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第3話
あれから3日くらい立った日に、小野寺さんから連絡がきた。
「もしもし、小野寺です。」
電話は苦手なので声が上擦る。
「ははい、森です。どうしましたか。」
絶対、変な奴だと思われたな。恥ずかしい。
「ご飯なんですけど、今週の土曜日とか大丈夫ですか?」
丁度、土曜日は空いている。
「大丈夫です。」
「よかった。じゃあ、土曜日食べにいきましょう。キヨさん、なにが食べたいとかありますか。」
「えと、お肉食べたいです。」
「わかりました。じゃあ、焼肉とかどうですか。」
「大丈夫です。ありがとうございます。」
「じゃあまた、土曜日に」
「はい、また。」
疲れた。もう今日は何にもしたくない。電話ってなんでこんなに体力もってかれるんだろう。でも、土曜日の焼肉を思うと涎が溜まってきた。小野寺さん、ありがとうございます!1ヶ月ぶりにお肉が食べれます。
ついに、土曜日がやってきた。午前中はバイトしてベースの練習をしていると時間があっという間に過ぎた。小野寺さんはおしゃれな人だったから自分もきちんとした格好をしようとも思ったが、焼肉屋に行くし匂いがつくを言い訳にいつものダルダルのTシャツを着ていくことにした。そもそも他に服なんてもっていなかった。待ち合わせ場所の駅につくと、爽やかなイケメン、小野寺さんがいた。
「あ、キヨさん。こんばんは。今日はありがとうございます。」
その笑顔と陽キャのオーラに臆しながら、俺も挨拶を返す。
「こんばんは。こちらこそです。」
「焼肉屋、案内しますねー。」と言いながら小野寺さんは進んでいく。何故かわからないがさり気なく車道側を歩いてくれたり、俺の歩幅に合わせてくれたりととてもスマート道案内であった。
焼肉屋についた。メニューを渡しながら小野寺さんは申し訳なそうに続ける。
「俺、学生なんであんまりたくさんはお金ないですけど、ここは安いんで気にせず食べてくださいね。」
メニューを見ると、確かに普通の焼肉屋と比べるとかなりお得なお値段がかかれている。俺は少食な方だから1000円分も食べれば満腹だろう。
「ありがとうございます。」
小野寺さんのお勧めと、俺の食べたい肉を頼んで2人で食べる。
「あのこの前は、本当にすみません。」
小野寺さんがまた、謝ってくる。全く気にしてないし、久しぶりに肉を食べれたからむしろありがとうとまで思っている。 そんなに謝られるとこっちも罪悪感がわいてくる。
「全然、大丈夫です。もう謝らないでください。」
と、返した。ついでに話を逸らそうと話題を振ってみる。「なんで、小野寺さんは俺たちのバンドを好きになってくれたんですか。」
「俺、高三のときの彼女に教えてもらってfat cat知ったんです。それまで全くロックに興味なかったのに、fat catの演奏聞いた瞬間から、音に貫かれたといか、衝撃が走ったんです。その瞬間からファンになりました。」
小野寺さんはとても目を輝かせていってくれる。面と向かってファンとはなすのは、照れ臭くなってしまうが悪い気はしない。自分たちの音楽がロックに興味がなかった人も好きになってもらえたと知って嬉しい。
「そうなんですね。嬉しいです。」すると、小野寺さんが続ける。
「それに、この前、初めてキヨさんが演奏しているfat catみたんですけど、おれがみてきた中で1番かっこよかったです!」
その言葉を聞いたとき、俺は叫び出したいくらい嬉しかった。もちろん、俺はベースだけは誰にも負けないし、fat catのベースは俺でなければダメだと思ってやってきている。ただ、メンバー以外にはそんな言葉をかけられたことがなかった。俺の努力が認められた気がして嬉しい。でも、コミュ症すぎる俺の口からは大した言葉は出なかった。「あ、ありがとうございます。」
その後、小野寺さんのコミュ力のお陰で、俺と小野寺さんは同じ学校い通っていて、家もそこそこ近いこと、小野寺さんも一人暮らしなことなど色々な情報がわかった。そして、小野寺さんが過去問を回してくれるという神みたいな提案をしてくれて、俺はもう今年分の運を使い果たした気分だった。
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