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第1話

「お前って、酒飲むと記憶失くすタイプ?」  と突然、高瀬が言い出した。高瀬は大学の同級生で、淡々とした雰囲気の男で、暑苦しい他の友人と違って、付き合いやすい。 「は? 知らんけど。記憶失くすならそれも解らねえんじゃね?」 「そうか」  高瀬はそれ以上、なにも言わず、スマートフォンに視線を落とした。 (なんだったんだ?)  腑に落ちないながらも、それ以上、聞く理由もなく、オレも放置してしまった。高瀬の態度から、それほど大事ではないと判断したからだ。  数日後、また高瀬が不意に聞いてきた。 「お前ってさ」 「おん?」 「エッチの時、やたら饒舌になるタイプ?」 「ちょっと何言い出すのキミ」 「参考に」 「いや、参考にじゃねえよ。何聞いてんだよ」  急な質問に、耳まで熱くなる。淡々と聞くことじゃないだろ。あとなんだ、そのよく解らん偏見。  高瀬はじぃっとオレの方を見てくる。居心地が悪い。 「で?」 「で? じゃねえよ。んなわけねえだろ。普通だよ。あと恋ばなするならそういうテンションで言おう?」 「別に恋ばなじゃない」  そういって、高瀬はスマートフォンに視線を落とす。もうオレに興味などないようだった。 (なんだったんだ……)    ◆   ◆   ◆  数日後。  オレは床に頭を擦り付け、土下座をしている。 「これ」  と、高瀬が差し出したのは、彼のスマートフォンで。録画されていた動画に、思考を停止させる。 『ここ、弱いんだろ? びんびんに勃って可愛いじゃん』 『奥好きなんだ? ぐりぐりってしてやるから、脚開けよ』 『あー、マジですっげー、良い。お前も良いだろ? ナカすげーうねって、キュンキュン締め付けてくんじゃん』 『あ、今ビクビクってなった。イきそ? こっちも、出るっ……』  動画から聴こえてくる声は、どう考えてもオレの声。加えて、高瀬の艶かしい、 『あっ』 『やぁっ、そこっ……』 『ひぅっ……奥っ……、ダメぇ……』  って声も聴こえてくる。ベッドサイドにスマートフォンを隠して撮ったらしい動画には、激しく動くオレの姿と高瀬の脚が見切れていて、言い逃れしようがない。 「マジで、済みませんでしたっっっっっっっ」  額を床に擦り付け、謝罪する。  ヤバい。  勃起してる場合じゃない。  人として終わってる。 「まぁ……」  高瀬がポツリと呟く。  顔を上げてチラリと彼の顔を盗み見ると、頬がピンクに染まっていた。  可愛い。  いや、そうじゃない。反省しろオレ。  いや、そもそも高瀬のことは可愛いと思ってたけどさ。オレってノーマルだったじゃん。何しちゃってんの。 「――嫌じゃ、なかったから」 「へ?」  顔を上げると、高瀬は赤く、蕩けた顔をしていて。  オレの理性は、終了を告げた。 完

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