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第1話
“共犯”
そんな言葉に甘さを感じた。
いけないこと、なんて道徳の授業をうけていなくても分かることだ。
倫理の話以前のこと。
家族が悲しむ。
親が泣く。
友達との縁が切れる。
だけど、俺は──俺が“それ”を選んだ。
だって、嬉しかったんだ。
“俺”を選んでくれたことが。
土を被せ、辺りの落ち葉を適当にかける。
どうせもうすぐ雪が降る。
それまで隠れててくれれば良いだけだ。
雪が積もれば俺自身でもここが分からなくなる。
「大丈夫。
もうすぐ雪が降る。
積もれば見付けるのは困難だ。
それに、山の生き物たちが食ってくれる」
「……」
「さっきもニュースでやってたろ。
また山里に下りてきて、畑を荒らしたって。
あいつら冬眠せず食い物探してるから丁度良いよ」
小さく震える手を両手でガッシリ握り込んでいるのが痛々しい。
顔色もない。
目だって、正気とは程遠い。
可哀想に。
こんなに怯えて。
こわいよな。
“一生”苦しむしかないんだもんな。
それに俺を巻き込んだことを後悔しているんだろう。
同じ色に染まれてこんなにも嬉しいのに。
血の痕を洗い流したはずの手は、再び土と泥で冷たく汚れていた。
また、洗ってやらないと。
握りすぎて冷たくなっている手に触れると、隼人から握り返してくれた。
きっと、俺しか縋れないんだ。
これから“一生”。
「隼人」
温度のない唇に自分のそれを重ねると、ちゅっと短いキスをする。
「誰にも秘密。
誓うよ」
今にも泣き崩れそうな隼人に、俺はまた誓いのキスをする。
甘くて、蕩けるほど甘美だ。
これで隼人は“一生”俺のモノ。
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