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第21話 その赤と、きみの口唇

 それはまるで、血液が飛び散ったかのように。  赤い、赤い夕日だった。  まるで全身をその赤に染め抜いてしまうほどの強烈で、鮮麗な。  僕はその「赤」を遠い昔に見たことを思い出して、胸が苦しくなった。  忘れられない、きみの思い出とともに。  僕はただ、その夕日を微動だにせず見入っていた。  だって、その赤は底知れぬほどに僕を惹き付けて止まないからだ。  ふわりと、まるで誘(いざな)うかのように吹く、柔らかな風。  僕はその頬を撫でられるかのような感覚にうっすらと瞳を閉じた。  風の匂いを受けるように、そっと瞳を閉じる。  遠い異国の地。きみの『なきがら』が眠る場所。  赤に染まる空が、最期に見たきみの口唇を思い出させる。  僕の代わりに撃たれたきみを抱き上げたとき、冷えゆく身体が心を切った。  鮮やかな赤に染まる口唇がゆったりと弧を描き、笑みの形をかたどって。  いまもなお、心に残る。  伝え損ねた僕の気持ちはくすぶったままで。  どこにいても、なにをしていても。  ただ、あのときの口唇を思い出す。  鮮やかに染まる、きみの『赤』──。

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