきた。やから。そんな無駄に男前の顔で見つめんでくれよ。  俺も普通の人間やし。それなりの本能持ち合わせてるわけやんか。そこを刺激されて、され続けとったら、もっと気持ちようなりたくなるのはしゃーないやん。  やけど、それを宇佐美に求めるのはおかしい。それくらいは分かっとる。まず、相手は男やし。この変てこな関係も異常やし。俺やってプライドはあるし。情のないセックスはしたないし。やっぱり、セックスは好きもん同士でやるべきやと思うてるし。宇佐美はもとより、俺やって宇佐美好きちゃうし、別に。  やから。この状況に甘んじて、うっかり宇佐美に、『下も触ってくれ』とか、『最後までしたい』とか言わへんように理性をある程度は保ってないとあかん。これが、かなりの苦行なんやけど。

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