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20.告白されてドキドキ

 電車を降りた後、2人でどこか話しが出来そうな場所を探して歩く。  デート終了まではまだ2時間近く残っているけど、尚輝くんは何故か焦っているようだった。  少し早足で街の中を歩いていた。 「尚輝くん、この後予定でもあんの?ちょっと歩くの早くない?」 「あ、ごめんなさいっ!いえ、予定はありません。ただ、いつまでも伊吹さんを拘束しているのが申し訳なくて」 「ぷっ!何それ?尚輝くんは高い金で俺の時間を買ってるのに?20時までは尚輝くんと過ごせるんだよ~?」 「そういう訳にはいきません!伊吹さんは好きでもない男といるのは苦痛な筈です!少しでも早く帰して休んでもらいたいんです!」 「それ、俺の事本当に好きなの?好きなら少しでも多く一緒にいたいとか言うんじゃねぇの?」 「本当に好きですよ!でも、伊吹さんはそうじゃないでしょ?」 「え……」 「俺は伊吹さんとなら20時を過ぎてもずっと一緒にいたいですよ。それは俺だけの意見です。伊吹さんはあくまでも仕事。それなら少しでも早く帰してあげたいです」  尚輝くんに言われた事は確かに間違えてはいなかった。  普通の人なら生活があるから嫌でも仕事して、少しでも早く帰って好きな事したいって思うもんだ。きっと尚輝くんはそれを言いたいんだと思う。  そんな尚輝くんの言葉に俺は素直に「ありがとう」と思えなかった。  むしろ何で早く帰すんだよって怒りたくなった。 「あ、あそこに公園があります!そこにしましょう!」 「…………」  尚輝くんに手を引かれて早足で近くの公園へ連れて行かれる。  まだ外は明るいけど、時間も時間だから遊んでる子供はいなくて、少し寂しくもある雰囲気だった。  公園に入って遊具があるエリアを進み、芝生が生えたエリアにあるベンチを見つけて並んで座る。  そして隣で深呼吸をする尚輝くん。  俺はこれから尚輝くんに告白をされる。  答えが分かってる告白なのに、何でそんなに緊張するんだよってぐらいに尚輝くんは落ち着きが無かった。  俺の頭の中はもうぐちゃぐちゃだった。  さっき尚輝くんに言われた言葉が引っかかってて、今告白をされたら暴言を吐いてしまいそうなぐらい苛ついていた。    ああ最後まで尚輝くんの事を傷付けちゃうな。  きっと俺に年下は向いてないって事だな。  顔だけが取り柄の俺なんかにはおっさんやマダムがお似合いなのさ。  尚輝くんみたいな若くて、誰がどう見ても好青年なんて、俺には一緒にいるだけでも勿体ないぐらいなんだ。 「伊吹さん、お話があります」 「ん、どうぞ」  来る!  尚輝くんから声を掛けられて俺は素っ気なく答える。尚輝くんは一度体を俺に向ける。 「伊吹さん」 「?」  名前を呼ばれたから見てみると、真っ直ぐに俺を見ていた。  それはとても真剣な顔で、今まで見た尚輝くんの顔で一番ドキッとした。  ヤバい、目が離せない……  てか離しちゃダメな気がするんだ。  ちゃんとしっかり俺も見てあげなきゃ。  俺は一度気を引き締めて、尚輝くんからの告白を待った。  尚輝くんはそんな俺を見て、表情を変える事なく口を開いた。 「俺は伊吹さんの事が好きです。初めて会った時に言った言葉は本気です。必ず貴方を幸せにします。だから俺と付き合って下さい」 「…………」  あ、これヤバいかも?    俺は暴言を吐く事も、断る事も出来ずに、ただ尚輝くんの目を見て泣きそうになっていた。  な、何で泣きそうになるんだ!?  しかも顔熱っ!!  まさか愛の告白に感動した!?  歳とって顔の皮薄くなって涙腺が脆くなったか!?    ずっと黙ってる俺を変に思ったのか、尚輝くんは首を傾げていた。 「あの、伊吹さん?何かおかしかったでしょうか?」 「へ!?いえ、全然!とても良かったですよ!」 「そうですか……出来ればキチンと振っていただきたいのですが」 「振る!そうね!そうだったね!ちょっと待っててね!」  クソ!ダメだ!さっきの告白のせいでより調子狂うぜ!  何故か尚輝くんより俺の方が取り乱してねぇか?  てか思ったよりドキドキするんだな……  おじさんちょっと恥ずかしかったよ?  火照る頬を両手で押さえながら気持ちを落ち着かせようとしてると、尚輝くんにその手を掴まれて再び目が合う。  うわ!めっちゃ恥ずかしい!! 「伊吹さん、そんな反応されたら期待しちゃいますよ」 「期待っ……それはダメだ!」 「もう、どっちなんですか?」 「いや、正直分かんねぇ……あの、振らなきゃダメ?」  俺がもうギブって感じで、泣き顔見られるの覚悟でチラッと見ると、尚輝くんは目を丸くして見ていた。  怒られる!?そうだよな!ここはちゃんと終わらせないと締まらないよなぁ!  5歳も年上なのに俺はなんつー甘えた事を! 「ごめん!ちゃんと振るから!少し待って!」 「ダメじゃないです!少しでも希望があるならまだ振らないで下さい!」 「逆にどっちだよ!!」 「だって、伊吹さんのその反応見たら……やっぱり好きです!どうかまたデートして下さい!」 「わ、分かったよ!そこまで言うなら今回はこの辺にしといてやるよ」 「ありがとうございます♡伊吹さん、とても可愛いかったです♡」 「!!!」  頭ん中が混乱しまくって、最後は謎に上目線のツンツンキャラになってしまった。  そしてせっかく尚輝くんを正しい道へ戻せそうになったのに、自らそれを阻止してしまうという馬鹿な事をしてしまう始末。  俺、自分でも何がしたいのか分からないや。  

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