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48.チャラ男と真面目くん ※大我side

 ※大我side  久しぶりに学校に顔を出すといろんな奴に茶化された。 「大我まだいたんだ」 「聞いたぜ、男のケツ追ってんだって?」 「バイト探してるんなら良いとこ紹介するよ~」  俺は学校にはあまり来ないけど、辞める気はない。  俺は別にゲイだって事を隠しちゃいない。  俺はもう変なバイトをする気はない。  どんなに茶化されても、俺は今幸せな気持ちでいっぱいだった♡  だってあの伊吹と朝帰り(昼帰り)が出来たから~♡  もう数日経ってっけど、まだハッピーな気分でいられるとか最高じゃね!?  てかホテルに泊まっちゃうとか良い感じじゃね?  てかてかもう付き合ってるようなもんじゃね?  くぅ~!同じベッドで寝て手を出さなかった俺偉い!  ガッツポーズをして自分の凄さを噛み締めていると、横を通って行った男のショルダーバッグに付いてたキーホルダーが目に入った。  ん?あの青い生き物は…… 「あー!!!」 「??」  俺が思わずデカい声を出すと、その男だけじゃなくて周りにいた奴らも振り向いた。  だってさ、だってさ、男が付けてたキーホルダーって、伊吹のキーケースに付いてたペンギンのやつなんだもん!  俺は周りの視線なんか気にせずに、立ち止まって俺を見てる男に近付いてキーホルダーを手に取って見る。  うん!間違いない!伊吹のペンギンだ! 「……あの?何か用ですか?」  いきなりの俺の行動に、少し引いた目で見て来る。  見た感じ真面目そうな普通の男!俺ぐらい背が高いけど、俺より細くて勉強好きそうな感じの男!眉毛がキリッとしてた。  それよりもこのキーホルダーだ。  何故この男が伊吹のペンギンのキーホルダーを持ってるんだ? 「まさか、お前……」 「え?な、何?」 「これどこで買ったんだ!?」 「……水族館だけど」 「水族館かよ!どうりでそこらで見ない訳だ!」  実は俺、伊吹が大事そうに持っていたこのペンギンのキーホルダーと同じやつをあれから探し回ってたんだ。  なんか、他の客に貰ったみてぇじゃん?  そしたら俺もプレゼントするしかないっしょ!  でもさ、いろんな雑貨屋とか見ても全然見つからなかったんだよな~。  そっか~、水族館か~。  て事は伊吹はペンギンくれた客と水族館デートしたって事か……羨まし過ぎるじゃねぇか!! 「あの……離してくれます?それ、大事な物なんで」 「あ!悪ぃ!」  俺が一人でいろいろ考え事をしてると、男が困ったように言った。  パッとペンギンを離して謝ると、男はペコっと頭を下げて立ち去ろうとした。  伊吹もペンギンを大事にしてたな。  俺が嫉妬で引き千切ろうとしたらめちゃくちゃ焦ってやがったな。  この男にとってもペンギンは大事な物なのか……  ん?待てよ?それってさ、もしかして!? 「おいお前!」 「……まだ何か?」  再び俺が呼び止めると、男は迷惑そうな顔をしながら振り向いた。  俺は凄ぇ事に気付いて男に近付いて顔を覗き込む。 「そのペンギン大事にしてるってお前も良い奴なんだな~♪」 「は?」  だってさ、だってさ、伊吹が大事にしてる物と同じ物を大事にしてるとか伊吹に似てんじゃん?  なんてーの?親近感?  とにかくこいつは悪い奴じゃない♪   「いや~!いい出会いだわ♪なぁ名前なんてーの?俺は三年の青山大我!ペンギン仲間っつー事で友達なろーよ♪」 「……俺も三年だよ。えと、谷岡尚輝です」 「ナオキングな!ジュースでも飲みながら話そうぜ~?」 「ナオキング……」  俺があだ名で呼ぶと、少し頬を赤らめながら困ったように笑って頷いた。    お互い紙パックのジュースを飲みながら日陰にあるベンチに座って少し話す事にした。  それにしても凄え偶然だぜ。  伊吹と同じキーホルダー付けてて、伊吹と同じような良い奴に出会えるなんてよ~。しかもタメと来た!こりゃ仲良くなるしかないだろ!? 「なぁ、ナオキングは好きな人いるのか?」 「いきなりだな……いるよ」 「マジー?俺も~♪恋バナしよーぜ♪」 「恋バナ……」 「あ、恥ずかしくて出来なーいとか言うなよー?そんじゃ俺からその好きな奴の事教えちゃる♪まずね、ちょー綺麗な顔しててちょータイプなの♡」  言っちゃった~♡  ナオキングはクスクス笑いながら聞いていた。 「でね、性格はサバサバしてんの。見た目は大人しそうなのに、話すとマジで男~って感じの面白い人なの♪」 「え、男?」 「あ、俺ゲイなんだわ!まさか気持ち悪いとか言っちゃう!?」 「言わないよ!その……俺もゲイだから……」  わお!まさかの共通点~!  へー、全く俺とは違うタイプだと思ってたけど、意外なとこで分かり合えるとこあったじゃーん♪  俺はますますナオキングに興味が湧いた。 「一緒じゃん♪好きな奴が同性ってだけで苦労するよな~!」 「青山くんは凄いな。そんなに堂々と言えて」 「そうー?この大学にもゲイなんて他にいんじゃん。まぁ理解出来ない奴には通じないけどな!」 「俺は昔から内気だから、青山くんみたいにハッキリと言えるのが羨ましいよ」  そう言ってナオキングは俯いた。  あー、確かに陰キャ臭するもんなぁ。  ナオキングって俺の周りにはいないタイプだもん。  ペンギンのキーホルダー付けてなかったらこんな風に話してなかったもん。 「でもね、俺も前よりは言えるようになったんだ。それもその好きな人のおかげなんだ♪」 「そっか♪恋の力ってやつ?気持ち分かるわ~!俺もそいつに出会ってから毎日楽しいもん」 「俺も♪青山くん、声を掛けてくれてありがとう。またお話してくれるかな?迷惑だったら言って?」 「あたぼーよ♪迷惑なもんか!ナオキングは友達だもん♪」  俺が友達と言うと、ナオキングはとても嬉しそうな笑顔を見せた。  なーんか友達とか口に出して言うのとか小学生みてぇだけど、たまには悪くねぇかもな。    俺がニシシと笑ってると、遠くで俺を呼ぶ声が聞こえて来た。 「大我ー!明るい髪色にピアスOKの接客業見付けたぞー!飲食店だってー!」 「マジ!?今行くー!あ、ナオキングまた話そうぜ♪そだ、連絡先交換しよー♪」 「いいの?ありがとうっ」 「はは、連絡先ぐれぇで礼言うとか面白い奴ー♪」  他の友達に呼ばれてそこへ行く前にナオキングと連絡先を交換しておいた。  きっとナオキングとは話が合うはず!  だから絶対また恋バナするんだもんね~♪  早くナオキングに伊吹と付き合えたって報告してぇなぁ♪  いつか必ず伊吹を紹介してやる!  俺の恋人ですって自慢してやる!

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