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第18話
「んだ、そのふざけた音は!?」
ハルがサポートメンバーを怒鳴りつける。サポートメンバーがスタジオから出ていく。終わった。またダメか。俺たちのサポートメンバー探しは難航していた。一度、キヨの音を知ったハルはもう大抵のベースじゃ満足できなくなっていた。ハルがサポートメンバーにキレて、彼らが去っていく。そして、俺が新しいベーシストを探してライブハウスを周るというのがここ最近の流れだ。加えて、ハルは女遊びを覚えた。音楽で満たされない欲を満たすみたいに、毎晩、出かけていた。ハルがいつからかキヨをバンドメンバー以上の熱量で見ていることに、ずっと隣にいた俺は気がついた。全ての欲を満たすにはキヨがいないとダメなのだ。だから、ハルに騙される女の子たちを哀れに思う。正直、キヨがいない間のバンド活動は地獄だった。そんな日々の中で事件は起きる。強くない癖に、しこたま酒を飲んだハルを俺が迎えに行って、ハルの家にいれる。ハルの上着を脱がせ、水を飲ませる。そして、ハルをベッドに放り投げた。帰ろうとすると、ハルは空中に手を彷徨わせている。水がいるのかと思い、ペットボトルを持ってハルに近づくとベットに引き摺り込まれた。
「やめろ。俺は帰る。離せ。」
俺は抵抗して、抜け出そうとする。ハルは俺の上に跨って逃げられないようにしてきた。
「強がりなとこも可愛いけど、今日は甘やかして欲しいんだけど。」
そういうとハルは俺にキスしてきた。しかも舌も入れてきたやがる。こいつ、俺を女の子と勘違いしてやがる。いくら金髪でロン毛だからってそれはないだろう。ただ、俺はハルを直ぐには、押し返せなかった。このままでは良くないと思い俺はハルを力一杯殴った。すると、打ちどころが悪かったのかハルは気絶したように眠った。
今のキスでわかってしまった。最悪だ。俺はハルに求めらて、ハルの体温を感じて嬉しいと思ってしまった。俺は代わりの代わりで喜ぶ、俺が哀れんだ女の子たちよりよっぽど哀れな奴だった。バリカンを持って俺は洗面所に向かった。女の子に間違われるなんてごめんだ。こんな惨めな気持ちになりたくない。俺はバリカンで髪を剃り落とした。翌朝、俺の姿を見てハルは大爆笑した。打ちどころが悪くて、あの時に死んでしまえばよかったのに。
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