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室内の中央にいるモデルを囲むように部員が部活用のスケッチブックにサラサラ描いていく。 10分間に大まかなシルエットポーズ、それから陰影を描いていくクロッキーと呼ばれるそれは、部活の始めにやるものだ。 毎日のように人の行動をスケッチしているからか、5分ほどで大体のところまで描けてしまう。 ちらりと周りを見てみると月岡以外の部員は真剣な様子で描いていた。 まだ時間がある。退屈だと思った月岡は足元に置いていたスクールバッグから一冊の小さめのスケッチブックを取り出す。 ペラペラと今まで描いたものを流し見していると、あるページで止まる。 それは気持ち良さげに眠る青葦のスケッチ。 まるで肉食動物のような鋭い目つきが閉じられ、完全に気を抜いている姿は、月岡も肩の力を抜いて穏やかな気持ちで見られる。 この表情、本当にいいな。 「今日も一番早かったのは月岡君ね。皆、月岡君が描いたスケッチブックを見てみて」 「⋯⋯え」 美術の先生がそう言うや否や、部員全員が一斉に月岡の元に集まっていき、慌てて持っていたスケッチブックを裏返し、膝上に押し付けるように置いた。 「え、短時間でこんなに描けるの?!」 「陰影が素晴らしい」 「てか、改めて見るとこのポーズ本当にウケるんだけど。なんでマッスルポーズ?」 「私、最近鍛えているんだよねー。ほら美術部って、座って、自分の好きな絵を描いて喋っているって思われているみたいなんだよね、舐められたくないじゃん?」 「そんな筋肉モリモリだったら、もういっその事運動部で良くない?」 「それは違うんだよ! 画力上げて、推しを美しく描きたいじゃん?」 「それは分かる⋯⋯!」 段々とスケッチとは関係ない話題となっていき、そのまま散っていった。

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