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第100話 エストレヤ イグニス
お父様と話していると執事が現れ、手には手紙を持っていた。
手紙を届け、帰りに返事をもらってくれていた。
手紙はお父様に渡され、中を確認する姿に僕は緊張しながら様子を伺った。
読み終えたお父様は一度ゆっくりと目を閉じた。
何?どうしたの?
「グラキエス公爵からだ。」
公爵…ってことはアティのお父様。
「はぃ。」
「明日の訪問が許された。」
「…はいっ。」
良かった…アティに会えるんだ。
「だが、アティラン様はエストレヤと会うのを躊躇っているそうだ。」
「そんなっ。」
どうしてっ。
「…確り話し合いなさい。」
「…はぃ。」
アティは…僕が決めて良いって…アティの気持ちは婚約解消するつもりなのかな?
「泣くんじゃない。」
僕はいつの間にか泣いていた。
アティと…別れたくない。
お父様は僕の横に座り頭を撫でてくれたが、僕はその行為にアティを思い出した。
アティも、僕の頭をよく撫でてくれた。
撫でてくれるのは眠ってる時が多くて、もっと撫でて欲しくて寝た振りをしていた。
いつの間にかエッチに流れてたけど、アティに撫でられるの好きだった…。
もう、撫でてくれないの?
「大丈夫だ、きちんと話せば解消にはならない。」
「んっ。」
「それに万が一解消を言われても、エストレヤがしたくなければ公爵には私から話す。」
「…そこまでは…。」
アティと解消したくないけど、アティの気持ちも無視したくない。
「私は父親だエストレヤの為なら、何でもする。」
「…お父様っ…ありがとうっございまっす…。」
お父様の優しさが嬉しかった。
けど、そうならないようにちゃんと話します。
アティと別れないように…。
「安心なさい。」
「…はい。」
なんだか久し振りにお父様と話して、頭を撫でてもらっていたら落ち着いて眠りに誘われる。
なんだか子供に戻ったみたい。
こんなにお父様に甘えたのいつぶりだろう?
アティに甘えてばかりだったから、お父様にもつい甘えてしまう。
お父様も僕に腕を回して抱き寄せてくれたけど、アティとは違う安心感だった。
ポンポンとあやすように叩かれるとホッとして、睡魔に襲われ始めた。
ここで眠ったらお父様の迷惑になるのに、お父様の服を握り締め眠ってしまった。
人の温もりを感じながら眠るのに慣れてしまっていたので、最近はずっと寂しかった。
お父様の心臓の音を聞きながら深い眠りについた。
一度起きると僕はいつの間にか自身の部屋に移動し、ベッドで眠っていた。
誰の温もりもなく、アティの香りもしない僕の部屋は凄く冷たく感じる。
早く明日にならないかな…アティに会って温もりを感じたい。
そう思いながら再び眠った。
早く明日になりますように。
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