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26.大損害

 完全にプライベートでタイガーと2人で酒を飲んだ。しかもラブホで。  元々ノリの良いタイガーは年上との付き合いも慣れているのか全然違和感なく過ごせた。  てか何なら楽しいなとか思ってる。 「だからぁ~、もうおっさんのちんちんなんか舐めちゃダメだからな?分かったか?ん?」 「ププッ、伊吹、その顔でちんちんとか言うなって!マジウケる♪」 「うっせぇ!これが俺だ!文句あっか!」 「伊吹は酔うと説教ジジイになるんだな。面白いわ」  久しぶりに誰かと飲んだから少し飲み過ぎたか?あの後にも追加でビールを更に頼んでいた。  今は楽しく飲めてとても気分が良い♪  てかタイガーは本当に酔わないんだな。俺と同じぐらい飲んでる筈なのに顔色ひとつ変えずに今はハイボールを飲んでいる。 「ビール数杯で酔うとか可愛いのな♡」 「酔ってなぁい♡てか今何時だ?調子乗ると終電なくなるし、俺あんま飲み過ぎると寝ちゃうんだ……」 「まだ22時とかじゃん?なんなら泊まってっちゃえば?もう宿泊料金になってるだろこの部屋」 「はぁ!?おい!お前金あるんだろうな!?」  忘れてた!終電もだけど、ここはラブホで帰る時に飲み食いした分だけじゃなくて、部屋の金も払わなきゃいけないんだった!  俺がタイガーに確認すると、余裕そうな顔でタバコの煙を吐いた。 「俺の財布持ってんの伊吹じゃん。中見てみれば?」  ニヤニヤと笑ってるのを見て嫌な予感はしたけど、言われるがままに、自分の鞄の中にある人質として預かっておいたタイガーの財布を取り出し中身を確認する。  こ、こいつ、マジかよっ!! 「千円って何だよ!!お前は小学生か!?駄菓子屋にでも行くつもりか!?」 「ギャハハ!そのツッコミウケる~!!」 「ウケてんじゃねぇよ!お前もしかしてホテル代を俺に払わせようとしてたのか!?」 「えー、伊吹も金ねぇの?カードはぁ?」 「金ならあるわ!あーもう今出たらいくらだよぉ?げ!!全部込み込みで三万円!?何でこんな高ぇんだよ!!」 「そりゃこの部屋のランクが良いからっしょ♪伊吹と初めて過ごす部屋だから高いとこ選んだんだぁ♡」 「余計な事してんじゃねぇよ!そういうのは自分で払う気がある時だけにしろ!!」  とんでもない大事件勃発に、俺の楽しい気分は一気に吹っ飛んだ。  何で客とデートして俺が払わなきゃならねぇんだよ!!しかも今日の仕事の報酬よりも出費のがデケェじゃねぇか!!  こうなったら絶対に後で請求しよ!  全額じゃなくても半分だけでも取り立てよ! 「それってさ~、また一緒に行ってくれるって事?♡」 「んな訳ねぇだろ。とにかく帰るぞ!酔いも覚めたわ!」 「えー、帰っちゃうのかぁ?今出ても明日の朝出ても料金変わらないのに~?」   「ここにいる意味がねぇんだよ!それに明日は予定があるんだよ!」 「予定って毎週土曜日にフルで予約入れてる人とのデート?」 「ハッ!!」  気付けばタイガーは俺の後ろに立っていた。  怒りに任せてつい口を滑らせたけど、あまり他の客の事は話したくない。  特にタイガーにはな! 「ずっと気になってたんだけど、そいつどんな奴なのー?決まって土曜日はそいつで埋まるじゃん。しかも長時間とか、どんなけリッチな奴なの」 「お前に教える訳ないだろっ」 「ムッ!じゃあ俺もフルで予約入れる!!」 「何でそうなるんだよ!お前は金ねぇだろ!」 「またおっさん捕まえる」 「テメェ!まだそんな事言ってんのか!」 「今度は本番する!そしたらもっと稼げるから次の土曜は俺が伊吹を独占する!」 「大我!!いい加減にしろ!!」 「っ……伊吹……?」  このクソガキは何度言えば分かるんだよ!  危ない事して俺に予約なんか入れて欲しくねぇんだよ!  どうして言う事聞かねぇかな!  ああもう、アルコール残ってんのか怒りとかで頭痛ぇ……  急にズキンと痛んで思わず壁に手を付いちまった。それを見たタイガーが咄嗟に腕を回して来て体を支えやがった。  知らねぇおっさんのチンコ咥える男に支えられてたまるかー!! 「離せよ淫乱!!」 「ちょ、それ言い過ぎじゃね?」 「間違ってねぇだろ!しかも今度はケツ差し出すとか終わってんな!!このクソガキが!!」 「伊吹落ち着けって」 「嫌だ!!お前がおっさんとそういう事してる限り暴れてやる!!」 「伊吹……」  ここでタイガーに無理矢理抱き締められた。  俺より背が高くて、体もしっかりしてるタイガーは、それはそれは凄い力で、俺は軽く吐きそうなぐらい苦しい思いをした。  てか俺何言ってんだぁ?  違うんだ、酔ってるのもあると思うけど、タイガーが心配で俺……  へ?心配??  この俺にホテル代を集ろうとした男の心配って何だよ?  いや、もういろいろ訳分からな過ぎ!! 「もうしないから。伊吹が嫌がる事はしない。だから落ち着いてくれって」 「信用出来ねぇ!」 「俺は約束は守る男だ♡」  タイガーの腕から逃れようと顔を離して、思い切り睨み付けてやると、とても幸せそうな笑顔をしていた。

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