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第1話
「暑くない?」
5月もあと2日で終わり。
沖縄はとっくに梅雨入りし、ジワジワこちらにも梅雨前線が迫って来ているが、雨の様子はなく、籠もる湿気と太陽の日差しとで連日テレビでは熱中症の警告がされている。
「んー、まだ大丈夫かな」
ジンワリ背中にシャツが張り付く嫌な感じに堪らず、隣でまだ長袖を着ている和暉 に聞いてみる。
「マジか……。熱中症になっても知らないぞ」
掃除の片付けにバケツと雑巾を持って外の洗い場にやって来た。
バッシャーンと勢いよくバケツの水を流す。
「わっ!汚い水が飛んで来るだろ」
一滴分の冷たい温度を頬に感じ慌てて言う。
「悪い悪い。雑巾貸して。俺が洗うから」
全然悪いと思ってなさそうな笑顔で俺から雑巾を取り上げる。
袖のボタンを外すと器用にくるくると捲り上げる。
骨ばった大きな手から伸びる腕は意外に太く逞しい。
無駄のない筋肉に浮き出た血管。
運動嫌いで週一しか活動のない文化部の俺に対して体動かすのが好きな和暉はきっと部活以外にも家で体を動かしているのだろう。
……と、言う事は腕以外の筋肉も……と、目線が腕から肩へと這い上がり、それから……と、いかんいかん、どこを見て何を想像しようとしているんだ!!
最近になって、自分は筋肉フェチだと言う事に気付いた。
広い肩幅に厚い胸板。触ってみたいと思う程にまでなっていて、でもそれは誰でも良い訳ではなく、意識する様になったのは、和暉のこの仕草から……。
「歩 って、俺の腕まくり好きだろ」
突然言い当てられ慌てる。
「はぁ?!え?!何突然……!!」
「だって、いっつも俺が腕まくりしたらジッと見るじゃん」
そんなに分かりやすかったか?!……分かりやすかったか……
謝るのもおかしいし、何て反応すれば良いのかと忙しなく考える。
「俺、まだ長袖で居るよ。歩にそうやって見られるの嫌いじゃない」
「別に、腕まくりが好きって訳じゃないし……」
腕が好きなのであって、腕まくりが好きと言う訳じゃないと言いたいが、それを言うのもおかしいので語尾が小さくなる。
「腕まくりじゃないの?じゃあ、何?この腕?」
和暉は袖を肩まで押し上げる。
更に露わになった筋肉の隆起に目が釘付けになる。ゴクリと喉が鳴る。
「俺、明日から半袖にするわ」
「な、何だよ、急に。俺、何も言ってないだろ」
「触ってみたい?」
「何も言ってないだろ!!」
「触っても良いけど、俺も触らせろよ」
「だからっ!!!!」
勝手に話を進める和暉。何が良かったのかとても嬉しそうな笑顔。
密かな楽しみを言い当てられ猛烈恥ずかしいが、明日からの半袖宣言に胸を躍らせている自分が居た。
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