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第54話

次の休みの日 彼の家に呼ばれた。 駅から少し歩いたところ 静かな住宅街 「ここ」 短く言って鍵を開ける 部屋は思っていたより整っていた。 生活感はあるけど他人の気配はない。 「…この家さ」 キッチンに立ちながら彼が言う 「誰か入れるの初めてなんだよね」 一瞬手が止まる 「そうなんだ」 それだけ返すと 彼は肩をすくめた。 「お前だったら大丈夫な気がして」 理由は言わない コンロに火をつけて 鍋をかき混ぜる それ以上何も言われなかった。

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