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最終話 それからのことと新たなはじまり

 それからオレたちは何日もかけて何度もベッドの上で想いを囁きぶつけ合った。リュシエンに変装させて祝祭も楽しんだ。途中で旅の仲間たちも合流し、みんなで旅の思い出を語り合った。魔族の王女は無事に聖騎士をオトしたらしい。  それぞれ故郷に帰っていくのを見届け、オレたちはその後もしばらくホテルに滞在していた。結局連泊してシーツを汚しまくってしまい、オレたちが出かけている間にシーツを取り換えに来てくれたであろう従業員には申し訳なさと感謝しかない。  ホテルに泊まっている間、せっかくならと媚薬を使ってみたのだが、気づいたら2人でベッドの上に倒れ込んでいた。腰の痛みと腹がぽっこり膨らむ量の奥に溜まった白濁、シーツや腹に飛び散った精や潮をたしかに感じるのに、お互い最中の記憶が一切ない。希釈用でもない1人で1回分の小瓶の中身を2人で分け合ったから効力は薄くなるはずだが、どうやらオレたちは媚薬との相性がよすぎるようだ。次に使う際はさらに希釈した方がいいだろう。そう言ったらリュシエンは目を輝かせて、また使ってくれるんですか、と笑った。墓穴を掘ったかもしれない。  祝祭も終わり世の中が落ち着き始めたころ、オレとリュシエンは結婚式を挙げた。旅の仲間や家族、オレに優しくしてくれた町の人たちを招待し、リュシエンは家族や神殿の人たち、それから道中世話になった人たちを呼んだ。冒険者ギルドなどでオレのことを嘲笑っていたやつらがすり寄ってきたりもしたが、ギルドの受付嬢に叩きのめされていた。オレ以外にも横柄な態度を取っていたからギルド側も鬱憤が溜まっていたんだろう。誰も受付嬢を止めることはなかった。  オレが追放されたという噂を聞いたときは聖者のくせに、と怒り狂っていた母さんや妹は、実際にリュシエンを見たら目がハートになっていた。ついでに父さんも。妹からは、お兄ちゃんが女だったら最高の子供が生まれていたのに、と恨み言を言われた。母さんが旅の仲間たちに男でも妊娠できる方法がないかと聞いていたのはきっと幻聴だ。  リュシエンは神殿を出て、オレの住んでいる町にやってきた。2人で住むために彼が貰った報酬で建てた新居の場所は、町から少し外れた森の中。元聖者が町中に住んでいると下心を持った人間が押し寄せて来て、近隣住人に迷惑になるだろうと思ってのことだった。 「ここならいっぱい喘いでも周りに聞こえないから安心ですね、アディさん♡」  当の元聖者はそう言って呑気に笑っていたから頬をつねってやった。その夜は仕返しだと言われ以前よりさらに大きく育った乳首をつねられたくさん喘いでしまい、彼の言うとおりになってしまったのが少し悔しい。  *  新婚生活を数ヶ月過ごしたあと、オレとリュシエンは再び旅に出た。浄化の旅で回った各地を、今度はのんびり見て回りたかったからだ。旅の道中世話になったが結婚式に来られなかった人たちへの挨拶回りもかねて。  旅の最初の目的地は魔族が多く住む国。魔族の王女と聖騎士の結婚式に参列し、そのまま2人も一緒に新婚旅行をしたいと言って旅に合流した。仲間だったエルフの女性も夫や子供たちの何人かを連れて加わり、にぎやかな旅になっていく。  人数も増えたし馬車でも手配しないとと思っていたところに、御者の青年がやってきて、魔獣馬車でもなんでも引くから同行させてほしいと懇願してきた。聖者一行に同行していたことが知れ渡ってしまい、報酬目当てで求婚してくる女性たちから逃げたいのだそうだ。大変だなと笑ってからこちらからも同行してほしいとお願いし、再び仲間が全員集結した。  リュシエンはオレと御者の仲を疑っていたから、お互い娼館通いの趣味があったから意気投合したのだと教える。 「アディさんはもう絶対に娼館に行かせませんからね。男娼も駄目ですよ?」 「はいはい。もうオレはリュシエンのことしか見えねえよ」  オレの身体はリュシエンに開発されまくっていて、彼以外で満足することはできないだろう。もちろん触らせる気もない。そもそもリュシエンの方がモテるのだから、今後は彼が目移りしないか気を揉みそうだ。  そんなオレの心配をよそに、相変わらず宿ではオレとリュシエンは必ず2人部屋を使い愛し合っている。ほかの仲間も配偶者同士で部屋を取っていたから、みんな夜は同じだろう。  御者の彼は求婚者たちにげんなりしていて結婚は当分しないと言っていたが、旅に同行しているエルフ女性の息子が彼を不埒な目で見ていたから今後どうなるかはわからない。最近は宿で同室になることが多いみたいで、御者の彼もオレと似たところがあるから丸め込まれてしまう日もそう遠くない気がした。  さらに大所帯になったかつての聖者一行はしばらく平和が続くことになるであろう世界で、そんな世界でも困っている人たちを助けながら今日も楽しく旅を続けている。 (了)

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