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家庭訪問 2

 齊藤は約束通り、その翌日もやって来た。  母とどのようなやり取りが交わされているのかは分からないが、裏で結託しているのだろうということは察せられた。 「こんにちは。今日は、僕の話をしましょう」  いきなり始まった齊藤の自分語りは、最初に恋愛相談が特技だと話していた通り、恋愛絡みの話ばかりだった。  それも、齊藤自身の話というより、齊藤の周囲の人間の話がほとんどだった。 「先生自身の恋愛は?」  俺が尋ねると、齊藤は目を細めて密やかに微笑む。 「僕の恋はね、ロミオとジュリエットでした」 「親に反対されたんですか?」 「親だけでなく、友人にも反対されました。結果として、僕は彼と別れを選ぶしかありませんでした」  齊藤が「彼」と呼んだことで、俺は自分が齊藤の恋愛対象となり得ることを知った。  それを知ったところでどうなるわけでもないのに、なぜか妙な緊張を覚えた。 「先生」  俺は、自分が何を聞こうとしているのか分からないまま、口を開く。  齊藤が俺を見る。  最初はへたれな印象を感じさせる目だと思っていたけれど、今はむしろ、齊藤の言葉を借りるならば、乗り越えた者だけが持てる力強さが感じられた。 「先生」  もう一度呼べば、齊藤は楽しげに目を細めて笑う。 「僕のことを意識しました?」  図星だった。羞恥心に二の句も告げられなくなると、齊藤はさらに笑った。 「冗談ですよ。反対されて別れたのは本当ですが、相手は女性です」 「何で、そんな嘘を」 「下心です」  さらっと口にされて唖然とすると、齊藤は冗談ですよ、と真意の読めない口調と目つきで告げた。

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