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嫉妬*
青年は、目の前にあった男の耳をかじる。
「……っ!」
びくりと肩を揺らした男の中を、リンデルはかき混ぜる。
「や、め……っ!」
耳たぶへ優しく歯を立てながら男の耳の中へと舌を差し込む。
水音を立てながら奥まで蹂躙し、首筋へと舌を這わせる頃には、男の頬はすっかり朱に染まっていた。
「カース、ここ、触って欲しかったんだね?」
「違っ……っっぅ……っ」
真っ赤になって、こんなに感じているのに、じわりと涙を浮かべ否定する男の悔しそうな顔が、たまらなく愛しくて。
でも、それをいつも見ていたのは俺じゃなくて……。
思わず、青年の指先に力が入る。
ぐりっと奥を突かれて、カースが短く鳴いた。
その声があまりに甘くて、リンデルはごくりと喉を鳴らす。
「こんな……可愛い声を、ゼフィアにいつも聞かせてたの?」
耳元で囁かれて、男がびくりと体を揺らす。
「ぁ……違……っ、ん……っ」
リンデルは、いつもカースがしてくれるようにカースの感じるところを探る。
手前を丹念に押してゆくと、ふっくらと膨らんだそれが、男が一際跳ねる部分が見つかる。
「ぅあっ!」
そこを指先で押さえつつ、全体を揺らす。
必死で声を殺そうとする男から、息と共に滲み出る嬌声に、青年は夢中になった。
「くぅ……ぅ、んっぅぅぅんんっっ!!!」
背を丸めて必死に堪える男が、息を詰め、ビクビクと激しく痙攣する。
ぎゅうっと千切れそうなほどに指を締め上げられて、青年は男が達したことを知った。
「カース……指だけで、イっちゃったの?」
「……っ」
男はこちらを見ようとしない。
「……本当は、ゼフィアにされて、嬉しかったんでしょ?」
嫉妬が、もうリンデルには抑えられなかった。
まだ時折痙攣しつつも、きゅうきゅうと締め付けてくる男の中を、また青年がかき混ぜる。
「や……っ、リンデル、や、め……っっ」
男が悔しさと恥ずかしさから唇を強く噛む。
唇が裂けて血の味が口の中に広がる。
これは、あの男が与える味だった。
どくんと男の体が脈打ち、燃えるような熱を感じる。
「っあ、あああっ」
「カース、気持ちいいんだね……」
「あっ、リン、デル……っ、や、ぁ……っっ」
男にとって守るべき存在だったはずの青年に責められ、さらには感じていると指摘され、男は恥辱に塗れたまま喘ぐ他なかった。
動く方の手は体の下に敷かれている。体で押し返そうにも、鍛え上げられたリンデルの体は重くビクともしない。
その間も、青年の長い指は男の中を蹂躙し続ける。
「ぅ……、くっ……、んっ、んんんんっ」
「嫌じゃ無いよね? カースの中、こんなにどろどろだもの」
リンデルが、ずるりと抜き取った指を男に見せる。
「……っ、やめ、ろ……」
男は肩で息を継ぎながらも、顔を顰めて視線を逸らした。
あの男は気分屋で、前戯もなければ指を濡らすこともなく突っ込んでくることも多かった。
体液をなるべくたくさん分泌することは、自身を守るために自分の体が覚えた事だ。
「………………俺が、嫌……なの……?」
ぽつりと零された青年の言葉があまりに弱々しくて、男はハッと青年を見上げる。
その頬には涙が一筋伝っていた。
「ゼフィアはいいのに、俺はダメ……?」
言葉とともに、涙がもう一雫溢れる。
「そうじゃ、なくて……」
男は上がった息の合間から、何とか答える。
「俺は……俺はいつだって、カースだけなのに……。カースは、俺だけじゃ、足りないの……?」
ぼろぼろと涙をこぼしながら、青年が訴える。
「そんな事……」
男は、言葉を返しきれない。
「俺が……あんま、り……会えない、から……?」
ゆらり、と青年が立ち上がる。
涙を拭くこともなく、ベッド脇の机へ手を伸ばす。
青年が手に取ろうとしているものが刃物だということに気付いて、男は青年の腕を引き、ぐいと青年をベッドに引き戻した。
「リンデル、お前……」
男の低い、唸るような声。
「馬鹿なことを考えるな!」
ギッと睨みつけられて、どんな戦場でも怯まないはずの青年が怯んだ。
大方、怪我でもしようとしたのだろう。
負傷でこの村に留まるか、ともすれば負傷引退か……。
どのみち、そんなことになった日には、あの従者に俺が殺されるに決まってる。
「っ、ぅ、カースの、ばか……っっ」
青年は泣きながら男の胸に縋り付く。
男は大きくため息を吐きながら、その背を撫でた。
「悪かった……。俺が、悪かったよ」
胸元で、ふるふると青年が首を振る。
男は、この明るく無邪気な青年を、ここまで追い詰めてしまった自身を責める。
こんなに、リンデルはいつだって俺だけを求めてくれるのに。
俺はその想いに応え切れていない……。
男が深い後悔に沈む。
俺を慰めて、こいつだって辛かったはずだ。
こいつの優しさに俺ばかりがいつも甘えて、何ひとつ返せないままで……。
男は、小さく肩を震わせている青年の髪に口付けると、せめてもの誠意を伝える。
「リンデル……、俺は、お前に何がしてやれる……?」
問われて、ゆっくり青年が顔を上げる。
「カース……」
まだ涙の残った金色の瞳が、じっと男を見つめている。
「……なんだ?」
少し落ち着いてくれたらしいことにホッとしながら、男は精一杯優しく微笑む。
「……じゃあ、俺、カースに入れてもいい?」
「!?」
男の笑顔が引き攣る。
「だって、カースあんなに気持ち良さそうなのに……。ゼフィアばっかりずるいよ。俺だって、カースをとろとろにしたい!!」
「!?!?」
「…………だめ?」
潤んだままの瞳で上目遣いに見上げられ、カースがたじろぐ。
まさか。
まさか本当に、こいつは俺に、入れたかった……のか……?
さっきまで弄られていた男の下腹部に、じわりと熱が広がる。
「……っ。ダメじゃ、ない……」
男は顔を赤く染め、そう答えるのが精一杯だった。
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